(学校で教えてくれない経済学)
ひとの振り見てわが振り直せ。自分の前を歩いている人の後姿をなにげなく見ているとからだが右か左か、どちらかに傾いている人が、男女を問わず結構多い。ご婦人でも前から見ればそれなりに見られるひとも、ご自身の後姿までには気が回らないのであろう。
中国四川省での大地震が連日、マスコミで取り上げられている。13年前に神戸でも手ひどい被害を受けた。地震は断層のゆがみから起こる。人間は、からだのゆがみ、ひずみが原因で病気になる。経済も同じで、ゆがみ、ひずみが原因で、病気になる。
経済にゆがみ、ひずみをもたらしているものは何か。その最たるものが原油急騰である。原油相場が先週、バレル135ドルを記録した。多少の調整はあろうが、高値水準で定着するとの見方が一般的になってきた。1年で2倍だが、いまだピンときていない人が多い。
原油急騰で、日本の電力会社が、電気料金を上げざるをえないと悲鳴を上げている。現在、料金に上限を設けているが、上限撤廃を当局へ申し入れたとテレビのテロップに流れていた。
電力会社が使う石炭が3倍になり、新潟地震で原発の操業が低下した。昨年から輸入を増やした天然ガスの値段が2倍である。2割、3割の値上げでもこたえる。現実に起こっている現象は、2倍、3倍だ。値上げをユーザーにお願いしないと、経営が成り立たない。
神戸市内でG8環境相会議が開かれている。温室効果ガスを2050年に半減することを目玉に閉会すると今朝の新聞に出ていた。会議に出ているひとで、何人がその時まで生きておられるだろうか。気の遠くなる先の話でないと、意見がまとまらない。それが現実である。
返済のメドがないとわかっていながら貸し続けて、その咎めが出たのがサブプライムローン問題である。3月にベアスターンズ証券を米FRBが乗り出しての救済で峠を越したが、一端出来たからだのひずみは、なかなかとれない。いまだに、米住宅価格は下げ続けている。
米国は短期の政策金利〈FFレート〉を年2.0%まで引き下げた。その結果、預金金利も年0.25%まで低下した。0.1%台の預金金利は日本の専売特許と思っていたが、米国の金利は高いからお得ですよと、先日まで素人相手に勧誘していた日本の金融機関の顔が見たい。
その一方で、債券相場は値下がり、利回りは1.8台へ上昇している。サブプライムローン問題がピークの3月前後は年1.3%台だった。様変わりである。原油急騰がもたらしたひずみだが、年2.0%になるのも時間の問題だろう。長期金利急上昇は住宅ローン金利を上げる。
ひずみは為替市場でも見られる。米国がサブプライムローン問題退治にFFレートを5.25%から2.0%へ引き下げ過程で、ドルの対ユーロ相場は、1ユーロ=1.6017ドルまで急落した。ECB(欧州中央銀行)は、インフレを怖れて、政策金利年4.0%を変更しない。
ユーロ圏の消費者物価指数はここ数年、年2.0%前後で安定していた。それがここへ来て年3.5%台まで急上昇している。欧州では特にドイツで、ハイパーインフレで、お札をリヤカーで運ぶ姿が写真に残されている。お金が紙切れ同然になった苦い経験が生きている。
日本でも敗戦翌年の昭和21年(1946)2月17日、預金封鎖し、新円に切り替えた。亡父はその時の朝日新聞を残している。四川省の大地震も他人事なら、神戸の震災も早や忘却の彼方である。日本は100%近くの原油をアメリカから輸入していた。そのアメリカ相手に戦争を始めた。理屈だけこねる人が多くなった。まず足元を見直すことが求められる。(了)
ひとの振り見てわが振り直せ。自分の前を歩いている人の後姿をなにげなく見ているとからだが右か左か、どちらかに傾いている人が、男女を問わず結構多い。ご婦人でも前から見ればそれなりに見られるひとも、ご自身の後姿までには気が回らないのであろう。
中国四川省での大地震が連日、マスコミで取り上げられている。13年前に神戸でも手ひどい被害を受けた。地震は断層のゆがみから起こる。人間は、からだのゆがみ、ひずみが原因で病気になる。経済も同じで、ゆがみ、ひずみが原因で、病気になる。
経済にゆがみ、ひずみをもたらしているものは何か。その最たるものが原油急騰である。原油相場が先週、バレル135ドルを記録した。多少の調整はあろうが、高値水準で定着するとの見方が一般的になってきた。1年で2倍だが、いまだピンときていない人が多い。
原油急騰で、日本の電力会社が、電気料金を上げざるをえないと悲鳴を上げている。現在、料金に上限を設けているが、上限撤廃を当局へ申し入れたとテレビのテロップに流れていた。
電力会社が使う石炭が3倍になり、新潟地震で原発の操業が低下した。昨年から輸入を増やした天然ガスの値段が2倍である。2割、3割の値上げでもこたえる。現実に起こっている現象は、2倍、3倍だ。値上げをユーザーにお願いしないと、経営が成り立たない。
神戸市内でG8環境相会議が開かれている。温室効果ガスを2050年に半減することを目玉に閉会すると今朝の新聞に出ていた。会議に出ているひとで、何人がその時まで生きておられるだろうか。気の遠くなる先の話でないと、意見がまとまらない。それが現実である。
返済のメドがないとわかっていながら貸し続けて、その咎めが出たのがサブプライムローン問題である。3月にベアスターンズ証券を米FRBが乗り出しての救済で峠を越したが、一端出来たからだのひずみは、なかなかとれない。いまだに、米住宅価格は下げ続けている。
米国は短期の政策金利〈FFレート〉を年2.0%まで引き下げた。その結果、預金金利も年0.25%まで低下した。0.1%台の預金金利は日本の専売特許と思っていたが、米国の金利は高いからお得ですよと、先日まで素人相手に勧誘していた日本の金融機関の顔が見たい。
その一方で、債券相場は値下がり、利回りは1.8台へ上昇している。サブプライムローン問題がピークの3月前後は年1.3%台だった。様変わりである。原油急騰がもたらしたひずみだが、年2.0%になるのも時間の問題だろう。長期金利急上昇は住宅ローン金利を上げる。
ひずみは為替市場でも見られる。米国がサブプライムローン問題退治にFFレートを5.25%から2.0%へ引き下げ過程で、ドルの対ユーロ相場は、1ユーロ=1.6017ドルまで急落した。ECB(欧州中央銀行)は、インフレを怖れて、政策金利年4.0%を変更しない。
ユーロ圏の消費者物価指数はここ数年、年2.0%前後で安定していた。それがここへ来て年3.5%台まで急上昇している。欧州では特にドイツで、ハイパーインフレで、お札をリヤカーで運ぶ姿が写真に残されている。お金が紙切れ同然になった苦い経験が生きている。
日本でも敗戦翌年の昭和21年(1946)2月17日、預金封鎖し、新円に切り替えた。亡父はその時の朝日新聞を残している。四川省の大地震も他人事なら、神戸の震災も早や忘却の彼方である。日本は100%近くの原油をアメリカから輸入していた。そのアメリカ相手に戦争を始めた。理屈だけこねる人が多くなった。まず足元を見直すことが求められる。(了)