京都芸術センター講堂で「芸術空間・京都創生」と銘打って第一線で
活躍する日本画(猪熊佳子),金工(大西清右衛門)、漆芸(栗本夏樹)、
陶芸(近藤高弘)、染色(鳥羽美花)による円卓会議に現在日本画の
指導を受けている猪熊佳子先生が参加されるというので出かけた。
はじめに、染色家の森口邦彦氏と舞踊批評家による基調対談があった。
京都は一言で言えばオリジナリティーのない人には厳しい。役所仕事は
許さない。生きる証としてやれているかどうかについてまわりから厳しく
見られているという言葉に尽きるようだ。
次にパフォーマンスとして、大蔵流狂言師の茂山童司氏がDouMAGによる
打楽器の演奏をバックに舞台狭しと演じた。
猪熊佳子さんは「りんごを描くとき西欧画は机も描く。日本画は空間、見えない
ところを描く。机は描かない」と話した。「京都にいるだけで京都の
息吹を感じる。京都は長い目で見てくださる。だからこそ余計甘えられない。
しかし、東京は一発勝負。即物的なように思う。」と話した。
金工の大西清右衛門さんは、16代目の300年続く家柄であるが、三代目
ごとにきしくもつぶれそうになった。「何が救ったのか。救い上げてくれるひとが
いた。目に見えるものだけを追いかけていたら家はとっくにつぶれていた。」と話し
た。
大西さんは「手を抜くとたちまち見抜かれてしまう。自分の作った器を500年前の
器と並べて見ると危機感を感じる。人に影響力を与える作品を作りたい」と話した。
鳥羽美花さんは「ベトナムやアジアで生活して京都に戻った。京都は自分を
厳しく見つめ直す町だ。京都にいると日本人でないとわからない感性、特に
空間のとりかた、余白の使い方を感じる。いろいろな分野の人が京都にいる。
京都にしかないものを身近に手にとって見ることが出来る」と話した。
栗田夏樹さんは「漆は木材や本体に30数回塗り重ねていく。ところが
漆を粘土にねりこんだ漆粘土を使った造型から新しい可能性が生まれる。
漆黒の闇ということばがあるがこれはこれは漆の空間をはらんだ黒を
説明していることばだ。」と話した。
近藤高弘さんは「京都はいろいろなものが共存している。それが京都という
場の力だ。とりたてて意識しないが京都に住んでいると自分のバランス
感覚をつってくれる。」と話した。近藤さんは「伝統を守りながら電気窯も
使う。伝統とのコラボレーションは大事だ。その結果陶器からガラスへ
可能性が広がった。」と話した。
進行役の松尾恵さんは「京都が地方都市であること、そのローカリティが
むしろ質の高い強いものをつくっている。」と結んでいた。
示唆に富む収穫の多いフォーラムだった。(了)
Kenさんのスケッチは、ブログ容量の関係で削除させて頂きましたが、11月1日に、「かんぽう」さんから『ユニークに乾杯』というタイトルで出版予定です。定価2.000円。
ISBN978-4-904021-03-3 C0071 1905E
株式会社 かんぽうサービス ℡06-6443-2173
大阪市西区江戸堀1-2-14 肥後橋官報ビル6F(〒550-0002)
活躍する日本画(猪熊佳子),金工(大西清右衛門)、漆芸(栗本夏樹)、
陶芸(近藤高弘)、染色(鳥羽美花)による円卓会議に現在日本画の
指導を受けている猪熊佳子先生が参加されるというので出かけた。
はじめに、染色家の森口邦彦氏と舞踊批評家による基調対談があった。
京都は一言で言えばオリジナリティーのない人には厳しい。役所仕事は
許さない。生きる証としてやれているかどうかについてまわりから厳しく
見られているという言葉に尽きるようだ。
次にパフォーマンスとして、大蔵流狂言師の茂山童司氏がDouMAGによる
打楽器の演奏をバックに舞台狭しと演じた。
猪熊佳子さんは「りんごを描くとき西欧画は机も描く。日本画は空間、見えない
ところを描く。机は描かない」と話した。「京都にいるだけで京都の
息吹を感じる。京都は長い目で見てくださる。だからこそ余計甘えられない。
しかし、東京は一発勝負。即物的なように思う。」と話した。
金工の大西清右衛門さんは、16代目の300年続く家柄であるが、三代目
ごとにきしくもつぶれそうになった。「何が救ったのか。救い上げてくれるひとが
いた。目に見えるものだけを追いかけていたら家はとっくにつぶれていた。」と話し
た。
大西さんは「手を抜くとたちまち見抜かれてしまう。自分の作った器を500年前の
器と並べて見ると危機感を感じる。人に影響力を与える作品を作りたい」と話した。
鳥羽美花さんは「ベトナムやアジアで生活して京都に戻った。京都は自分を
厳しく見つめ直す町だ。京都にいると日本人でないとわからない感性、特に
空間のとりかた、余白の使い方を感じる。いろいろな分野の人が京都にいる。
京都にしかないものを身近に手にとって見ることが出来る」と話した。
栗田夏樹さんは「漆は木材や本体に30数回塗り重ねていく。ところが
漆を粘土にねりこんだ漆粘土を使った造型から新しい可能性が生まれる。
漆黒の闇ということばがあるがこれはこれは漆の空間をはらんだ黒を
説明していることばだ。」と話した。
近藤高弘さんは「京都はいろいろなものが共存している。それが京都という
場の力だ。とりたてて意識しないが京都に住んでいると自分のバランス
感覚をつってくれる。」と話した。近藤さんは「伝統を守りながら電気窯も
使う。伝統とのコラボレーションは大事だ。その結果陶器からガラスへ
可能性が広がった。」と話した。
進行役の松尾恵さんは「京都が地方都市であること、そのローカリティが
むしろ質の高い強いものをつくっている。」と結んでいた。
示唆に富む収穫の多いフォーラムだった。(了)
Kenさんのスケッチは、ブログ容量の関係で削除させて頂きましたが、11月1日に、「かんぽう」さんから『ユニークに乾杯』というタイトルで出版予定です。定価2.000円。
ISBN978-4-904021-03-3 C0071 1905E
株式会社 かんぽうサービス ℡06-6443-2173
大阪市西区江戸堀1-2-14 肥後橋官報ビル6F(〒550-0002)