続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『心のまなざし』

2015-10-16 07:01:03 | 美術ノート

 どう見ても不安定、倒壊を免れない建屋である。地表(大地)に接している面積が全体から推してあまりにも狭い。上部へ行くほど積み上げられていく建屋は、バランスが良ければ安定しているなどと言うレベルではない。風圧…否、風が吹く前に崩壊を余儀なくされてしまうに違いない。
 上に行くほど大きくなっていく建屋は建設することさえ不可能である。

 そんな不安定・不安を秘めているのが、精神(心)のまなざし(凝視)だという見解。
 一種の幻想でもある。在るかもしれないが無いだろうという大方の予測。例えば(最下階が、上部を支えきるような重量の堅固な造りであったなら)と、想像することはできるが、雨風嵐の自然に耐えられるとは思えない。
 そして建屋を見るまなざしは、窓を見れば明らかだが、すべて同じ高さの視点である。現実にはありえない光景にほかならない。
 屋根の上にある煙突めいた物から出ている赤いものは何だろう。赤色が所有する危険、焔を連想させるものである。
 それにあの背景の奇妙な赤みを帯びた雲も不穏な空気感を醸し出している。

 あたかも現実であるかのような光景、まことしやかな風景はマグリットの常套手段である。

 低い地平線から見上げる建屋は遠近法にも逆らい、その威圧感は恐怖をも喚起する。
 絵(二次元)の中でのみ成立する空想三次元空間は、凝視を阻む要因に満ちている。

 白い球体は《真実》を具現化、しかし、心のまなざしのずっと彼方に位置しているそれは、逆に《心のまなざし》を静観しているようにも見える。

 現象の表面のみを平面的に見つめ、構築の不備を悟ることもなく感受しているありさま。それが案外《心のまなざし》かもしれない。


(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)


『銀河鉄道の夜』110。

2015-10-16 06:44:04 | 宮沢賢治

 するとどこかで、ふしぎな声が、銀河ステーション、銀河ステーションと云ふ声がしたと思うといきなり眼の前が、ぱっと明るくなって、まるで憶万の蛍烏賊の火を一ぺんに化石させて、そら中に沈めたといふ工合、


☆照(あまねく光があたる=平等)を吟ずる講(はなし)である。
 吟ずる薀(奥義)は照(あまねく光があたる=平等)の旨(考え)である。
 現れる全(すべて)は冥(死の世界)への憶(思いを巡らせる)番(くみあわせ)の系(つながり)は迂(遠まわり)に回(めぐる)。


『城』2115。

2015-10-16 06:26:00 | カフカ覚書

「そのとおりですわ」と、オルガは言った。「バルナバスは、片手間にブルーンスヴィックのしごともしていますわ。これは、やろうとさえおもえば、昼も夜も仕事がもらえて、たっぷり収入があるのです」


☆「確実に」と、オルガ(機関・仲介者)は言った。バルナバス(北極星/生死の転換点)はべつに罪過の不在証明もしています。これは未来や死の不在証明を望むのに十分ふさわしい。