ハリックの診断即治療&虹彩と、Kenさんの経済学&スケッチ

虹彩には、体質や、現在、過去、未来、のデータが秘められています。虹彩学による虹彩分析を針灸、巨針、食事療法の指針に!

北方領土問題:笠谷和比古氏(スケッチ&コメント)

2011-03-15 06:37:39 | スケッチ


北方領土問題:笠谷和比古氏

江嵜企画代表・Ken



「北方領土」問題について、笠谷和比古氏(国際日本文化研究センター教授)の話を、3月12日午後2時半から「楽問塾」セミナールームで、約2時間、興味深く聞くことが出来た。

「北方領土」とは、国後、択捉、歯舞、色丹の4島のことだと、いつの間にか日本人は思うようになった。実はそうではない。歴史考察をすれば、全千島列島が日本の領土であることがはっきりしていると笠谷氏は話をはじめた。

嘉永6(1853)年12月に、長崎で、ロシアと日本は、日本開港と国境確定交渉を開始した。その時の日本側全権は大目付格の筒井政憲と勘定奉行の川路聖謨だった。

川路聖謨は、出石の家老職で、出石騒動に連座したかどで奈良に左遷されていた。急遽、ロシアとの交渉に抜擢された。日露交渉開始直後、安政元年(1854),クリミア戦争が勃発、交渉は中断した。

そのため、川路聖謨は、その年の3月から始まった日米和親条約で活躍することになる。その年の12月、日露和親条約が締結され、千島列島の択捉とウルップの間に国境線が確定、樺太(サハリン)は従来の慣例通り両国民雑居と明記された。

川路聖謨は、「巧妙な弁論でもって知性を閃かせた。しかし、彼を尊敬しないわけにはいかなった」と「日本渡航記」(ゴンチァ-ロフ)に残されていると笠谷氏は紹介した。

明治8年(1875)、樺太・千島交換条約が締結、樺太はロシア領、ウルップ以北の北千島全島が日本の領土となった。ここまではロシアは友好的な隣人だった。力づくで取ったのでない。合意の上で取った。力づくで取った領土は、必ず力づくで取り返されると笠谷氏は力説した。

明治38年(1905)日露戦争後のポーツマス条約で、樺太の北緯50度以南をロシアは日本に割譲した。昭和14年(1939)、第二次世界大戦勃発、昭和16年(1941)、4月、日ソ中立条約(領土保全・不可侵、5ケ年期限)が締結された。

昭和20年、クリミア半島ヤルタ会談でルーズベルト、チャーチル、スターリンで、対ドイツ戦後、ソ連は対日参戦、ソ連に南樺太および千島を割譲することが密約された。

昭和26年(1951)、9月、サンフランシスコ講和条約が開かれ、千島列島放棄を日本政府は認め、ソ連による支配が確定した。昭和31年(1956)10月、日ソ共同宣言で戦争状態の終結、歯舞・色丹二島の日本への返還が決まった。以上が日露交渉の経緯である。

日本政府とロシア使節プチャ―チンによって友好裡に締結された日露和親条約による国境確定の歴史に遡り、ポーツマス条約、ヤルタ秘密協定を検討し、領土問題を原点から考察する必要がある。

戦後日本は経済大国の名のもとに金でなんでも解決しようとし過ぎた。巨額の財政赤字をかかえた今こそ、歴史の原点に帰り、筋論から外交交渉を進めることが重要だと,笠谷氏は、強調され、約2時間の講演を終えた。

東北地方に大地震発生直後にも関わらず、大勢、講演に詰めかけていた。会場の様子をいつものようにスケッチした。(了)

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阪神なんば線:車中風景(スケッチ&コメント)

2011-03-14 06:21:56 | スケッチ



阪神なんば線:車中風景

江嵜企画代表・Ken



3週間ぶりの猪熊佳子日本画教室が大阪日本橋であり、阪神なんば線に尼崎から乗った。若者4人が乗り込んで来て、たまたま目の前に並んだ。右の二人は、電車に乗るなり手持ちのiPadに釘づけになっていた。

画面左から二番目の女の子は右どなりの男の子と左の男の子にほぼ互い違いに声をかけていた。女の子の右隣りの男の子は彼女の方に向きを変え相槌を打っていた。

ところが、女の子の右どなりの男の子は女の子に生返事しているのであろうが、何を話しているのか、まったく聞こえない。外目から見ていると文庫本と思しき本に夢中になっていた。

見ていて、これは絵になると思いスケッチを始めた。女の子の目線では、スケッチに気がついた気配だったが、委細構わずペンを走らせた。

東北大地震が少なからず影響していると思われる。今朝の阪神なんば線は10時前の時間帯にしては客が少ない。先の4人は、なんばで全員降りたが、他の乗客に邪魔されることもなく、比較的落ち着いてスケッチ出来たのは幸いだった。

通常はなんば駅で降りる。15分かけて日本橋の電気街にある高島屋別館まで歩く。この日は寝過ごして、いつもより2電車乗り遅れたので、隣駅の日本橋まで足を延ばした。

ひと駅の間だったが、携帯メールにくぎ付けになっている男とおそらく母親だろう赤ちゃんを膝に抱えた女性と彼女に話しかけている女性をあわただしく描き込んで仕上げた。

東北地方の惨状から見れば大阪は別天地である。16年前、神戸で地震に遭った3日あと、大阪に初めて出た。その時も震災現場とそうでない場所との余りの違いに愕然とした記憶がいまも鮮明に残っている。

災害は忘れたころにやってくる。いつまた神戸にも大地震が起こるやもしれず、一日一日かみしめて生きていきたいと改めて身を引き締めている次第である。(了)


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300年来最大の巨大地震、日本を襲う、頑張ってほしいとのみで、被災者の皆様へのお見舞いの言葉もない

2011-03-12 11:37:25 | 経済学
(学校で教えてくれない経済学)



16年前の震災を自宅マンションで経験した娘は、今回の地震のテレビ報道を一切見ないと母親に話している。私見だがと断った上で、気持ちがどうしてもネガティブになるからだと言っている。「あの時」を神戸の被災者は思い出したくない。「あの時」の恐怖が今もからだから抜けない。正直、今回被害に遭われた多くの方々に、お見舞いの言葉が見つからない。

12日朝からNHKその他民放各局は、ヘリコプターから一夜明けた、家の土台だけ残した相馬の町の津波の惨状やなお燃え続けている気仙沼の火災現場、孤立した病院の屋上で助けを求める人の姿を写していた。報道のためとはいえ上空を通過するへリを恨みたくもなるだろう。神戸の時もそうだった。

11日付けのWSJ紙は、「日本の地震」に多くのページを割いて報道していた。中国の温家宝首相が菅首相あてにお見舞いと救援の用意があるとのメッセージを送ったと紹介していた。手許にある読売朝刊では米国、英国、フランス、韓国などそれぞれの元首からお見舞いと援助の申し入れが来ていると報じていた。

WSJ紙によれば、被害総額を出すには時期尚早と書いていた。日本時間3月11日、午後2時46分、マグニチュ―ド8.9の地震が日本の東北部を襲った。震源地は三陸沖10キロの海底、1800年代以降最大の地震で、日本、ロシア、インドネシア、ニュージーランド、ハワイなど広範囲に津波警報が発令されたと書いた。今朝長野で震度5強の地震と発表された。余震が広がりを見せており不気味だ。

200~300人の遺体が確認された。700名以上が日本時間5時30分現在行方不明であるとWSJ紙が書いていた。8,000人の自衛隊が出動した。日銀総裁は、資金供給には万全を期すと語り、とりあえず2000億円(24.1憶ドル)を用意したと発表した。日本政府は、来年度予算から3,500億円、なお緊急の場合は8,100億円を予算化すると発表した。GDPの2倍の赤字の日本はさらなる財政赤字が予測されるとWSJ紙は書いた。

神戸の震災では被害総額は13兆円(1,580億ドル)だった。6,400名が死亡した。神戸の経験から、2007年10月に警報システムが大幅に改善された。自衛隊に地震直後に発動命令が出されたとWSJ紙は書いた。16年前、当時の村山首相は初期動作が出来ず散々非難された。自衛隊に出動命令が出ず、阪神青木駅近くで水を求めトイレ探しする被災者を自衛隊員は傍観していた。

日本での地震にも関わらず、11日のNYダウは、前日比0.5%上げ、12,044ドルで取引を終了したと書いた。保険会社の米国債売りがかさみ、債券が値下した。NY原油(WTI)市場は、世界第3位の原油消費国日本の需要が落ちるとの思惑から売られ、一時99.01ドルまで値下がりした。NY外国為替市場では、救済資金確保のための円買いから、ドル、ユーロともに下げ、1ドル=81.89円、1ユーロ=113.86円まで円が値上がりした。

いまだ多くの方々が行方不明と伝えられ心が痛む。津波の怖さを改めて教えた。首都圏での交通機関麻痺がもたらした帰宅難民の多さにも驚かされる。原子力発電所の放射能漏れが心配だ。製油所の爆発はじめ今回は火災の被害がけた外れに大きい。回復今だしの日本経済にとっても大打撃だ。余震が続く中で心配は絶えない。

16年前、自宅マンションが倒壊、親が住む里も全壊した。何から手をつけていいか正直困った。しかし、1枚1枚屋根瓦を拾うことから始めた。僭越な発言をお許しいただけるなら、目の前の出来る範囲で、1日1日、明日を信じて、家族全員で、なんとか頑張って生き抜いていく以外ないと思う次第である。(了)

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中国ではお嫁さん争奪戦で貯金が増える、日本ではお嫁さんを探そうともしない男子が増えている?!

2011-03-11 10:41:25 | 経済学
(学校で教えてくれない経済学)



『中国の高貯蓄、お嫁さん争奪戦も一因かー専門家が講演』のタイトルで、10日付けのWSJ紙日本版に、BrendaCronin記者が、「中国では、結婚適齢期の若者の男女比が1.15対1と大きな差がある。お嫁さんを探す若い男性が多すぎる地域は、勤勉さと起業家精神の水準が高く、その結果、経済的な恩恵を受ける傾向がある。事業を始めたい若い男性は開業資金を親族に頼らなければならない。そのため親や親戚が貯蓄をしてそれに備えるのだ。」という米コロンビア大学経営大学院の経済専門家Shang-JinWei教授の話を紹介していた。

ウエイ教授によれば「中国の貯蓄率の上昇は、中国で家族計画政策が施行され、しかも病院で出生前に性別が分かるようになった1980年代に生まれた子供たちが結婚適齢期に達した時期だ。結婚市場での競争(婚活)に勝つために貯蓄する傾向にある。貯蓄を減らすと、息子の将来は真っ暗だ。」と話していると記事に紹介していた。

日本の貯蓄率は「失われた20年」の結果、低下しているが、世界的には高い。ただ、老後の不安のために貯蓄するケースはあるが、息子のお嫁さん探しに備えて親が貯蓄すると言う話は、余り聞かないから、中国ほど顕著ではないのであろう。

話は飛ぶ。「なぜ日本の若者は自立できないのか」(岡田尊司著、小学館)をたまたま読んだ。「日本の若者で、低下が顕著な能力の一つは、統合能力である。知識偏重、講義暗記型教育、マークシ―ト方式の入試、作文やディスカッションの軽視、社会的経験や遊びの貧困化、そうした場で、対立や葛藤を克服する経験などにより、統合能力が磨かれなくなっている。」と岡田氏は、教育という観点に絞った見方と断って書いておられた。

日本では、親の経済力が、「失われた20年」で低下した。親に余裕がない。子供は、男子では俗に言う草食系が増え、その一方で、女子は俗に言う肉食系が増加した。女子も自力で生活出来る人が増えた。女子の方からリスクを冒してまで結婚相手を見つける必要が少なくなった。問題は男子である。

日本でも一人っ子が増えた。兄弟が食事時に自分の食事を確保するために争った経験がない。子は親離れしない。親も子離れ出来ない。日本全体が平和ボケで、リスクを冒してまで結婚相手を見つける若者は日本では少なくなった。ここでも問題は男子である。そのあたりの「傾向と対策」は「男の子がわからない」ママのために31のアドバイス」(松永暢史著、扶桑社)という本は参考になる。

ウエイ氏の講演に戻す。講演は、9日、NYで、外交問題評議会の米中貿易不均衡に関する討論会で行われた。子供の教育や出世に熱心な母親のことをいう「タイガーマザー」たちの財布のひもを緩めさせることしかないと結んでいる。「全人代」が現在、開催されている。主たるテーマは内需振興である。ただ、一人っ子政策の行きすぎが裏目に出て、中国でも人口減少が前倒しで始まるという見方が台頭している。

「なぜ日本の若者は自立できないか。」と岡田尊司氏は書いた。飛躍するがこの話は、「なぜ日本の政治家は自立できないか。」と置き換えてもいい。

中国ではお嫁さん争奪戦で貯金が増える。ところが、お嫁さんを探すことさえしない男子が日本では増えていると言うではないか。これはもう、政策以前の問題だ。(了)

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ロシアの太平洋上の軍備拡大計画は、標的は日本ではなく中国?!:7日付けWSJ紙日本版

2011-03-10 05:17:27 | 経済学
(学校で教えてくれない経済学)



『ロシアの軍備拡大、標的は日本ではなく中国』のタイトルでマイケル・オスリ―ン記者は、①メドベージェフ大統領に次ぐロシア国防相の南クリル諸島(日本の北方領土)訪問,②向こう10年間で1億5000万ドルを太平洋上への潜水艦・水上艦配備計画、③新世代地対空ミサイル「S-400」と対巡洋艦ミサイルの極東配備に関するニュースは、いずれも長年対峙している中国からの防衛だ。日本とロシアは両国が直面する安全保障上の脅威にどう対処するかを両国で検討する必要がある、と7日付けのWSJ紙日本版で紹介している。

「木材や石油、ガスなどはもちろんのこと、清潔な水に至るまで、シベリア地域は、単に経済的成長だけでなく、工業国としての基本的な生活必需品の一部を中国が維持するために必要な原料や資源の多くを提供してくれる。1つを例に挙げよう。一部の推計によると、中国の純石油輸入量は2035年までに4倍の日量1,400万バレルに達する見込みだ。一方、ロシアの予想石油埋蔵量の65%と天然ガス埋蔵量の85%は中国のすぐ北部のシベリア地域に位置している。」

「シベリア地域は、人口わずか2,500万人(人口密度:1平方キロ当たり3人以下)、さらに東の極東連邦管理区の人口はわずか700万人(同1人)である。一方、国境を挟んだ中国側には1億人が暮らしている。」(中略)「地政学的見地から、ロシアの人口減少に伴って今後シベリア地域における中国の影響力が増すのは確実である。中国政府はおそらく将来的に同地域の領有に関心を持つようになるだろう。」

「重要な原材料資源が眠る過疎地へのアクセスを必要とする中国の成長を受け、ロシアは既に行動に出ている。米国と日本も同様に、北東アジアにおける混乱と不安定の可能性をじっくり考慮し、過去に多くの国がそうであったように、不意を突かれることがないように備えておく必要がある。」と書いていた。

余計なお世話だとまた叱られそうだが、日本の記者諸公も、こういう記事を書いて、日本人、特に政治家を啓発してほしい。

一方、3月16日付けニュ―ズウイーク(NW)誌日本版最新号に、「サウジ増産でも原油150ドルの恐怖」というタイトルでデービッド・ケース記者が「カダフィ打倒の機運の高まりで、日量130万バレルの輸出がストップ状態にある。不足を補うためにサウジが日量70万バレル増の900万に引き上げているが、サウジの生産量は限界に近い、と米テキサス州、石油業界大物、ブ―ン・ビケンズは話している。」と書いていた。

9日午前の日経CNBCの番組で「原油高騰でロシア、カナダ、インドネシアは笑いが止まらぬ。ロシアルーブルが中東不安を契機に急反発している。」などと解説していた。

NW誌は別ページで「アメリカ人に告ぐ、中東革命「傍観」のススメ」と題して、ピーター・ベイナ―ト記者は「敵が自滅するのを待ちつつ国内問題にしっかり取り組んで欲しい。国内に山積する難問は、外敵より手ごわい。」と書いていた。

ドルを垂れ流し続けるすアメリカ。投機筋の思う壺でゲームは展開している。(了)

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桃と菊(スケッチ&コメント)

2011-03-09 10:51:28 | スケッチ



桃と菊

江嵜企画代表・Ken



亡父の月命日には、阪神電車御影駅北にあるお馴染のフラワーショップTANAKAを尋ねることが習いとなっている。

この日は、若奥さんがお留守で、若旦那が、いつもどんなお花でしたかな、と言いながら、あれこれ混ぜた後、最後に、桃の枝を入れておいてもいいですか、と声がかかった。前々から桃の花をスケッチしたいと思っていたので、二つ返事で、おねがいしますと答えた。

神戸では、今、梅が盛りである。桃はあとしばらくかかる感じであるが、花屋さんには一足早く、桃の枝が、店の土間一杯に並べてあった。

お寺さんのお参りは毎月4日と決めている。当日は、つぼみばかりだった桃が、4日経った3月8日、急にほころび始めた。ころは良しとばかり、桃の枝に色違いの菊を一本ずつ組み合わせて花瓶に生け、軽いタッチでスケッチした。
(了)


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リビア情勢混迷、原油一時バレル106.95ドル、NYダウ79ドル安、シカゴ日経200円安

2011-03-08 09:17:30 | 経済学
(学校で教えてくれない経済学)



塩尻宏元リビア大使が、昨晩、たまたま見た「朝日ニュースタ―」(ニュースの深層)の番組で「国益をにらみながら、せめぎ合いするのが外交だ。いくらかっこいいことを言っていても、実をとれないと、それは外交でない。相手国の政治を抱え込むしたたかさがが欠かせない。」と話しておられた。「安定する独裁か」それとも「混乱する民主化か」どちらを取るかとなるとアメリカは前者をとる」と明快だった。

塩尻氏は現在、中東調査会常任理事である。氏は2003.6~2006.3期間、リビア激動の時代にリビア大使を勤めておられた。氏は同番組で「日本という国は、誠実で慎重である。一端決めると確実に実行する。ただし、決定まで余りにも時間がかかり過ぎる。それでは世界のビズネステンポに合わない。それならどうするか。何度も現地を調査する。普段から勉強をしていく以外にない。」と話しておられた。

「日本の外務大臣前原氏が、3000ドルの献金を在日韓国人女性(71)から受け取っていたことを自ら認めて辞任した。外国人から献金を受けとることは違法である。」とした上で「彼は米国と緊密な関係を構築しようとしていた。氏の辞任は日米関係に打撃となる。」と6日付けのWSJ紙が東京発で書いていた。ワシントンポスト紙、フィナンシアルタイムズ紙も日本の外相辞任を苦々しく伝えていると今朝8日の「モーニングサテライト」が紹介していた。

話は飛ぶ。週明け7日のNY原油(WTI)原油先物相場は、一時、バレル106.95ドルまで値上りしたあと105.66ドルで取引を終了した。北海ブレンドはバレル117.10ドルで取引を終了した。リビア情勢が混とんとして来たことを材料に、投機資金が肴にして相場に仕上げているのであろう。

「おはよう世界」紹介の米ブルームバーグに出演したシカゴ市場、オプション取引ディ―ラ―は、「原油200ドルは最悪のシナリオだが可能性はないとは言えない。リビアの混乱が長期化し、サウジに波及するという、まさかの時に備えて保険をかけているのだろう。」と解説していた。

7日のNY株式市場は、中東、北アフリカ情勢混乱による原油高を嫌気して、一時、前日比100ドル以上下げたが、結局79ドル安、12,090ドルで取引を終了した。シカゴ日経は先週末比200円下げた。東京市場も大きく値を下げるだろう。

一方、NY外国為替市場は、トリシエECB総裁が「世界の中央銀行は インフレ期待の持続的上昇を回避するために必要な措置を取る用意がある」などと語ったと8日付けのWSJ紙は伝えた。しかし、ギリシャ国債の2段階格下げを嫌気して、ユーロが対ドルで売られた。ユーロは対円でも売られ1ユーロ=114.89~98円で取引された。円相場は対ドルでは、1ドル=82.22~27円で取引された。

「おはよう世界」が紹介するシンガポールCNN,オーストラリアABCが、中国の楊外相が「為替問題を道具に使う国がある。」と語り、「外国人記者を中国の警官が殴った事実はない」と反論、その一方で「アメリカは台湾への武器輸出を止めるべきだ。」とアメリカを牽制したと伝えた。

日本では冒頭に触れた、元リビア大使の正論は現状かき消された状況にある。日本のマスコミは、肝心な政策議論より政局を面白おかしく報道する。政策不毛の中、日本国民は不幸である。(了)

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山田風太郎記念館:八鹿(スケッチ&コメント)

2011-03-07 07:12:47 | スケッチ



山田風太郎記念館:八鹿

江嵜企画代表・Ken



「人間風眼帖、山田風太郎」(編集:山田風太郎記念館、監修:有本倶子)(神戸新聞総合出版センター発行)を読んだ翌日、作家、山田風太郎の生まれ故郷の兵庫県養父市関宮町を家族と尋ねた。

「記念館」最寄駅であるJR山陰線「八鹿駅」は、尼崎駅で特急に乗り換え、約3時間のところにある。1時間1本のバスは出たあとで、駅前に1台とまっていたタクシーで20数分で現地に着いた。

今年の冬は例年になく大雪で、ひな祭り前まではまだ20センチの雪が積っていたとタクシーの運転手が乗るなり話した。鳥取との県境に氷の山という有名なスキー場がある。「八鹿駅」はスキー客には馴染みの駅だと教えてくれた。

「人間風眼帖」を読み始めたらとまらない。山田風太郎の戦争観、人間観に完全に痺れた。氏がどんな所で生まれ、どんな生い立ちだったのか無性に確かめたくなり、半ば衝動的に現地を訪れることになった次第である。

「人間風眼帖」の編者、有本倶子さんが玄関先におられた。入り口近くに用意されたビデオブ―スで氏がなくなる4年前、東京多摩市の風太郎邸の庭で撮られたインタビュー場面をスケッチした。

「人間風眼帖」は戦後30年にわたる氏の日記から著者自身が抜粋、大学ノ―ト丸2冊に書き残していたものを復元、収録したものである。

氏の先祖を遡れば日本三大お家騒動で有名な「仙石騒動」で獄門となった出石藩士、仙石左京にたどり着く。父は開業医、祖父は太田村の村長、代々庄屋の家系。遡れば出石藩士、山田八左衛門にいきつく。思想家、東大総長、加藤弘之氏を出した。

母方の祖父は医師、二代遡れば絵師、小畑稲升に至る。記念館に少年時代に描いたプロ顔負けの絵が展示されている。絵がたまらなく好きだった。指にたこが出来た。血筋は争えないですねと有本さんの説明が続いた。時代が良ければ絵描きになっていたかもしれないと後に述懐しておられる。

山田風太郎は幼くして両親をなくした。その後の人生に少なからず影響を与える。具体的には聞きそびれたが悪業を重ねたという。医者の三男だったが長男、次男は夭折、医者になることを強いられた。受験勉強をしながら15歳から小説を書き始める。作品が次々入賞、同時に東京医科大を卒業した。

25歳の時に「宝石」の第一回懸賞小説に入選、作家活動に専心。以後、忍法シリーズでは爆発的ブームを起こした。

「人間風眼帖」から1~2抜粋する。

「日本人の特性はといわれた場合、その最大にして最も簡明なのは「軽薄」である。それゆえに日本人は重々しい英国人やドイツ人に敬意を抱くのである。しかし、日本人はその軽薄さゆえにこの国を保っている。」(29.3.11)

「外交的、企業的のみならず、日常の商人のインチキも、実は「約束違反」で説明出来る。(中略)約束違反をやっても徹底的に咎めないという「甘え」から来たものである。」(46.11.22)

枚挙に暇なし。風太郎記念館訪問は記憶に残る貴重な一日となった。(了)


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中国「全人代」アメリカ人記者の印象記:5日付けのWSJ紙(学校で教えてくれない経済学)

2011-03-06 08:22:01 | 経済学
成長を維持しながらインフレを抑えることが、2011年から始まる中国五カ年計画の喫緊の課題となる、と5日付けのWSJ紙に、AAronBack記者、BobDavis記者が記事冒頭に書いていた。

中東、北アフリカ不安が、失業した若者の参加が引き金になったことに、中国指導部は、80年代末の天安門事件と重ね合わせて神経を尖らせているとBank of America-Merill Lynchエコノミスト、LuTing氏のコメントを紹介していた。

全人代での温家宝首相の演説は、低所得者向け住宅建設、最低賃金の2ケタ増、国有企業の配当引き上げが経済政策の基本となっている。過去30年、中国の成長率はほぼ9%を維持した。

昨年は11%成長したが今後は輸出と国営企業への投資から国内に投資比重を移すと同時にインフレを抑えることを目標にするため、経済成長は7%台へ低下すると温家宝首相は演説した。

一人当たり可処分所得は、都市の2万元に対して農村は5千元と格差は拡大している。税制改革の一環として、課税対象所得の限度額を現行の月2千元から3千元(457ドル)への引き上げが議論されるとWSJ紙は紹介していた。

今年1月の中国の消費者物価指数は前年比4.9%増加したが、これは世界的な食料品価格上昇を反映、非食料品価格も同2.6%増と13年来の高さに達したと紹介、このところの物価急騰が引き金に一気に政情不安に発展することを警戒していると書いた。

別ページにDavis記者が書いた、「全人代」初体験記が面白かった。オバマ米大統領は米議会で7,000語の年頭教書を読み上げた。喝采のために80回中断した。「全人代」で温首相は、15,000語の演説2時間中、喝采はわずか24回だった。温首相が大げさなジェスチャーをしたのは2回。「よりよい未来」という言葉を2回、「慎重に(pludently」を7回、「変化(change)」を8回使ったと書いていた。

「インターネットの普及」という言葉を使ったとき議会に何一つ喝采がなかった。ひよっとしたら翻訳ミスかもしれないとDavis記者は特記している。中東情勢、中国での改革派デモについて一切なし。ただ1回、「慎重に政治改革を前向きに進める」とだけ触れた。演説の草稿は1週間前に配布される。率直にいえばbizarre(奇怪な)と全人代の印象を記した。

WSJ紙は[China real time]というコーナーを持つ。5日付けの記事では13人の担当記者の顔写真が出ていた。日本の報道機関がどの程度記者を派遣しているか不案内だが、記者の数だけでは短絡的といえ、アメリカが中国に大きな関心を持っていることを示している。

中東、北アフリカに見られる民主化の動きの中、世界が中国の動向に注目している。(了)

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リビア情勢悪化懸念で、原油再び104ドル、NYダウ一時180ドル安(学校で教えてくれない経済学)

2011-03-05 09:42:38 | 経済学
昨年秋に球根を植えたチューリップが2月に芽を出し、ここ数日の間に急速に大きくなってきた。どんな花を咲かせてくれるのか今から楽しみでならない。穏やかな街中、梅の花が今をさかりと咲いている。日本という国がいかに恵まれた国であることかを実感する。

ロシアRTRが「只今、入って来た情報をお伝えします。リビア東部、ベンガジで空爆がありました。反政府軍の弾薬庫が狙われた模様です。」と伝える映像を「おはよう世界」が紹介していた。フランスF2、ドイツZDF,英BBCいずれも首都トリポリ近郊でも反体制デモ隊から多数の死者が出た。10万を超える難民がチユニジア国境付近でテント暮らしを強いられているなどと伝えていた。ただ米国にはトリポリ空爆に踏み切る余裕はなさそうだ。

4日のNY株式市場は、リビア情勢悪化、それに伴い原油相場がバレル2.51ドル上げ、104.42ドルを付けたことを嫌気して、NYダウが一時180ドル近く下げ、あと落ち着きを取り戻したが、結局前日比88ドル安、12,169ドルで取引を終了した。「おはよう世界」(経済情報)に出演した米みずほ証券、大宮弘幸氏は「原油上昇は個人消費、企業業績共に影響する。リビアに加えイエ―メン情勢も悪化している。不透明材料が多い」などと解説していた。

原油高騰の影響の一つとして、スペインTVEは、スペインの高速道路の最高スピードを時速120キロから110キロに変更したニュースを流していた。スペインではガソリンの値段が、リッター1.20~30ユーロ、日本円換算で150円まで値上がりしている。ドイツZDFが、ガソリン節約の為のエタノール10%を混ぜたガソリン、スーパーE10の評判がドイツでは良くないと紹介していた。

スペイン政府の今回のスピード制限措置は当面4ケ月間暫定としている。スペイン政府は「1973年の石油危機の際、アメリカでも高速道路のスピード制限をした。よく調べた上で実施した。車の速度を落とすことによりガソリン消費は減る。」と盛んにPRしていた。ただ、街の声は「その程度では燃料費の節約につながらない」と冷ややかだとスペインTVEは解説していた。

リビア関連のニュースでは、英BBCが、英国で最も権威のある大学の一つであるLSEの学長、Davies氏が、リビア政府から150万ポンドの寄付金をもらっていたことを指摘され辞任したと言うニュースを大きく取り上げていた。

LSEに限らずオックスフォードもケンブリッジも海外からの寄付金は多いそうだ。「今後イギリスの教育機関はどこから資金を調達するかである。今回の事件に余り過剰に反応しない方がいい」との大学関係者の声を紹介していた。

貧すれば鈍するということわざがある。深刻な地方の財政難で経費節減を迫られているアメリカで、ミズリー州の高校が週4日制授業に切り替えることになった。一部には週3日制も検討していると米CNNが紹介していた。

花をめでるのはいい。お金にかけては天下に引けを取らない中国に、李下に冠を正さずということわざもある。英LSE大学、学長の辞任のニュ-スは、他山の石かもしれない。(了)

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