続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『会話術』

2015-10-04 08:06:20 | 美術ノート
 採掘され切り取られた石が積み重なっている。文字を現わしている形があり、REVE(夢)と認識される単語もある。
 巨大かつランダムに組まれた石の壁、それを見上げる豆粒にも等しい二人の男のシルエット。

 一見すると、強力・不動の石の積み重ねであるが、一つ一つの力関係を追っていくと、極めて危うい、あるいはこうは積めないだろうという疑惑がわく。
 
 崩壊を免れない構築である。REVEのVの上部などは空白であり、それぞれが微妙に危機的な構築関係なのである。崩落を免れないが、崩落を予感させないような構築としての描写である。

 
 文字・言語(会話)の持つ偉大な力は人の力の及ぶところではない。確かに人が思考したはずのものである。言語は社会の要として世界を動かしていると換言してもいい。その強固な言語が崩れるなど想定外であるし、そんなことは有り得ない。
 一抹の不安は、その言語によって人間が押しつぶされる危険があるかもしれないということである。

 言語は崇拝に値するツールである。
 しかし・・・と、マグリットは考える。

《夢だ、夢に過ぎないのだ》

 言語は重力に作用されない、ゆえに崩壊の危機などあり得ない。

 言葉とイメージの関係の表象を描き、鑑賞者の前に差し出した作品だと思う。


(写真は『マグリット』㈱東京美術刊より)

バードウオッチング。

2015-10-04 07:31:31 | 博物館講座
 からりと晴れた秋、AM9:00にYRP光の丘に集合し、バードウオッチングを楽しんだ。

 というか、歩くためと言った方がいいような具合。メンバーの中にも「歩こう会などで歩いている人を見かけますが、どこも見ないで早足でただ歩いている、無理やり歩いているという感じを受けるんですね。だから自分には向いていないなぁと思って・・・ゆっくり(観察しながら)歩いて、時々立ち止まるというようなイベントに参加しているんです」という意見。

(まったく、その通りです)とも言えず、肯くだけ。

 鳥に興味が有るような無いような、そんな曖昧な心境で、やっぱり歩くことに重点を置いているわたし。(不心得!)

 
 涼風・青空・木立の路・ゆっくり歩行・・・(先生は、鳥を探して、眼・耳を澄ましておられるのに誠に申し訳ない)

 それでもカルガモ・マガモ・キジバト・イソシギ・コジュケイ・モズ・ヒヨドリ・ハクセキレイなどを見たり(鳴き声だけを)聞いたり・・・。
 コサギはよく見かけるけれど、出会えばやっぱり、あの白さと細い首に胸打たれる。

 ヤマガラは木の実を啄みに来ているのか一本の木に集中して数羽が行き交っていた。


 稲盛先生のお話を伺って11:50解散。
 稲盛先生、萩原先生、ありがとうございました。


『銀河鉄道の夜』98。

2015-10-04 07:16:12 | 宮沢賢治
 そのまっ黒な、松や楢の林を越えると、俄かにがらんと空がひらけて、天の川がしらしらと南から北へ亙ってゐるのが見え。また頂の、天気輪の柱も見わけられたのでした。


☆告(話して聞かせる)照(あまねく光が当たる=平等)は幽(死の世界)の倫(人の行うべき道)であることを、閲(たしかめる)。
 我(わたくし)は、空(根拠なく)展(物事を広げる)。
 千(たくさん)の難(苦しみ・禍)から北(逃れる)講(はなし)を兼ねて重ね、展(広げている)。
 鬼(死者)の倫(人の行うべき道)の注(意味を明らかにする)が現れる。

『城』2103。

2015-10-04 06:33:53 | カフカ覚書
  第十五章
 
 Kは、いささかあっけにとられたような顔つきでその場に立ちつくしていた。オルガは、それを笑って、彼をストーブのそばの長椅子のところへ引っぱっていった。彼女は、こうしてKとふたりきりで腰をかけていられることがうれしくて、ほんとうに幸福そうに見えた。しかも、それは、平和な幸福であって、たしかに、嫉妬の影にくもされてはいなかった。


☆Kは、幻影に驚き後ずさりしたままだった。オルガ(機関/仲介者)はよく知られた心配を思って笑った。彼女は彼といることが本当にうれしそうであった。それは平和な幸福であり、対抗心に曇ることはなかった。