『王様の美術館』
紳士のシルエットの中に、目・鼻・口があり、山また山の広大な山中にポツンと大きな建屋がある。空は青く澄んでいる。
背後には石積みがあり、その上には鈴が置かれている。
バックは漆黒、時代を特定しない闇の空間がある。
歴代の王、君主、民衆のトップに君臨する王の来歴。
目/視覚、鼻/嗅覚、口/味覚・・・あらゆる感覚により選出された実力ある者の尊称である王様。
内包する山の遠方(過去)は澄み渡っているが、手前(近世)に来るにしたがって暗色になっている。これは時代の変遷だろうか。その中間に『王様の美術館』が配置されている。
道なき道の山中に在れば、だれも近づかず顧みられることもない。大いなる孤独の空間である。
背後の鈴は伝説・主張・噂などの民衆の声であり、石積みの堅固と冷温さは民衆との距離感を暗示しているようである。
バックの桎梏は虚無、在るがままの宇宙空間を示し、全ては虚空に帰ることを示唆している。
『王様の美術館』とは、近づくことも検証も困難な民衆が祀り上げた幻である。
(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)
「どうもをかしいぜ。」
「ぼくもをかしいとおもふ。」
「沢山の注文といふのは、向ふがこつちへ注文してゐるんだよ。」
☆択(良し悪しを見てより出し)、算(見当をつけ)註(意味を書き記し)問う講(はなし)である。
衷(心の中)を問う。
にもかかわらず、これはアマーリアをよろこばせるためにのみ言ったことだったのです。と言いますおは、名誉回復というようなことではなく、ただ赦してもらいたいということだけだったのです。
☆にもかかわらず、これはただアマーリアのためだけに言っていたのです。実際、考えていたのは名誉を取り戻すことではなく、ただ自然に消えること(自然消滅/死)だけだったのです。