続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『絶対の声』

2015-07-17 06:20:30 | 美術ノート
 ピンクの薔薇が一輪描かれている、それきりの画面。
『絶対の声』という題である。

 絶対、この世の中で絶対などというものがあるだろうか。わたしたち人間は不確定を生きている。
 ただ一つの確定は「死」に他ならない。

 咲き誇る薔薇の花に潜む『絶対』は、枯れ朽ちていくという宿命以外の何物でもない。つまり避けることの絶対不可能な『死の証明』ではないか。

 死滅の真理、永遠・永続の不可能性。

 
 祇園精舎の鐘の音 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす・・・。(『平家物語』より)

 マグリットがこれを知っているとは思えないが、生きる者の覚悟として、世界中どこの誰もが同じ感想を抱く条理である。

 
 一輪の薔薇に託した盛者必衰の理・・・色は匂へど散りぬるを…花の色は移りにけりな いたずらに…花の命は短くて…花からは万人の嘆息の声が聞こえる。
 薔薇の特性、美しさや香り、刺せば血の出る攻撃性を併せ持つことの一種貴族的な誇りも時の狭間に消え失せてしまう。

 絶対の声とは、栄華を極める花の命も、いつかは消えていく定めを免れるものではない。『永遠は無いことの証明』である。

(写真は国立新美術館『マグリット展』図録より)

銀河鉄道の夜』19。

2015-07-17 06:13:19 | 宮沢賢治
 先生は中にたくさん光る砂のつぶの入った大きな両面の凸レンズを指しました。


☆宣(広く知らせる)照(あまねく光が当たる=平等)を注(書き記す)講(はなし)である。
 赦(罪や過ちを許す)の新しい題(テーマ)を書く。
 免(罪を許す)のは訥(口が重い)試みである。

『城』2024。

2015-07-17 05:55:07 | カフカ覚書
こういうしだいで、シュヴァルツァーは、一日の大部分を仕事もせずにのらくらとほっつき歩いているのだが、これも彼にとってはありがたいことだった。というのは、こういう生活のおかげで、ギーザの住んでいるライオン通りに行くことがいつでもできたからである。


☆それで、シュヴァルツァー(影の人)は一日の大部分を仕事もせずに周りを廻っていた。常にそうしてギーザ(総体)の宿る獅子座の方へ行くことがいつでもできたのである。