ハリックの診断即治療&虹彩と、Kenさんの経済学&スケッチ

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NY原油バレル126ドル突破、円102円台、NYダウ120ドル安(学校で教えてくれない経済学)

2008-05-10 08:57:09 | 経済学
舞踊や歌舞伎の世界に、「裾捌〈すそさばき〉」という言葉がある。広辞苑で引くと、「着物の裾が乱れたり絡んだりしないような足のこなし」と出ていた。「捌く」という言葉を広辞苑で引くと、「からまったり、くっついたりしているものを、手で解きわけること。転じて、商品を売りこなす。利益をあげること」などと出ていた。
相撲の世界では、前捌きなどと使う。前捌きのうまい力士が減ったそうだ。野球では、グラブ捌きのうまい選手などと使う。料理の世界では、包丁捌きである。「捌き」は「こなし」、「こなし」は「熟」と書く。広辞苑によれば、「思うままに扱う。処理する」とある。
NY原油先物市場で、5月9日、WTI(軽質油)の相場が、一時、バレル126.25 ドルを突破、125.96ドルで取引を終了した。ブレント(重質油)も、一時、バレル125ドルを突破した。この日の値上がりのきっかけは、暖房シーズンが終わったにもかかわらず、暖房用油の在庫が、昨年比11%減ったことが材料に使われた。
NY原油〈WTI〉相場は、5月だけで11%、年初から31%値上がりし、一年前と比べれば2倍になった。中国、インド、中東中心に原油に対する需要が増えている一方で、世界の原油生産の40%を占めるOPECが生産枠据え置きとロシアなど非OPEC産油国の生産頭打ちが背景にある。
原油相場の押し上げ要因として、ここ数ヶ月、ドル安が指摘されてきた。ドルは、対ユーロで5%値下がりした。ところが最近は、ドルが安いから原油を買うという「謳い文句」が後退し、需給逼迫というファンダメンタルズ要因が全面に出てきた。
ナイジエリア石油相、Odein Ajumogobiaは、WSJ紙のインタービューに、「我々はマーケットの動向を注意深く見守っている。適切とならば、介入の用意がある」と語ったとWSJ紙は伝えている。この発言がナイジエリアの備蓄原油放出の意味かどうか不明である。
一方、NY外国為替市場で、世界最大の保険会社AIG(American International Group)が3月決算で78億ドル(約8,000億円)の損失を出したことを嫌気して、ドルが売られ、1ユーロ=1.5482ドル、1ドル=102.98円で取引された。ドルは、一時、1ドル=102.61円まで売られた。
NY株式市場は、AIG赤字決算に加えて、NY原油が、史上最高値を更新したことで相場の地合いは一気に悪化、前日比120ドル安の12,745ドルで取引された。AIG株の8.8%値下がりもその他金融セクター株の値下がりをリードした。金融不安が後退したかに見えたが、6月決算を見るまでは安心できないとの不安感が、再び、台頭して来たようだ。
日本と言う国は、石油の海に浮かぶ船のようなものである。言い古された話であるが、1941年、当時、日本は、米国からの石油にほぼ100%頼っていた。その石油をアメリカに止められ、勝つメドが全くない米国相手に戦争を始めた。油の一滴は血の一滴に勝ると太平洋戦争で300万人が犠牲になった。200ドル原油の持つ意味を冷静に受け止めたい。
石油化学、合繊メーカーの08年3月決算が出揃ったが、いずれも、原料高が減益要因である。09年3月決算で、バレル200ドル原油を前提に、経営を捌き切れる企業は存在するのだろうか。「捌く」「こなす」という言葉の意味を改めて噛みしめてみることが必要だ。(了)

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