なんば新歌舞伎座風景(スケッチ&コメント)
江嵜企画代表・Ken
大阪なんば、御堂筋西に、新歌舞伎座がある。
4月25日迄、「元禄夫婦合戦ー光琳と多代ー」で、光琳の妻、多代役の藤山直美さんと光琳役の中村梅雀さんが熱演している。
脇役では、赤穂浪士の妻を演じた床嶋佳子さんが光っていた。
光琳といえば、花菖蒲の屏風絵が真っ先に浮かぶ。江戸時代、京と江戸で活躍した絵師、尾形光琳である。藤山直美さんの着物には、見事な花菖蒲の絵が描かれていた。
高島屋友の会メンバーであれば、年一回、映画か芝居の招待券がもらえるので、家族と出かけた。
新歌舞伎座は、1958年に建てられた。老朽化が進み、客席も狭く、甲子園球場同様に、トイレにも自由に往き来できないほど狭い。
上六で建設が進められている、旧近鉄劇場ビルが、2010年に完成するのを期に、新歌舞伎座丸ごと、移転が決まっている。
開場が午前10時15分、開演が11時ということで、時間待ちを利用して、劇場正面の様子をスケッチした。
物語の筋書きは、タイトルにあるように、光琳とその妻、多代夫婦と二人を取り巻く、多くの人々の悲喜こもごもの出来事を描いている。
絵師、光琳は、女房以外の女6人に子供を生ませるという設定になっている。
多代は、お手つきの女は後を絶たずとも、「夫婦は、男と女の戦(いくさ)のようなものだ」と、ひたすら、光琳の絵のすばらしさにほれて、我慢を続けていたが、光琳が、ついに、女中にまで手をつけたところで、一気に爆発する。
ラストシーンは、そんな二人が、光琳が描いた、二曲一双の屏風絵を前にして、ハッピーエンドで終わる演出になっていた。
会場は大部分がご婦人が占めていた。それも、ほとんどが、間違いなく60歳は越えている。いつもどおりの光景だが、ペアとおぼしき人はまれ、殿方の姿を見つけるのに苦労した次第である。
御堂筋名物のひとつ新歌舞伎座も間もなく消える。
高島屋本店の建物も現在,改装中で、なんば界隈の懐かしい町並が、次々、時代の変遷とともに、姿、形を変えていくが、なんとも寂しい限りである。(了)