(学校で教えてくれない経済学)
3月13日の米FOMC(連邦公開委員会)議事録が発表され、米FRB(連邦準備制度理事会)が、①米国経済は穏やかに回復している、②新規の国債購入を行わないことを決めるなど追加の量的金融緩和に消極的だったとして、株、債券、原油、金全てが値下がりしたと、4月3日付けのWSJ紙電子版が伝えていた。4日朝8時15分着信のCNBC Asia Pacific電子版も米FOMC議事録が投資家に失望感を与えたと書き、当の会合で先行きのインフレ懸念も鎮静化していると指摘されたと記事冒頭に書いていた。
米債券は議事録発表の後急落、10年物米国債利回りは2.3%台へ急騰、NY金先物相場は、トロイオンス38ドル、約2%下げ、1,642ドルで取引を終えたとCNBC電子版は書いた。CNBCはさらなる懸念材料として、スペインの赤字額がGDPの68.5%が79.8%へ拡大予測から利払いがさらに増える。そうなれば、政府が取り組む緊縮財政政策も破綻する。それを懸念して、3日、欧州株が軒並み売られたとことも、NY株安を助長したと書いていた。
3日のNY原油(WTI)相場は、米東部時間午後2時発表の米FOMC議事録を見て、下げに転じ、前日比バレル1.22ドル、1.2%安、104.01ドルで取引を終えた。原油生焚に多く使われるブレントオイルもバレル46セント、0.4%下げ、124.31ドルで取引を終えた。この日の原油値下がりには、イランとの緊張が緩和し同時にサウジの原油増産さらに戦略備蓄原油放出の話題、米原油在庫増加レポートが影響したと3日付けWSJ紙は指摘していた。
3日のNY金先物相場も、米FOMC議事録発表後急落した。3日のWSJ紙によればマ―ケットが期待していた第3ラウンドの量的金融緩和Q3に対する熱が冷めた。FOMCの一部メンバーは、米景気が減速すればQ3は必要と発言したが、他のメンバーが今以上の金融緩和はインフレリスクが生まれると指摘した。多くのメンバーが長期的に見てインフレ率は2%以内にとどまると見ていることが分かった。金相場は追加の金融緩和を期待して上げていたと書いていた。
3日のNYダウは、前日比64ドル安、13,199ドルで取引を終えた。4日朝6時台の「ワールドWaveMorning」(経済情報)に出演したみずほコーポレート銀行、荒井守氏は「欧州株安、米FOMCで追加の金融緩和は必要なしと指摘したことからNYダウが売られた。NY外国為替市場では、金融緩和期待の後退からドルが対ユーロで買われた。ドルは対円でも買われ1ドル=82.83~86円、ユーロが、スペインの財政懸念、欧州金融不安再燃で売られ、1ユーロ=109.52~57円で取引された。4月6日発表の米雇用統計を注目している」などと解説していた。
朝7時台の「ワールドWaveMorning」で放送されたスペインTVEは「3月のスペインの失業者が前月比3.8万増え、475万を超えた。野党は緊縮予算案で雇用対策費を削ったからだと激しく非難している様子を伝えていた。ギリシャ危機は見かけ鎮静化している。かねてから懸念されていたスペイン経済が破たんすれば、先日決めた追加7,000億ユーロ{内2,000億ユーロ:ギリシャ分}では「防火壁」の役割を果たせないとの議論が再燃するだろう。赤字削減と経済拡大、失業を減らすという相矛盾する政策などそもそも成り立たないことをマ―ケットは見抜いている。ヨーロッパ金融不安は一筋縄では解決しない。
4日朝7時台の「ワールドWaveMorning」(世界の扉)コーナーでは、野田総理がオバマ大統領との会談を近々予定している。ホワイトハウス内で日本に対する不信感が高まっていると伝えていた。TPP交渉に関連して、野田総理が昨年、オバマ米大統領と会って前向きに解決すると約束(Commit)したと伝えられる。ところが2ケ月後に訪米した日本政府国会議員団が全く違う内容の話しをしたと今朝の「世界の扉」では解説していた。アメリカはTPPと言えば総括的(Comprehensive)である。交渉ごとには選択的(Selective)、例外品目の扱いはそもそも存在しない。守れない約束なら、はじめから約束(Commit)しないことだ。
今朝の「ワールドWaveMorning」を見ていて40年前の日米繊維交渉の時の日本の対応と酷似しているなと正直思った。包括規制でアメリカは当然の如く臨んだ。日本は個別で対応した。40年前、こじれにこじれたのは、佐藤・ニクソン間で密約があったからだ。果たして今回はどうなのだろうか。40年前はニクソン米大統領が大統領選挙選で南部2州に繊維規制を約束して、かつ僅差で当選した。今回は、オバマ大統領にはニクソンのような追い込まれた状態にはない。しかし、一国の総理が仮に米国に約束(Commit)していたのならことは簡単に収まらないだろう。
ガソリン高騰、原油高がここへきて一気に米大統領選挙の争点に浮上してきている。TPP問題は当面のアメリカの緊急事ではない。もし、オバマ大統領が会うのであれば、当然目的があるからだろうと考えるのが自然であろう。国として全く体をなしていない今の日本を憂慮するばかりである。(了)
3月13日の米FOMC(連邦公開委員会)議事録が発表され、米FRB(連邦準備制度理事会)が、①米国経済は穏やかに回復している、②新規の国債購入を行わないことを決めるなど追加の量的金融緩和に消極的だったとして、株、債券、原油、金全てが値下がりしたと、4月3日付けのWSJ紙電子版が伝えていた。4日朝8時15分着信のCNBC Asia Pacific電子版も米FOMC議事録が投資家に失望感を与えたと書き、当の会合で先行きのインフレ懸念も鎮静化していると指摘されたと記事冒頭に書いていた。
米債券は議事録発表の後急落、10年物米国債利回りは2.3%台へ急騰、NY金先物相場は、トロイオンス38ドル、約2%下げ、1,642ドルで取引を終えたとCNBC電子版は書いた。CNBCはさらなる懸念材料として、スペインの赤字額がGDPの68.5%が79.8%へ拡大予測から利払いがさらに増える。そうなれば、政府が取り組む緊縮財政政策も破綻する。それを懸念して、3日、欧州株が軒並み売られたとことも、NY株安を助長したと書いていた。
3日のNY原油(WTI)相場は、米東部時間午後2時発表の米FOMC議事録を見て、下げに転じ、前日比バレル1.22ドル、1.2%安、104.01ドルで取引を終えた。原油生焚に多く使われるブレントオイルもバレル46セント、0.4%下げ、124.31ドルで取引を終えた。この日の原油値下がりには、イランとの緊張が緩和し同時にサウジの原油増産さらに戦略備蓄原油放出の話題、米原油在庫増加レポートが影響したと3日付けWSJ紙は指摘していた。
3日のNY金先物相場も、米FOMC議事録発表後急落した。3日のWSJ紙によればマ―ケットが期待していた第3ラウンドの量的金融緩和Q3に対する熱が冷めた。FOMCの一部メンバーは、米景気が減速すればQ3は必要と発言したが、他のメンバーが今以上の金融緩和はインフレリスクが生まれると指摘した。多くのメンバーが長期的に見てインフレ率は2%以内にとどまると見ていることが分かった。金相場は追加の金融緩和を期待して上げていたと書いていた。
3日のNYダウは、前日比64ドル安、13,199ドルで取引を終えた。4日朝6時台の「ワールドWaveMorning」(経済情報)に出演したみずほコーポレート銀行、荒井守氏は「欧州株安、米FOMCで追加の金融緩和は必要なしと指摘したことからNYダウが売られた。NY外国為替市場では、金融緩和期待の後退からドルが対ユーロで買われた。ドルは対円でも買われ1ドル=82.83~86円、ユーロが、スペインの財政懸念、欧州金融不安再燃で売られ、1ユーロ=109.52~57円で取引された。4月6日発表の米雇用統計を注目している」などと解説していた。
朝7時台の「ワールドWaveMorning」で放送されたスペインTVEは「3月のスペインの失業者が前月比3.8万増え、475万を超えた。野党は緊縮予算案で雇用対策費を削ったからだと激しく非難している様子を伝えていた。ギリシャ危機は見かけ鎮静化している。かねてから懸念されていたスペイン経済が破たんすれば、先日決めた追加7,000億ユーロ{内2,000億ユーロ:ギリシャ分}では「防火壁」の役割を果たせないとの議論が再燃するだろう。赤字削減と経済拡大、失業を減らすという相矛盾する政策などそもそも成り立たないことをマ―ケットは見抜いている。ヨーロッパ金融不安は一筋縄では解決しない。
4日朝7時台の「ワールドWaveMorning」(世界の扉)コーナーでは、野田総理がオバマ大統領との会談を近々予定している。ホワイトハウス内で日本に対する不信感が高まっていると伝えていた。TPP交渉に関連して、野田総理が昨年、オバマ米大統領と会って前向きに解決すると約束(Commit)したと伝えられる。ところが2ケ月後に訪米した日本政府国会議員団が全く違う内容の話しをしたと今朝の「世界の扉」では解説していた。アメリカはTPPと言えば総括的(Comprehensive)である。交渉ごとには選択的(Selective)、例外品目の扱いはそもそも存在しない。守れない約束なら、はじめから約束(Commit)しないことだ。
今朝の「ワールドWaveMorning」を見ていて40年前の日米繊維交渉の時の日本の対応と酷似しているなと正直思った。包括規制でアメリカは当然の如く臨んだ。日本は個別で対応した。40年前、こじれにこじれたのは、佐藤・ニクソン間で密約があったからだ。果たして今回はどうなのだろうか。40年前はニクソン米大統領が大統領選挙選で南部2州に繊維規制を約束して、かつ僅差で当選した。今回は、オバマ大統領にはニクソンのような追い込まれた状態にはない。しかし、一国の総理が仮に米国に約束(Commit)していたのならことは簡単に収まらないだろう。
ガソリン高騰、原油高がここへきて一気に米大統領選挙の争点に浮上してきている。TPP問題は当面のアメリカの緊急事ではない。もし、オバマ大統領が会うのであれば、当然目的があるからだろうと考えるのが自然であろう。国として全く体をなしていない今の日本を憂慮するばかりである。(了)