半人半魚…どこが自然なの?
ぜんぜん自然ではない半人半魚の存在を描いて『自然の驚異』と題している。
半人半魚、セイレーンの美しい歌声で航行中の人(船乗り)を惑わし、船を転覆させる。即ち遭難、難破の事故を引き起こす不吉な存在であるセイレーン(半人半魚)。
半人半魚の二人の姿は石化している、ずっと昔のことであることの暗示。
沖行く帆船は静かに航行している。
《しかし》
この絵を見た人の多くは、不吉を予感する。
セイレーン(半人半魚)・海・航行中の船…この条件をとっさに想起する。
《だから》
沖行く船はまもなく転覆の危機に遭遇するはずだと、思いを巡らせる。
語り伝えられる神話の驚異。
口伝は、まことしやかに時代を越え、世紀を越えて人々の中に浸透していく。明らかに人為的な継承である、にもかかわらず、むしろそれは自然発生的な現象と化している。
言葉(意味)・・・認識・・・イメージの継続・・・。
大海原・・・船・・・岩礁へと導く神秘があるとするのなら、それはやっぱりセイレーン(半人半魚/怪物)の仕業に違いない。
原初の話が風化せずに残存している驚異。この精神の自然な脈絡、この不思議を『自然の驚異』と呼ばずして何としよう。
マグリットはこの事実に深く感銘を受け、この衝撃を沈黙のうちに提示しているのだと思う。
(写真は国立新美術館『マグリット展』図録より)
ぜんぜん自然ではない半人半魚の存在を描いて『自然の驚異』と題している。
半人半魚、セイレーンの美しい歌声で航行中の人(船乗り)を惑わし、船を転覆させる。即ち遭難、難破の事故を引き起こす不吉な存在であるセイレーン(半人半魚)。
半人半魚の二人の姿は石化している、ずっと昔のことであることの暗示。
沖行く帆船は静かに航行している。
《しかし》
この絵を見た人の多くは、不吉を予感する。
セイレーン(半人半魚)・海・航行中の船…この条件をとっさに想起する。
《だから》
沖行く船はまもなく転覆の危機に遭遇するはずだと、思いを巡らせる。
語り伝えられる神話の驚異。
口伝は、まことしやかに時代を越え、世紀を越えて人々の中に浸透していく。明らかに人為的な継承である、にもかかわらず、むしろそれは自然発生的な現象と化している。
言葉(意味)・・・認識・・・イメージの継続・・・。
大海原・・・船・・・岩礁へと導く神秘があるとするのなら、それはやっぱりセイレーン(半人半魚/怪物)の仕業に違いない。
原初の話が風化せずに残存している驚異。この精神の自然な脈絡、この不思議を『自然の驚異』と呼ばずして何としよう。
マグリットはこの事実に深く感銘を受け、この衝撃を沈黙のうちに提示しているのだと思う。
(写真は国立新美術館『マグリット展』図録より)