続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『ハゲタカの公園』

2015-10-19 06:44:32 | 美術ノート

 荒涼とした連峰、四角な木箱の中には成長を抑えらた樹があり、箱の内部には微妙に圧縮された感があるものの、等分に並んだ点描が描かれている。
 ただ、画面左上からの光の陰影のようであるけれど、箱の内部である左側が右の面に見られる陰影に比して明るいのはなぜか。不条理がまかり通る空間である暗示だろうか。

 そして白い点描は穴なのだろうか。右の外面は穴のないフラットな板であるが、内部は垣間見ることはできない。箱の奥は影が差している(暗い)のに、点描は白い(明るい)ということは、やはり穴である可能性が強い。通風というより外部との連絡穴であるような気がしなくもない。端的に言えば監視である。

 左側の地底から突き出たような管は裂け目があり、管としての機能は十分ではない。情報漏洩、伝達の不行き届き、下からの声は届くようでいて届かない。
 
 木箱の背後にはホッチキスの針を巨大にしたような白い角柱の物、円柱でできた物がそれぞれ後続している。その中間に天にも届くかと思うほどに伸びている円柱も在る。
 
 空は黄緑色という見たことのない彩色、不気味である。

 これらの条件が導きだす時空とは何だろう。
 黒い山、すなわち荒野である。手前の赤い地面にも草木は見えない。しかし、その上にある木箱には今しも伸びようとする樹が見えるが、箱の中で圧迫され成長を阻止されている。箱の内部の等しく並んだ点描は、見せかけの平等の暗示ではないか。
 下の方から延びている管は《声》を盗聴しようとする不完全な器具のように見える。
 箱に後続する白いコの字型の物は抑え/圧迫、あるいは拘束のように見える。
 点をも突き刺すような円管は揺るぎない力を示唆する、背後に隠れているが、左右にぶれることのない直立は最強ではないか。

 不気味な空の色は自然を否定している。
 ここに描かれている線描は樹を覗けばすべて直線で形成されているものばかりである。直線というものは自然界にはない。因って、人為の世界を具現化していると思われる。

 ハゲタカは動物の死体を餌食にする強欲な鳥である。何もかも食い尽くした後の荒涼、新しく出てくる樹/勢力は何が何でも抑え込み、背後には予備の拘束が待っているという状況。
『ハゲタカの公園』が意味するものは、恐ろしい末世、荒廃の圧政を揶揄したものではないか。
 不毛の地に伸びた樹(自然/条理)は囲まれた閉塞の中で抑えられている。

 作家自身は決して語らず、ただ静かに提示して見せた世界である。


(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)


10月19日/AM5:00の星空。

2015-10-19 06:24:38 | 日常

 10月ともなると夜明けは次第に遅くなってくる。4時・・・5時になるのを待ちかねてゴミを集積場へ運ぶ。

 外はまだ星空、見上げると冬の夜空に見るオリオンが南中。傍らにおおいぬのシリウス・・・ということは一角獣座もあのあたりに。
 秋の夜空は淋しいけれど、明け方はもう冬の夜空。

 あの赤く光るのは、どう見ても火星。
 天を仰ぐのは、本当に気持ちがいい。天体を撮れるような立派なカメラは持ち合わせていないけど、しかとこの目に納めた今朝の星空。至福の時である。

*火星ではなく金星だったのだろうか…今朝は曇り空、大きく光る星がポツン、ポツンと見えるだけ。(10/20)


『銀河鉄道の夜』113。

2015-10-19 06:14:38 | 宮沢賢治

ほんたうにジョバンニは、夜の軽便鉄道の、小さな黄いろの電燈のならんだ車室に、窓から外を見ながら座っていたのです。


☆余(わたくし)が継(つなぐ)弁(話すこと)は徹(貫き通す)同(平等)である。
 照(あまねく光があたる=平等)の講(はなし)を伝える。
 等(平等)を遮(さえぎる)疾(ねたみや憎しみ)、総(すべて合わせた)我意が現れる座(場所/話)である。


『城』2118。

2015-10-19 05:59:07 | カフカ覚書

「なんですって。あんたたちは、そういうことまで疑っているんですか」
「いいえ、ほんとうは疑ってなんかいません。バルナバスは、官房のなかへもはいれますし、お城の従僕とも同輩づきあいをし、遠くからですが、いろんなお役人とも会えます。


☆「何ですって、それまで疑っているんですか」「いいえ」と、オルガ(機関・仲介)は言った。「いいえ、真にうたがっているわけではありません。バルナバス(北極星/生死の転換点)は官庁にも行きますし、遠い昔の晩餐の先祖の孤立した反抗も見ることが出来ます。