続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『ピレネーの城』

2015-10-03 06:06:50 | 美術ノート
 巨岩石の上に岩石造りの城がある。白雲多い青空海と空とのけじめは曖昧なほど遠い。波は相当に高く、一見静かではあるけれど、海上(地上)は荒れ模様である。
 青空なのに雲が多く、静かに見えるのに高波である。その光景の中空に硬く重いと確信する巨岩石が浮いているという不条理。

 鑑賞者はこの作品を正面から見るが、実際この光景の中に入り込んでみれば巨岩石を下から覗くばかりで、岩上に聳え立つ城を見ることは不可能である。


 主なる神はとこしえの岩だからである(イザヤ書・第二十六章)
 主は、まっすぐに歩む者には城であり、(箴言・第十章)
 主、わが力、わが城、(エレミヤ書・第十六章)

 岩であり、城である主なる神は決して姿を現さず、像を刻むことを許されない見えない存在である。

 この幻の城が乗った岩石は、幻のごとく宙に浮いている。
 この作品を前に「なるほど」と肯定するだろうか。
 この作品を前にして「有り得ない」と否定するだろうか。

 厳然と描かれた作品を前にして息をのみ、茫然とこの不条理に対峙するほか術はない。

 鑑賞者は地球の重力・引力を身体を持って受け入れている。この地上が一つの岩石(地球)として中空に浮いている事実などは想定外である。

 精神の自由はイメージを限りなく許容する。そしてイメージ(たとえば宗教)は生活を守護すると同時にほかの要素も強いることがある。

 確信を衝くイメージは、在ると思えば有るという、見えないものの夢想である。
『ピレネーの城』は、存在の不確かさを不条理をもって天空へ押し上げている。


(写真は『マグリット』㈱東京美術刊より)

『銀河鉄道の夜』97。

2015-10-03 05:58:09 | 宮沢賢治
草の中には、ぴかぴか蒼びかりを出す小さな虫もゐて、ある葉は青くすかし出され、ジョバンニは、さっきみんなの持って行った烏瓜のあかりのやうだとも思ひました。


☆双(ふたつ)を注(書き記す)章(文章)を推しはかる。
 章(文章)を注(書き記す)要は、照(あまねく光るがあたる=平等)を推しはかることである。
 弐(二つ)の講(はなし)が加わる試みである。

『城』2102。

2015-10-03 05:44:16 | カフカ覚書
 そう言うと、アマーリアは、まず両親のところへ行って、なにやr耳うちをし、それから台所のほうへ去っていった。Kに別れの挨拶もしないで行ってしまったのであるーまだまだここにいるんでしょうから、別れの挨拶なんか要らないとでも言わんばかりに。


☆そして、アマーリア(作り話/マリア)は真っ先に祭壇の所へ行って何やら囁き、後にくすくすと笑った。なお長く留まることを知っていたので、小舟との別れは不可欠だった。

『城』2102。

2015-10-03 05:44:16 | カフカ覚書
 そう言うと、アマーリアは、まず両親のところへ行って、なにやr耳うちをし、それから台所のほうへ去っていった。Kに別れの挨拶もしないで行ってしまったのであるーまだまだここにいるんでしょうから、別れの挨拶なんか要らないとでも言わんばかりに。


☆そして、アマーリア(作り話/マリア)は真っ先に祭壇の所へ行って何やら囁き、後にくすくすと笑った。なお長く留まることを知っていたので、小舟との別れは不可欠だった。