鎌倉市浄妙寺の「報国寺」境内鐘楼背後のイチョウ、「浄妙寺」境内参道のモミジ、鶴岡八幡宮の「柳原神池」のハゼとモミジ、寺社の境内は神秘的な色合いを濃くしている。また「鎌倉国宝館」前のモミジの木々が美しく鮮やかに色づいている。自然(天候・気温)が作り出す芸術品とはいえ、古都鎌倉は今、「紅葉」と「黄葉」の雅で華やな幻想的世界を創り上げている。鎌倉は四季の中でやはりこの時期が最も似合うようだ。(1311)
相模原市南区新戸に建長寺の末寺、曹洞宗寺院「本鏡山常福寺」はある。約700年前(鎌倉時代末期)に建立。本尊は釈迦如来。霊峰、雨降山を望む緑豊かな地に佇み、境内入り口には400年を越える古木「しばの木」が聳え悠久の時を感じさせる。相模原の禅寺として、江戸時代には寺子屋が開かれその後「新戸学校」も開かれるなど当地の学問の中核地であったようだ。訪れた日、山門前は秋の象徴多彩な紅葉絵巻を見ているような雅な空間を創り出していた。寄棟造りの本堂前には枯山水庭園があり、由緒ある寺院の風格を醸し出している。(1311)
北区滝野川に紅葉寺として親しまれている真言宗の寺院「龍河山金剛寺」(松橋院)はある。創建(伝)は弘法大師、時期は不詳だが境内から出土した板碑によると平安時代の後半にはこの地にお寺があったとされるのでその頃か。本尊は不動明王(伝:弘法大師作)。源頼朝が武蔵国へ攻め入る時布陣伝承地(治承年中=1177-81)といわれている。また当寺は頼朝が信仰し江戸時代も広く信仰の対象となった松橋弁天(弁財天)が安置されている。訪れた日秋晴れ、「紅葉寺」の名ふさわしく境内は美しい紅葉で埋め尽くされていた。この付近一帯は江戸時代には徳川吉宗の命により100本のカエデを植樹したことから今もその美しさを保っている。境内には冨士講の先達として活躍した安藤冨五郎の顕彰碑もある。また当寺は豊島八十八箇所霊場43番札所、荒川辺八十八箇所霊場16番札所、北豊島三十三箇所霊場31番札所、上野王子駒込辺三十三箇所霊場1番札所でもある。(1311)
相模川支流の道保川は上溝から下溝にかけて河岸段丘の斜面の下に沿って流れている。その源流部と横山丘陵の自然を都市緑地として保全しながら、水と緑が一体となった自然とのふれあいの場(風致公園)として整備された「道保川公園」。面積は8.8haもある園内には木製デッキ、遊歩道が設けられていて「野鳥」(エナガ、ウグイス、メジロ、シジュウカラ、コジュケイ )観察ゾーン、「山野草」(セキソウ、クレソン、セリ、アシ、カサスゲワサビ、シャガ、スミレ)観察ゾーン、「森林生態」(クヌギ、コナラ、シラカシ、スギ、クスノキ、クリ、ウメ、ヤマザクラ)観察ゾーン、生き物は(セミ、クワガタ、カナブン)、「水生動植物」(ガマ、アシ、ショウブ、スイレン、セキショウ)観察ゾーンをゆっくり時間をかけ観察&散策するのも楽しさのひとつ。6月には「公園の沢」でホタルも見られる。道保川のせせらぎと野鳥のさえずりが「残したい日本の音風景100選」のひとつに選定されている。秋晴れのこの日、紅葉した木々に包まれ水の音、鳥の声を聞きいているとまるで欧州の風景かと錯覚する美しさである。(1311)
上野公園の中に天然池の「不忍池」(周囲2km、全体で約11万㎡)で位置する。中央に弁財天を祀る弁天島を配し、一面が蓮で覆われた「蓮池」、ボートが楽しめる「ボート池」、川鵜がいる「鵜の池」の3っに分かれている。弁天島に向かう遊歩道はカエデ、ケヤキ、カツラ、アキニレが光を浴びて色づき池と青空の空間に美しいコントラスト描き鮮やかな回廊を創り出している。錦秋という言葉がピッタリの紅葉景色である。(1311)