ハリックの診断即治療&虹彩と、Kenさんの経済学&スケッチ

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NYドル103.70円、NYダウ130ドル高、潮目の変化か?(学校で教えてくれない経済学)

2008-05-13 08:44:18 | 経済学
 中国四川省でM(マグニチュード)8.7を超える地震が発生した。日本でも最近、M3~4クラスの地震が頻発しており、油断ならない。今回の中国での地震は、阪神淡路大地震とほぼ同規模と推定されるが、13年前の恐怖が、昨日の如く、蘇って来て戦慄を覚えた。
 専門家の解説によれば、今回、地震が発生した地域は、中国側のユーラシアプレートに、インド側のインド・オーストラリアプレートが南からぶつかる、地震多発地域である。皮肉なことに、最近、チベット族の暴動が起こった場所でもある。
 地震も暴動も、起こるべくして起こったのであろうが、8月に北京オリンピックを控えて、中国政府も頭の痛いことであろう。ミャンマーではサイクロンが発生し、2万人以上の犠牲者が出たと言われる。自然は先が読めない。日本でも夏日が続いたあと、ここ数日は一転して、肌寒い日が続いている。世界的異常気象が、穀物相場にも大きな影を落としている。
 NY外国為替市場で、5月12日、ドルは、対ユーロで売られ、1ユーロ=1.5553ドルで取引された。一方、対円では、ドルが買われ、1ドル=103.70円前後で取り引きされた。
 NY原油先物市場で、同日、WTI(軽質油)が、一時、バレル126.40ドルの史上最高値をつけたあと、利益確定の売りが出て、バレル123.84ドルで取引を終了した。
NY株式市場で、同日、企業合併のニュースに加えて、原油相場が下押ししたことを受けて、NYダウは、前日比130ドル高の12,876ドルで取引を終了した。ナスダック、S&P500種平均も値上がりした。先行き楽観できないが、上に向けた潮目の変化は感じられる。
為替市場では、先週末、ウオールストリートジャーナル紙と英フィナンシァルタイムズが、米国高官筋が語る話として、次回のG7の会合で、ドル安定のための施策が進められているとのニュースを流している。ただ、具体的根拠は全くないと米金融当局は否定している。
地震の予測は、専門家でも、事実上不可能であると言われているが、為替相場は、エコノミストの墓場と言われている。いかに為替の予測が難しいかを教える言葉であろう。
相場の世界には、為替に限らず、相場は相場に聞けという格言がある。相場は物知りだという言葉もある。水鳥の動きを観察していると参考になることが多いが、それは、彼らは、命がけで、餌場〈リターン〉を嗅ぎつけて動くからだろう。
最近の為替市場では、先の米高官の発言のように、ドル相場の底打ちを示唆する発言が目立っている。ここ数ヶ月、ドルは特に対ユーロで売られた。1ユーロ=1.60ドルまでドルが値下がりした。ドル値下がりの原因は多々あるが、米FFレートの急激な利下げが大きい。
昨日のNY為替市場では、ドルは対ユーロで、値上がりした。しかしながら、ユーロ圏では、余りにも急激なユーロ高で、輸出にブレーキがかかる。ECB(欧州中央銀行)が、ユーロ高に歯止めをかける狙いから、利下げに踏み切るとの観測が底流を流れている。
ただ、対円では、NYダウが反発に併せて、円を売り、ドルを買う動きが出て、ドルは値上がりした。NYダウが上がれば、円高、NYダウが下がれば、円高というパターンもこのところほぼ定着している。新日銀総裁の、利下げに含みを残す、昨日の発言も影響した。
地震と相場を同列に並べるとは不謹慎だとお叱りを受けるかもしれない。しかし、日本は貿易立国、資源輸入大国である。為替の潮目の変化には、目を離すことは出来ない。(了)

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世界の資源市場は、戦争状態に突入したのか?(学校で教えてくれない経済学)

2008-05-13 07:31:52 | 経済学
 日本人の特徴を表す話に、船が航海中、沈み始めた時、船長は、日本人には、「みなさん、飛び込んでますよ」と言うに限る、との世界的に有名なジョークがある。
それだけではない。先日、「あの戦争になぜ負けたのか」(6人の共著)(文春文庫)を読んだ。太平洋戦争開戦前後、様々な場数を踏んで,体制の変化、各組織の調整などを率先して行える、いわゆるゼネラリストが、海軍にも陸軍にも、日本に不在だったと書いてあった。
海軍には、陸軍に吸収されるという怖れが発足当初からあった。海軍は一緒に戦っている陸軍にさえ本当のことを教えなかった。それがウソで固められた大本営発表になったという。多くの企業でも、日常茶飯、営業だ、技術だと、子供だましのように、張り合っている。
石油を輸入している当の相手のアメリカと戦争を始めるなどは論外だが、中でも、不幸なのは前線で勇敢に戦った兵士である。武器弾薬は当然だが、一番肝心な食糧が前線に送られなかった。戦場で230万ともいわれる戦死者を出したが、その大部分は餓死だったという。
世界の穀物相場が暴騰している。この1年で、小麦、大豆、トウモロコシが2倍になった。ここ数ヶ月で、米の値段は3倍にはねあがった。エジプト、ソマリア、カメルーン、モロッコ、フィリピン、ハイチなど世界各地で、食を求めて暴動が起こっていると伝えられる。
日本の食糧は、約60%を輸入に依存している。自給率100%の米は、目先、大丈夫と言われているが、米の輸出国ミヤンマーがサイクロン被害のあと輸入国に転じれば、相場押し上げ要因になる。休耕田を荒れるに任せる、日本の農業政策を見ると、米とて油断できない。
90%近くを輸入している小麦相場の急騰は、スパゲッティ,うどん、パン、ケーキの値上げに即響いてきている。大豆の値上げは、醤油、味噌に加えて、豆腐の値段を引き上げる。トウモロコシの値上げは、家畜・家禽の飼料代を引き上げ、肉、卵の値段を押し上げる。
米農務省は、5月10日、08年の米国のトウモロコシの作付面積が、大豆、小麦に取られ、7.3%減少すると発表した。一方、米エタノール業界団体によると、今年秋作トウモロコシの1/3が、政府の優遇政策の結果、エタノール用にまわされると発表した。
ガソリンの値段がガロン4ドルを越えるのは時間の問題だから、トウモロコシがさらにエタノールに化ければ、畑を追われる小麦、大豆の相場高騰に弾みがつきそうだ。
大元の原油相場は、ガソリン用に主として使われるWTI(軽質油)は、バレル125ドル台で頑強だ。ブレント(重質油)もバレル124ドル台へ値上がりした。日本のドバイ原油の相場が、5月11日、はじめてバレル120ドル台まで上昇した。
原油値上がりで、天然ガスの相場も急騰している。日本の電力業界が、天然ガスを大量に輸入したことも影響している。電力用では、石炭の国際相場が、ここ一年で3倍になった。石炭輸出国だった中国は、07年、初めて、輸入が輸出を上回った。
中国政府は、5月11日、4月の消費者物価指数が、前年同月比8.5%,食料品は22%、なかでも豚肉は68%、食用油が14%上昇と発表した。中国は04年に既に食料の純輸入国である。中国は、食の洋風化で、大豆油、鶏卵、肉類の消費が2倍から4倍に拡大している。
今や資源を巡って、世界は戦争状態に突入しているのではなかろうか。時間が許す向きには、「あの戦争になぜ負けたのか」は、お勧め出来る、一冊だと思う次第である。(了)

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