続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『観光案内人』

2015-10-23 06:55:18 | 美術ノート

 きわめて分かりにくい作品である。しかし、
 Ciceron/観光案内人・・・Cicero/キケロを暗示していないか。

 ピルボケ(人間のようで人間でない)は、口から火を噴いている。これは激しい言葉、論争を意味しており、闘争でもある。
 ローブ〔(ローマ皇帝の着用するトーガという説もある)/図録の解説より〕を着けた三人・・・。

 トーガ着用の三人、つまりローマ時代の三頭政治を示唆しているのではないか。それぞれ全く異なる方向を向いている三人の実力者である。

 手前はカエサルだろうか、がっちり握られた建屋の模型は民衆の生活の象徴だと思う。
 火を吹くような過激な演説、民衆をその手中に掲げた独裁者の絶大なる権力。


 「ずっと昔、遥かな昔、こういうことがありました。ここがその現場(国)であります」観光案内人は火を吹くような力説をまくし立てている。遥かな未来(あるいは冥府での寸劇)、歴史はこんなふうに寓話化されていくのではないだろうか。マグリットの独り言である。


(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)


『城』2122。

2015-10-23 06:03:42 | カフカ覚書

ところが、こういう点になると、お城の仕事ぶりは、じつにおそいのです。しかも、困ったことには、こんなにおそいのはどういう意味なのか、ついぞわかりようがないのです。


☆死の予言は遅いのです。悪いことに、緩慢である意味を知らされないのです。