バス停で隣に座っている女子高生二人の会話が洩れ聞えてきた。
「明日彼と映画を見に行くんだ」
「彼って、あのクリスマスの?」
「ああ、あの彼とはもう別れたわ」
「えっ、じゃあ・・どの彼?」
「クリスマスのあとから三人くらいいるからね。でも、クリスマスの彼とも仲良くやっているよ」
「わたしの知っている人?」
「A君だよ」「ああ・・・」
何気なく顔を見たいところだけど、むしろ顔は逆方向に・・・いかにも聞いていないという感じで。
(見たいな、でも、おばさんて嫌ね)って表情をされたら(わたしが傷つく?)
バスに乗るときにさりげなく彼女たちを少し遠目に見た。普通の高校生、つけまつ毛や赤いマニキュアをしているわけでもなく髪も染めていない。
ふと考えた。つけまつ毛や赤いマニキュアの娘は、それを愉しんでいるだけで彼とは無縁ということもある。単に(ちょっと見て)と気を惹いているに過ぎないのかもしれない。
そして今や、女子高生にとって《彼という存在》は、普通の事なのだろうか。
67才のおばさんは考えてしまう。恋愛とは無縁だった淋しい我が経歴。
「彼がね・・」とか、「ああ、あの彼じゃなくて背が高いほうの・・」なんて、普通に話してみたかったなぁ。
「明日彼と映画を見に行くんだ」
「彼って、あのクリスマスの?」
「ああ、あの彼とはもう別れたわ」
「えっ、じゃあ・・どの彼?」
「クリスマスのあとから三人くらいいるからね。でも、クリスマスの彼とも仲良くやっているよ」
「わたしの知っている人?」
「A君だよ」「ああ・・・」
何気なく顔を見たいところだけど、むしろ顔は逆方向に・・・いかにも聞いていないという感じで。
(見たいな、でも、おばさんて嫌ね)って表情をされたら(わたしが傷つく?)
バスに乗るときにさりげなく彼女たちを少し遠目に見た。普通の高校生、つけまつ毛や赤いマニキュアをしているわけでもなく髪も染めていない。
ふと考えた。つけまつ毛や赤いマニキュアの娘は、それを愉しんでいるだけで彼とは無縁ということもある。単に(ちょっと見て)と気を惹いているに過ぎないのかもしれない。
そして今や、女子高生にとって《彼という存在》は、普通の事なのだろうか。
67才のおばさんは考えてしまう。恋愛とは無縁だった淋しい我が経歴。
「彼がね・・」とか、「ああ、あの彼じゃなくて背が高いほうの・・」なんて、普通に話してみたかったなぁ。