先祖の霊が現世に帰ってくるというお盆。
父母を顧みる余裕もなく、この年になってしまった。ふと父の遺した軍艦高雄のガリ版刷り日誌(後に製本)を取り出してみた。
その日の位置、風向き…あらゆることが丁寧に記され、なかには川柳や詩などの投稿もある。明日の献立の項もあり、カツレツ・ビーフシチュー・カレーライス・グラタンなどの記載が見える。昭和十年はまだ西洋料理が並んでいたらしい。
二等水兵、若い日の父がそこにいたはずの日誌。笑い話の項には、
夫「これ二千年前の化石だよ」
妻「何言っているのよ、今年は千九百三十五年よ。」
夫「ああ、そうか」
と、納得してしまう話が載っていた。
《世界の原理は競争である。だから戦闘態勢は常態なのだ》というような記載もあって、時代のムードを伝えている。
十余年を船の上で過ごした父、沈没し生存者三名の一人になったこともあるらしい。記念の万年筆を見たことがあるけれど、泳ぎに自信のある者は力尽き果てたが、泳げない父は板切れに摑まっていて救助された由。何が幸いするかは分からない。
あらゆる出来事は時代の中に圧縮され微塵に砕けて宇宙の塵として消え果てしまう。虚しいか?否、むしろそのことを前提として潔く生きる、それでいいと思う。
ご先祖様をお迎えする・・・自分にも真摯に向き合いたい。
父母を顧みる余裕もなく、この年になってしまった。ふと父の遺した軍艦高雄のガリ版刷り日誌(後に製本)を取り出してみた。
その日の位置、風向き…あらゆることが丁寧に記され、なかには川柳や詩などの投稿もある。明日の献立の項もあり、カツレツ・ビーフシチュー・カレーライス・グラタンなどの記載が見える。昭和十年はまだ西洋料理が並んでいたらしい。
二等水兵、若い日の父がそこにいたはずの日誌。笑い話の項には、
夫「これ二千年前の化石だよ」
妻「何言っているのよ、今年は千九百三十五年よ。」
夫「ああ、そうか」
と、納得してしまう話が載っていた。
《世界の原理は競争である。だから戦闘態勢は常態なのだ》というような記載もあって、時代のムードを伝えている。
十余年を船の上で過ごした父、沈没し生存者三名の一人になったこともあるらしい。記念の万年筆を見たことがあるけれど、泳ぎに自信のある者は力尽き果てたが、泳げない父は板切れに摑まっていて救助された由。何が幸いするかは分からない。
あらゆる出来事は時代の中に圧縮され微塵に砕けて宇宙の塵として消え果てしまう。虚しいか?否、むしろそのことを前提として潔く生きる、それでいいと思う。
ご先祖様をお迎えする・・・自分にも真摯に向き合いたい。