続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『幕の宮殿』

2015-10-17 07:03:15 | 美術ノート

 室内に置かれた幾枚かの変形のパネル。
 グレーの奇妙な流れの色面に付着した鈴(世間一般の怒り・噂・流布≒意見/声)、雲の浮かぶ青空(自然)、緑の樹木・林(平和)、そして、それぞれに付着した暗黒画面のパネル。

 これらは何を意味するのだろう。
 パネルは、それぞれ壁面に影を映している。
 しかし、よく見ると左から二番目のパネルの影は壁や隣接の青空のパネルの淵にはかかっているものの、青空そのものの画面には反映していない。

 青空はパネルの中の画像ではなく、突き抜けて見える青空ではないか。
 グレーの画面や緑の画面も、パネルの影は壁やパネルの隣接にはかかっているが、中のグレーの画面や緑の画面にはかかっていない。暗黒の画面は影に同化するから不明であるけれど、同じ類と捉えてもいいかもしれないし、違うかもしれない。曖昧な領域である。

 これは何を意味するのだろう。

 宮殿というにはあまりに簡素な設えである。
 しかし、Curtain/遮るものという解釈であれば、これら《グレーの画面における怒り・噂・流布≒意見/声》《青空の大いなる自由》《緑の安らぎ=平和》を遮っている大きな建物(帝国・社会)を指しているのではないか。

 それぞれのパネルの圧迫を受けたような変形と傍らに付着した暗黒パネルは、まさに民衆の声・自由・平和を遮るCurtainであるが、安定的に置かれた様子(社会)は動かし難い。
 社会の要望/声・自由・平和を遮る圧政(宮殿)に、沈黙の抗議をしているのではないか・・・黙した過激である。


(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)

 
 


『銀河鉄道の夜』111。

2015-10-17 06:41:35 | 宮沢賢治

またダイアモンド会社で、ねだんがやすくならないために、わざと穫れないふりをして、かくして置いた金剛石うを、誰かがいきなりひっくりかへして、ばら撒いたといふ風にさあっと明るくなって、ジョバンニは、思はず何べんも眼を擦ってしまひました。


☆戒(いましめ)赦(罪や過ちを許し)覚(目を覚ます/さとり)を知る。
 魂(たましい)の業(善悪すべての行為が将来及ぼす影響)の釈(意味を解き明かす)を推しはかる。
 算(見当をつけ)普(あまねく)現わす全ては妙(不思議な)試みであり、過(あやまち)を現わし察(明らかにする)


『城』2116。

2015-10-17 06:24:31 | カフカ覚書

「それじゃ、使者の勤めをやめたって、かわりの職があるわけですね」
「使者の勤めをやめるんですって」とオルガは、びっくりして問いかえした。「いったい、収入のために使者になったのだとおもっていらっしゃるのですか」
「たぶんそうでしょう。だって、あんたは、この勤めに彼は満足していない、とさっき言ったじゃありませんか」


☆「では」とKは言った。その場合、先祖の賠償として使者の仕事をしているのですね」
 「使者の仕事の代り?」と、オルガ(機関・仲介)は驚いてたずねた。
 「半ば、相当すると思って引き受けたのですが、そうかもしれません」と、Kは言った。それにもかかわらず要求に応じているわけではないと、言ったじゃありませんか」