(学校で教えてくれない経済学)
「マクロ的な『鳥の目』、ミクロ的な『虫の目』、流れの変化を見極める『魚の目』の三つの視点で物事を見て欲しい。」と地元企業、神戸製鋼所の社長、佐藤広士さんが、2日開かれた同社の入社式で話したと伝える4月3日付けの読売朝刊経済欄の記事が印象に残った。
17年前、神戸は阪神・淡路大震災で多大の被害を受けた。神戸製鋼所も企業存続が危ぶまれる深刻な事態に見舞われた。震災の年に生まれた赤ん坊が高校を来春、卒業するまでになった。自宅マンションでもそうだが、街のそこここでお年寄りの姿が目立つようになった。その一方で、震災の記憶が日増しに、薄れていく。昨年3.11には日本は、東日本大震災と言う未曽有の災害に見舞われた。しかし、足元の復興は、なぜか遅々として進んでいないと伝えられる。
他方、このところの世界情勢はと言えば、米国に景気回復を伝えるかすかな明かりがトンネルの先に見えるとは言うものの、ギリシャ危機に端を発した欧州金融不安の早急な解消の兆しは見えない。核エネルギー開発を巡ってのイラン、北朝鮮の動きにも具体的な解決策を各国首脳の間でも持ち合わせていない。むしろ世界は益々混迷の度合いを深めている。今日と言うこの日にも、何が起こってもおかしくない、大変な時だからこそ、虚心坦懐に、「鳥の目」「虫の目」「魚の目」で物事を見て欲しいと、佐藤社長は、若者に訴えたかったのかもしれない。
朝5時45分から始まる「モーニングサテライト」で、末武里佳子キャスターが、ユーロ圏17国の2月の失業率が平均で10.8% と8ケ月連続で悪化、14年半ぶりの高水準に達した。特にスペインは最悪の23.6%,なかでも25歳以下の若者の失業率は50.5%を記録した。緊縮財政堅持と経済成長という極めて難しい運営が求められる厳しい状況にあると解説していた。
欧米でサマータイムが実施された関係で「ワールドWaveMorning」の放送が朝6時からに変更された。いきなり米CNNがカリフォル二ア洲の宗教系の大学で起こった銃乱射事件を伝え、英BBCがフオークランド開戦30周年記念日のこの日、英国、アルゼンチン双方で戦争の犠牲者追悼の式典が開かれたと伝えていた。アナン元国連事務総長の仲裁案にも関わらず、シリアでは内戦が依然続いているとカタール、アルジャジ―ラが伝えていた。
6時台放送の米ブルームバーグニュ-スに出演した米証券トレーダー、D.モガべロさんは「全ては4月6日発表の米雇用統計待ちです。結果次第では売りぬけます。」とケラケラと笑って答えていた。この日発表された米供給管理協会まとめの3月のISM米製造業景況感指数は改善を示した。しかし、9ケ月先の景況感は前回と比べて悪化した。足元のデータはいい。先で悪化すると見ていることを裏付けた。相場の世界では鳥のように逃げ足が早い。米企業経営者は、先へ行けばいくほど難しい状況になると見ているようだ。
「ワールドWaveMorning」(経済情報)に出演した三井住友銀行、森谷亨氏は「NYダウは朝方は金融株が売られ安くはじまったが、ISM指数が堅調だったことを受けて値を戻した。4月6日の雇用統計を注目している。米FRBの金融緩和政策に変更があるかどうか。雇用改善で景気が強いことは歓迎する。しかし、強すぎないことの方が相場にとっては有難い」などと話していた。
2日、NY外国為替市場では、1ドル=82.04~08円、1ユーロ=109.31~36円で取引された。NY原油(WTI)は買い戻しが入りバレル2.21ドル高、105.23ドル、NY金先物相場はトロイオンス8.20ドル高、1,677.50ドルで終了した。
読売朝刊の入社式の記事に戻す。川崎重工業、長谷川聡社長は「恐竜が滅んだのは、環境変化に対応できなかったためだ。会社も同じである。危機感を持って欲しい。」と話したと紹介していた。川崎重工は、かって神戸の基幹産業の一翼を担っていた。土地の人間は「川重さん」と呼んだ。子供時代、いたるところにあった「川重」の独身寮をよく覚えている。さらに遡っては、栄華を極めた平清盛が、神戸、和田の泊まりを作った跡が今も残っている。今や昔の物語である。(了)
「マクロ的な『鳥の目』、ミクロ的な『虫の目』、流れの変化を見極める『魚の目』の三つの視点で物事を見て欲しい。」と地元企業、神戸製鋼所の社長、佐藤広士さんが、2日開かれた同社の入社式で話したと伝える4月3日付けの読売朝刊経済欄の記事が印象に残った。
17年前、神戸は阪神・淡路大震災で多大の被害を受けた。神戸製鋼所も企業存続が危ぶまれる深刻な事態に見舞われた。震災の年に生まれた赤ん坊が高校を来春、卒業するまでになった。自宅マンションでもそうだが、街のそこここでお年寄りの姿が目立つようになった。その一方で、震災の記憶が日増しに、薄れていく。昨年3.11には日本は、東日本大震災と言う未曽有の災害に見舞われた。しかし、足元の復興は、なぜか遅々として進んでいないと伝えられる。
他方、このところの世界情勢はと言えば、米国に景気回復を伝えるかすかな明かりがトンネルの先に見えるとは言うものの、ギリシャ危機に端を発した欧州金融不安の早急な解消の兆しは見えない。核エネルギー開発を巡ってのイラン、北朝鮮の動きにも具体的な解決策を各国首脳の間でも持ち合わせていない。むしろ世界は益々混迷の度合いを深めている。今日と言うこの日にも、何が起こってもおかしくない、大変な時だからこそ、虚心坦懐に、「鳥の目」「虫の目」「魚の目」で物事を見て欲しいと、佐藤社長は、若者に訴えたかったのかもしれない。
朝5時45分から始まる「モーニングサテライト」で、末武里佳子キャスターが、ユーロ圏17国の2月の失業率が平均で10.8% と8ケ月連続で悪化、14年半ぶりの高水準に達した。特にスペインは最悪の23.6%,なかでも25歳以下の若者の失業率は50.5%を記録した。緊縮財政堅持と経済成長という極めて難しい運営が求められる厳しい状況にあると解説していた。
欧米でサマータイムが実施された関係で「ワールドWaveMorning」の放送が朝6時からに変更された。いきなり米CNNがカリフォル二ア洲の宗教系の大学で起こった銃乱射事件を伝え、英BBCがフオークランド開戦30周年記念日のこの日、英国、アルゼンチン双方で戦争の犠牲者追悼の式典が開かれたと伝えていた。アナン元国連事務総長の仲裁案にも関わらず、シリアでは内戦が依然続いているとカタール、アルジャジ―ラが伝えていた。
6時台放送の米ブルームバーグニュ-スに出演した米証券トレーダー、D.モガべロさんは「全ては4月6日発表の米雇用統計待ちです。結果次第では売りぬけます。」とケラケラと笑って答えていた。この日発表された米供給管理協会まとめの3月のISM米製造業景況感指数は改善を示した。しかし、9ケ月先の景況感は前回と比べて悪化した。足元のデータはいい。先で悪化すると見ていることを裏付けた。相場の世界では鳥のように逃げ足が早い。米企業経営者は、先へ行けばいくほど難しい状況になると見ているようだ。
「ワールドWaveMorning」(経済情報)に出演した三井住友銀行、森谷亨氏は「NYダウは朝方は金融株が売られ安くはじまったが、ISM指数が堅調だったことを受けて値を戻した。4月6日の雇用統計を注目している。米FRBの金融緩和政策に変更があるかどうか。雇用改善で景気が強いことは歓迎する。しかし、強すぎないことの方が相場にとっては有難い」などと話していた。
2日、NY外国為替市場では、1ドル=82.04~08円、1ユーロ=109.31~36円で取引された。NY原油(WTI)は買い戻しが入りバレル2.21ドル高、105.23ドル、NY金先物相場はトロイオンス8.20ドル高、1,677.50ドルで終了した。
読売朝刊の入社式の記事に戻す。川崎重工業、長谷川聡社長は「恐竜が滅んだのは、環境変化に対応できなかったためだ。会社も同じである。危機感を持って欲しい。」と話したと紹介していた。川崎重工は、かって神戸の基幹産業の一翼を担っていた。土地の人間は「川重さん」と呼んだ。子供時代、いたるところにあった「川重」の独身寮をよく覚えている。さらに遡っては、栄華を極めた平清盛が、神戸、和田の泊まりを作った跡が今も残っている。今や昔の物語である。(了)