ハリックの診断即治療&虹彩と、Kenさんの経済学&スケッチ

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NY原油〈WTI〉,一時、バレル127.82ドル(学校で教えてくれない経済学)、

2008-05-17 13:57:07 | 経済学
 スペキュレーション(Speculation)と言う言葉を、英語の辞書で調べると、①熟考、考察、推測,②空理、空論、③投機、思惑買いなどと出ている。形容詞のスペキュラティブ(supeculative)を見ると、①思索的な、推測的な、②理論的な、推論的な、③投機的な、危険な、などとある。
ついでながら、スペキュレーター(speculator)を辞書で引くと,①思索家、理論家、空想家、②投機家、相場師、山師、③ダフ屋と出ている。第一義は、思索家である。投機家とい意味は、二義的に出てきている。
特に、日本人には、江戸時代から、儒教の影響で、お金は汚いものだという観念が刷り込まれている。なかでも、「投機」という言葉を聞くだけで、日本人は、頭から、信用できない,手を出してはいけないものだ、と子供のときから教えられて大きくなった。
NY原油先物市場で、5月16日、WTI(軽質油)相場が、一時、バレル127.82ドルを記録、終値でも、前日比2.17ドル、1.8%高、126.29ドルで取引された。北海ブレント(重質油)もバレル2.55ドル上げ、125.18ドルと史上最高値で取引を終了した。
原油相場急騰を受けて、このところ堅調に推移していたドル相場が揺さぶられ、NY外国為替市場でドルが売られた。1ユーロ=1.5600ドル、1ドル=104.20円で取引された。円ドル相場は、一時、1ドル=103円台まで一気にドル安・円高に進んだ。
ドル売りの背景には、原油急騰以外に、この日、ミシガン大学が発表した、5月の米消費者信頼感指数が28年来最低だったことも影響したと今朝のWSJ紙電子版は解説している。
ここ数ヶ月、ドルは、原油が上がればドルが売られるパターンが定着していた。ところが、3月11日以降、米利下げ打ち止め観測やサブプライムローン問題が最悪の事態を脱したとの楽観的ムードに支えられて、ドル相場は、比較的堅調に推移していた。この日の原油急騰で、「原油高、イコール、ドル売りの方程式」が、再び、息を吹き返した格好だ。
原油相場急騰は、「あくまで、投機的動きである。世界で、石油は余っている。」とOPEC(石油輸出国機構)はしばしば指摘していた。先週サウジアラビアを訪問したブッシュ米大統領の原油増産要請も拒否された。ところが、5月16日、AliNauni石油相は、5月10日から日量30万バレル増産し、日量945万バレルへ引き上げると発表した。
ゴールドマンザックス(Goldman Sachs)は、先日、08年後半のWTI相場を、バレル34ドル引き上げ、バレル141ドルへ上方修正した。
ゴールドマン発表の翌日、UBS証券エコノミスト、Jan Stuart氏は、08年のWTI相場見通し数字を、予測データから32%引き上げ、バレル115ドルへ修正した。
WSJ紙エコノミストによるアンケート調査結果では、原油相場は、世界的な景気鈍化から、原油需要が落ち込み、バレル85ドル台まで値下がりするとの弱気筋の見方も出ていた。それが、ここへ来て、民間有力調査機関による、相次ぐ、石油相場上方修正である。
スペキュレーションの第一義は、深く思索するという意味である。原油相場はなぜ上がるのか。中国を先頭に、原油を求めて、順番待ちの長蛇の列が見えないのかと言わんばかりである。スペキュレーターが、深く思索した上で、先高と嗅ぎ付けたのなら、侮れない。〈了〉

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