私は教育者として自信をもって断言します。
違った考えは認めない。政治―行政権力が強制力をもって従わせる、また集団同調の圧力で従わせる、というのは、愚か者の仕業です。
違った意見が正々堂々と主張され、個人の内面の自由が尊重される社会こそ健全な社会です、管理・統制され、異なる者が排除されるのは、暗黒社会であり、病んだ画一社会でしかありません。
とりわけ、教育現場では、思想的な違いーぶつかりが何よりも大切です。子どもたちが自分頭で考える力は、違いやぶつかりがなければ育ちません。様々な思考実験が行われる場を創造しなければ、真の思考力は養われないのです。
無菌室のような環境にして学校教育を行えば、人間を脆弱化させ、活力に乏しい、底力のない日本人しか生みません。大人の顔色を見て行動するひ弱な優等生、自分の意見を持てないどんよりとした目の子どもたち、逆らう気力さえない奴隷のような人間では、救いがありません。為政者の思想管理―違いを封じ込める強圧や洗脳は、よきものを何もうみません。
巨大な日の丸を掲げ、君が代を歌うことを強要する教育政策をよしとする人たち、日本や日本人をことさらに強調する人たちは、日本と日本人を最もダメにする人たちなのです。
武田康弘