思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

武者小路実篤の逆転、戯曲「ある青年の夢」から「大東亜戦争私感」(戦争賛美)へ。東京新聞を見ての思い。

2017-07-12 | 学芸

 11日の「東京新聞」夕刊に、今日、読まれるべき古典として、武者小路実篤の戯曲「ある青年の夢」が詳しく紹介されていました。これは、親友の志賀直哉や柳宗悦らに誘われて我孫子に移住した年、1916年に出されたものです(移住は12月)。戦争の愚かさと悲惨と戦争回避のための考察がなされていますが、それから26年後の1942年に書かれた「大東亜戦争私感」では、戦争賛美一色になりました。この大東亜戦争賛美論は、新潮社の全集からは削除されていましたが、小学館の全集では15巻にすべて掲載されています(361ページ~414ページ)。

 なぜ、武者小路実篤が、これほど激しく転向したのか? 「おめでたき人」を地でいったわけですが、彼一人の問題ではなく、日本の二大哲学者と言われた西田幾多郎も田辺元も みな戦争肯定=天皇絶対主義になったわけを深く研究しなければ、「日本の精神の病」は治せないのではないでしょうか。わたしたちみなの問題と思います。

 『大東亜戦争戦争私感』には、

 大東亜共栄圏とは実によい言葉だと書かれ、「死に克つもの」では、積極的に美しい死の肯定ー尽忠報国の精神に燃えるが故に死を恐れなくなるのだ、とされます。
 「日本はなぜ強いか」では、これは日本の国体の御かげである。天皇陛下の国民全部は、臣民として、心から奉仕することで、我らは心を一つにしている。と書かれています。
 日本が勝利を得ることの他は考えられない。だから陸海軍に任せて、僕らは安心していられる。・・大事なのは一億一心である。銃後の統一である。ーーーー

 このような言葉が延々と続きます。


以下は、「東京新聞」7月11日夕刊

 

武田康弘(「白樺文学館」全コンセプト作成・初代館長)

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自民党の議員の品性のなさと愚かで恐ろしい思想

2017-07-10 | 社会批評

ガールズバーに行ったことがあるか、云々、

加計学園の「特別扱い問題」への質問が、これですか(笑・憤)。

頭も心も貧しい議員が、自民党代表で質問する。

問題の核心をそらして人物攻撃をするえげつなさ、わたしは、自民党にだけは、票は入れません。

野党はだらしない、そうでしょう。でも、「戦前思想」を肯定する恐ろしい思想といやらしい体質の自民党に比べれば、ずっとましです。

わたしは、公共的怒りを覚えます。

そういえば、亡くなった後藤田正晴官房長官は、「恐ろしい思想をもつ安倍君だけは首相にしてはいけない」と語っていたとのこと。

いまは、自民党全体が安倍君になってしまいました。


武田康弘

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自分の都合や損得や気分を中心に動いているあなたは、結局、不幸な人生です。唯我独尊のほんとうの意味。

2017-07-08 | 恋知(哲学)

あなたは、自分の都合だけで動いていませんか。
あなたは、自分の損得計算ばかりで(身体化してしまっているので無自覚)動いていませんか。
あなたは、自分の気分だけで動いていませんか。
あなたは、狭い自分=自我中心で生きていませんか。

どういう人がそうなのか?
分かりやすい例では、自分が主賓者でもないのに、集合写真で真ん中に写りたい人です(笑・ホントウ)。

自分ばかりが笑顔でいたい、自分ばかりが気分よくいたい、自分が目立ちたい、という自我主義。自我中心の生き方は、みなに好かれません。誰からも愛されません。
反対に、謙譲の美徳とか言い、いつも隠れるようにしている人も、コインの裏表で、同じくつまらない人、魅力のない人です。

ブッダのいう天上天下唯我独尊とは、共に正反対です。
自己を灯とし、自己に帰依するとは、自我を灯とし、自我に帰依するのとは逆です。

あなたをよろこばせたい、あなたに親切にしたい、あなたを笑顔にしたい、あなたにサービスしたい、あなたの困った問題を解決したい、というわたしの思いと考えと行為が、よろこびや楽しさのある自分をつくり、深く大きな自分をつくるのです。自我中心ではなく、あなたを思い、考えることは、普遍性=みなにつながる考えかたと生きかたです。将棋盤を反対側から眺める視点・心がないと、自我の虜です。

唯我独尊、自帰依=法帰依とは、自我への拘りを超え、ほんとうに自由になったわたしを信頼し、わたしにつく人生です。自我への拘りとは、実は、世間の価値意識への呪縛から生まれるのです。そこから解放されるには、何がほんとうかを求める心とともに、あなたのためを考える心と実践が求められます。

自分中心でしか生きられない人は、いくら勉強してもどこかピンボケで核心を外し、いくら経験を積んでも説得力をもたず、人から愛されませんが、それは、自我中心が血肉化してしまい、そこから出られないからです。自己謙遜も同じこと。善美に憧れる自分の心を中心軸として生きる」ことと、「他者への思いや愛」はセットです。豊かな愛情あふれる心や気遣いが、自分という精神の中心を明瞭にし強くします。

あなたは、あなたをよく知る人から、好かれ、信頼され、愛されていますか?



武田康弘

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北朝鮮をどうにもならないところまで追い込めば、どうなるか?この世の悪夢が現実に。

2017-07-06 | 社会批評

もしもアメリカが北朝鮮に先制攻撃をすれば、北朝鮮が降伏することはありえず、必ず報復に出ます。

韓国にあるアメリカ軍と韓国軍へのミサイル攻撃と、
日本本土へのミサイル攻撃でしょう。

世界193カ国の中で北朝鮮と国交のない国は20数か国に過ぎませんが、その中の一つが日本です。北朝鮮にとって明白に「敵」と言えるのは、アメリカを除けば日本だけです。おとなりの韓国とは停戦のままで戦争状態は続いていますから「敵」なのですが、しかし同胞でもあり、ソウル等の大都市への核弾頭を積んでのミサイル攻撃の可能性は少ないと思われます。

日本は、朝鮮半島を伊藤博文時代から敗戦まで植民地支配(自国語の使用を認めず日本語を強制し天皇崇拝の教育など)していましたし、いまも国交のない状態で、反日感情はとても根深いですから、自爆的攻撃をする標的になります。日本には彼らの最大の敵であるアメリカ軍の基地もたくさんありますので、中距離ミサイルに核弾頭を付けて攻撃するでしょうし、核弾頭なしでも、50基以上ある原発を狙い、何十発ものミサイルで攻撃をする可能性は大きいと思います。連続でのミサイル攻撃があれば、迎撃は不可能でしょう。

では、どうするか。
自爆的攻撃をすることのないように、追い込まないこと。これがたった一つの答えであり、それ以外はあり得ないのです。外交努力。大胆なまでの外交努力以外の選択肢はないのです。

制裁、さらなる制裁、国連の決定をも超えるわが国独自の厳しい制裁は、効を奏することは絶対にありません。逆に、恐ろしい事態への舵を切ることになります。安倍首相の単純な制裁強化路線は、日本国を奈落の底に落とす可能性が高いのです。

どうにもならないところに追い込まないこと、これが恐ろしい悪夢を避けるただ一つの答えなのです。大胆なまでの外交努力が必要です。いやでも一定の融和をつくりだす以外はないのです。


武田康弘

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初歩的なことですが、ロケットとICBMは、本質的に同じです。日本が大騒ぎしても意味がないのです。

2017-07-05 | 社会批評

大陸間弾道弾=ICBMとは、

人工衛星を打ち上げるロケットと本質的に同じものです。

人工衛星を打ちあげるには、最低でも秒速7.9kmが必要で、11、2kmを超えると地球の引力を振り切り、外に飛び出してしまいます。

大陸間弾道弾は、7.9kmより初速が遅いロケットですから、地表に落ちます。初速が7.9kmに近づくほど遠くまで飛びます。

北朝鮮のICBMを日本が驚くのは、意味不明と思います。日本にある米軍基地を攻撃するならば、従来の中距離ミサイルで十分です。

ただし、北朝鮮からのミサイルによる日本への攻撃は、アメリカ軍による北朝鮮への先制攻撃がない限り、ありえないはずです。自殺行為になります。


武田康弘

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こどもたちに教えるべき近代日本の真の偉人、高野岩三郎とは。

2017-07-04 | 学芸

1871年、

国際都市ー長崎に生まれ、

東京神田で育ち、

東大法学部に学び東大教授となったが、

エリート主義とはまったく無縁。

下町っ子ー庶民派で、

徹底した民主主義者。

マルクスも研究したが、

一生涯、共産主義者にはならず、宗教者にもならず、

共和主義者として生き抜いたのが、高野岩三郎。

 

 戦後、改組されたNHKの初代会長となり、権力からの放送の自由を掲げて民主主義の放送局を目がけた人(1949年に志半ばで死去)、そして何より現日本国憲法の骨子となった憲法草案をつくった民間人七人を束ねた人。人望が厚く、みなに親切で心優しい稀代の民主主義者。こういう人こそ、日本の偉人としてこどもたちに教えなければなりません。

 彼は、戦前は、白樺派の同伴者にして資金援助者の大原孫三郎(現クラレ・現中国電力の創設者)のつくった「社会問題研究所」の所長として、労働者と反戦平和と民主主義のための理論と実践に奮闘した人でもあります。なお、大原社会問題研究所は、今も法政大学大原社会問題研究所として存続しています。


※大原孫三郎を含め詳しくお知りになりたい方は、 「高野岩三郎伝」(岩波書店)をお読みください。こども用の伝記がでることをせつに希望しています。

共和党(主権者は市民であることの徹底、元首は大統領、政治の実際は首相、天皇は文化的象徴)をつくりたいと切に思います。

 

武田康弘

 

 

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安倍内閣は、保守ではなく、右翼ないし極右というのが、国際社会に共通する見方。

2017-07-03 | 社会批評

 このブログでも幾度もご紹介したように、首相の安倍晋三を、海外の主要メディアは、保守ではなく、右翼、それも極右の国家主義であり、戦前思想(国体主義=靖国主義)の復権を目がけるもので、極めて危険としています。いまの天皇の明仁さんと皇后の美智子さんは、それへの最大の抵抗勢力だと断定するフランス誌もあるほどです。

 日本しか見ないとその異常性が分かりにくいのでしょうが、一度も戦前の日本の反省をせず、逆に、田中まきこさんとの対談では、太平洋戦争は、「アジアを解放するための正義の戦争」とまで言っていた安倍首相は、どうみても保守ではありません。安倍首相の枕詞ー「西側諸国と同じ人権と民主主義という共通の価値観」は、元からウソであることが明らかです。

 現代の民主主義国家で、彼のような認識と発言は到底許されるものではなく、それを国のトップに据えているのでは、情けないのではなく危険です。自由民主党という名は、羊頭狗肉で、実際は、戦前思想を肯定するウヨク集団と言われても何も抗弁できないはずです。

  主権者は国民なのです。憲法違反の法律はつくることはできないという大原則まで破る首相は、すでに終わっているのです。これは、わたし個人の意見というのではなく、近代民主政の原理なのです。原理まで踏み破る政治家は、政治に携わる資格がありませんし、許されていません。

  海外メディアと国連は、日本のあまりの後進性に呆れると同時に、強い警鐘を鳴らし続けています。都議選における自民党の歴史的大敗北は当然であり、安倍政権を続けさせるのは、極めて危険です。

 

武田康弘(元参議院行政監視委員会調査室・客員調査員=「日本国憲法の哲学的土台」を講義」)

 

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柳兼子さん最晩年(90歳8カ月)のテープ発見!門弟の相川マチさんへのレッスン。奇跡の歌声。

2017-07-02 | 学芸

 去る3月31日に亡くなった松橋桂子さん(大著「柳 兼子伝」著者・作曲家)の遺品(遺族からわたしが頂いた大量の資料)から、たいへんに貴重なテープが見つかりました。奇跡のような録音です。

 柳兼子さんが亡くなる1年前、門弟のプロ歌手・相川マチさんへのレッスンの模様で、1時間近くにわたるものです。デシタル化してCDにしました。音質は明瞭です。

 以下は、添付した解説文です。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 このレッスン模様は、松橋桂子さんの遺品から発見したテープ(60分)をCD化したものです。1983年1月20日、柳兼子さんが90歳8カ月の時のもので、極めて貴重です。

 レッスンを受けているのは、声楽家の相川マチさんです。彼女は、1970年に兼子さんの講演と歌に驚愕・感動してレッスンを希望しますが、すでにプロの歌手であった相川さんは簡単には弟子入りを許されず、週のレッスン日に二カ月間通い続けてようやく許可されました。兼子さんのレッスンは、誰でも同じでゼロからの出発、呼吸と間、発声練習から、とのことです。

 レッスンは、平井康三郎の3曲(「平城山」、「甲斐の狭」、「九十九里浜」)と、松橋桂子さんの「山羊」です。それに「金魚や」(杉山長谷夫作曲)の歌い方とそれに付随する話。

 松橋桂子さんと相川マチさんは共に1934年生まれの友人(「縁」は兼子さん)で、このテープのレッスン時は48歳でした。

 場所は、兼子さんの自宅・町田市 真光寺町 1356-7。
 ピアノ伴奏は、木下美智子さん。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 インデックス番は、冒頭の柳兼子さんの手本からはじまり、しばしば、相川さんと共に歌いますが、それは、兼子さんの音楽イデー(意味の把握)と境地を開示したものです。わたしは、感動で鳥肌が立ちました。

 松橋桂子さんが録音したプライベートテープは、期せずして日本声楽史の一頂点を記録したものとなりました。

  なお、この録音は、前半は左チャンネルしか音声が入らないことが多いので、右チャンネルにも同じ音声を入れモノラルにしました。音質自体はとてもクリアーで、大型の優れたオーディオ装置で聴くと、まるでその場に臨んでいるかのようです。

  洋楽の声楽ではなく、日本の歌の歌い方(「声楽の日本の歌」)がよく分かります。ぜひ繰り返し聴いてみてください。


 武田康弘

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日本の伝統を大事にするならば、天皇家は、江戸城という他者の住まいではなく、京都御所に住まうのがほんとうです。

2017-07-02 | 学芸

 

これは、当たり前のことで、今さら言う必要もないのでしょうが、

明治維新の革命家(伊藤や山県ら)により、まだ16歳の睦仁は、京都御所から江戸城に連れて来られ、彼らの教育で「明治天皇」として仕立てられたわけですが、それから150年が経とうといている今もなお、天皇は、天皇家とは何の関係もない江戸城に住まわされています。

もしも、日本の悠久の歴史を重んじるならば、京都御所に戻り(し)そこで文化的な象徴として政治=国事行為からは自由になり、長い歴史に見合う生活をされるのがよいのは、理の当然でしょう。

なぜ、いつまでも明治維新の思想=日本の伝統を破壊してつくった天皇を生きた神とする国家カルトを引きずるのでしょうか。天皇の死で時代名を変え、時間を支配するという古代王政の「元号制度」を世界でただ一カ国続けるのが異常なことであるのが分からないのは、不思議です。

文化的な象徴を天皇とし、元首は大統領を選び、実際上の政治は首相が担うという三元の国づくりをすれば、日本の伝統と世界的な普遍性を共に満足させられます。

他人の住まいにいつまでも住まう、住まわせるというのは、道徳的にも悪いことですし、日本の伝統を壊すことです。

 

武田康弘

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『受容史ではない近現代日本の音楽史』小宮 多美江著 に感動。俯瞰的にして個々への踏み込みが深く、必読。

2017-07-01 | 学芸

この本には驚かされました。

これは、日本の音楽関係者には必読本と思います。わたしのような一聴衆も、ここに記載されている内容には感動させられ、新たな目が開かれました。

俯瞰的にして個々への踏み込みが深く、なるほど、と納得させられる叙述が続き、グングン読めてしまいます。

近現代の日本の音楽の特徴と発展を知ることは、西洋音楽をよく味わい知るためにも大切なことで、それがないと足が地につかないな、強くそう思いました。

平易で読みやすいです。

楽天で購入できます。

 

「受容史ではない 近現代日本の音楽史」1900~1960年代へ   
 小宮 多美江著 音楽の世界社 2001年11月刊

武田康弘

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