国際政治学者で元神戸学院大学学長の谷口弘行氏の講演を、昨夕、大阪の科学技術センターで聞いた。谷口さんは、「世の中の動きは、一部のうわさやガセネタで動かない。公式の声明で80%は動く」、「最近のジャーナリズムは、面白くない、お金にならないと、記事を書かなくなった」、「情報は米国経由がほとんどだ」と話され、印象に強く残った。
谷口さんは、「世の中が変わるのでない。世の中の見方が変わるのだ。見方が変わると、政策も変わる。一つの情報が、何を根拠にしているか。誰のために語るのか。自分のからだで情報を受けとめて、相手とぶつかることで、はじめて、物が見えてくる。」と話された。
米FRBが、4月29,30日開催の会合の議事録を、5月21日、発表した。08年の米GDP見通しを、当初の年1.3~2%を年0.3~1.2%へ下方修正した。インフレ率については、2009年は小幅引き上げたが、2010年については、平均1.8~2.0%、エネルギーと食料を除いたコア指数で、1.7~1.9%で据え置いた。年率2%でこの先インフレが進むとの予測だ。
FOMCは、4月の会合で、短期の目標金利であるFFレートを、0.25% 下げ年2.0%と決めた。議事録によれば、「経済成長とインフレリスクは均衡点に近づいている」と指摘した。3月18日のFOMC議事録では、「米景気の下ぶれリスクに対する懸念」を強く出していたが、それが4月度議事録では消えた。追加利下げ期待を「公式に」打ち消した。
議事録は、「住宅は不振が続き、その結果、個人消費は明らかに鈍化、企業の設備投資見通しも落ちる」と書いたが、その一方で、「金融市場は、脆弱であり、一部に悪化リスクを残しているが、改善した」と、ここでも追加利下げ期待を打ち消そうとしている。
NY株式市場は、FOMCの4月議事録で、景気後退、利下げ打ち止めを、「売り材料」に使った。しかし、この日、前日比227ドル下げ、12,601ドルで取引された、NYダウ急落は、NY原油先物相場が、一時、バレル133.82ドルまで値上がりし、結局前日比4.19ドル、3.3%急騰したことが大きく影響したと今朝のWSJ紙は解説している。
NY原油(WTI)相場は、昨日の上昇で、年初から39%、5月はじめからでも17%値上がりした。米エネルギー情報庁(EIA)が、先週末の米石油在庫が、輸入の急減により、530万バレル減ったとの発表が引き金になった。
米石油製品在庫は、72万8,000バル増加したが、予測の120万バレル増と比べて大幅に減少した。米ガソリン在庫が、予測の40万増に対して75万5,000バレル減少した。
原油の先物相場には、期近物と同時に数年先の相場がある。2016年12月相場が、バレル142.09ドルまで値上がりしたことも原油相場急騰を助けた。さらに、中国が四川省地震後、オリンピックを目前に控えて、備蓄用に、ディーゼル用原油を買い漁っているとの情報が追い討ちをかけているとWSJ紙は解説している。
原油を買い求めて長い行列が出来ているとイメージすれば分かりやすい。人が並んでいるのを見るとつい並びたくなるものだ。「バレル150ドルは投機だ。世界の石油は余っている」とOPECが声高に叫んでも無視される。OPECは上がり過ぎの反動を怖れている。
バレル150ドル原油は、自分にとって何を意味するのだろうか。米FRB議事録は、なにを狙いとして公表されたのか。原油150ドル目前で、日本の力量が問われている。(了)
谷口さんは、「世の中が変わるのでない。世の中の見方が変わるのだ。見方が変わると、政策も変わる。一つの情報が、何を根拠にしているか。誰のために語るのか。自分のからだで情報を受けとめて、相手とぶつかることで、はじめて、物が見えてくる。」と話された。
米FRBが、4月29,30日開催の会合の議事録を、5月21日、発表した。08年の米GDP見通しを、当初の年1.3~2%を年0.3~1.2%へ下方修正した。インフレ率については、2009年は小幅引き上げたが、2010年については、平均1.8~2.0%、エネルギーと食料を除いたコア指数で、1.7~1.9%で据え置いた。年率2%でこの先インフレが進むとの予測だ。
FOMCは、4月の会合で、短期の目標金利であるFFレートを、0.25% 下げ年2.0%と決めた。議事録によれば、「経済成長とインフレリスクは均衡点に近づいている」と指摘した。3月18日のFOMC議事録では、「米景気の下ぶれリスクに対する懸念」を強く出していたが、それが4月度議事録では消えた。追加利下げ期待を「公式に」打ち消した。
議事録は、「住宅は不振が続き、その結果、個人消費は明らかに鈍化、企業の設備投資見通しも落ちる」と書いたが、その一方で、「金融市場は、脆弱であり、一部に悪化リスクを残しているが、改善した」と、ここでも追加利下げ期待を打ち消そうとしている。
NY株式市場は、FOMCの4月議事録で、景気後退、利下げ打ち止めを、「売り材料」に使った。しかし、この日、前日比227ドル下げ、12,601ドルで取引された、NYダウ急落は、NY原油先物相場が、一時、バレル133.82ドルまで値上がりし、結局前日比4.19ドル、3.3%急騰したことが大きく影響したと今朝のWSJ紙は解説している。
NY原油(WTI)相場は、昨日の上昇で、年初から39%、5月はじめからでも17%値上がりした。米エネルギー情報庁(EIA)が、先週末の米石油在庫が、輸入の急減により、530万バレル減ったとの発表が引き金になった。
米石油製品在庫は、72万8,000バル増加したが、予測の120万バレル増と比べて大幅に減少した。米ガソリン在庫が、予測の40万増に対して75万5,000バレル減少した。
原油の先物相場には、期近物と同時に数年先の相場がある。2016年12月相場が、バレル142.09ドルまで値上がりしたことも原油相場急騰を助けた。さらに、中国が四川省地震後、オリンピックを目前に控えて、備蓄用に、ディーゼル用原油を買い漁っているとの情報が追い討ちをかけているとWSJ紙は解説している。
原油を買い求めて長い行列が出来ているとイメージすれば分かりやすい。人が並んでいるのを見るとつい並びたくなるものだ。「バレル150ドルは投機だ。世界の石油は余っている」とOPECが声高に叫んでも無視される。OPECは上がり過ぎの反動を怖れている。
バレル150ドル原油は、自分にとって何を意味するのだろうか。米FRB議事録は、なにを狙いとして公表されたのか。原油150ドル目前で、日本の力量が問われている。(了)