http://www.bensey.co.jp/book/2382.html
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昨年の夏書いた「楕円幻想」論が、勉誠出版から最近出た『文科の継承と展開』という本に入っているおるから、物好きは読んでもよいよ。買ってもいいよ。12000円だけど……。今読むと私自身この論文には殺気を覚える。夏の暑さのせいということにしておこう。このような論文は二度と書くまい。あと、年末に出た『×川大学国文研究』には、芥川龍之介の「三つのなぜ」論が載っているが、これは読んだ後全て忘れて下さい。お願いします。
そんな意味で、昨年度はひどい年であったので、今年はなんとか面白いものを書きたいものである。今日は風邪でぼーっとしていたのであるが、ギデンズらの『再帰的近代化』を読みながら、熱のせいか、「あれ?こいつらあんまり大したことなくないか?」と思ってしまったよ。いつものことである。こういう勘違いがどこに飛んでいくのか分からないのが、研究の面白いところでもあり怖ろしいところでもある。
つい蒲団に入ってしまい夢を見た。
……大学の駐車場に自転車を止めていると、和服姿の顔色の悪い50歳ぐらいのご婦人が「訪ねてきました」と自転車の横に立っていた。彼女は、私の幼稚園時代の担任の先生であり、世界で最後のマルクス主義者なのだった。学食で、ふたりで紅茶を飲みながら、昔の木々について話す。もういかなくてはならない、と彼女が言うので、私は体が重くなるのを感じながら「最近の地下は……」と彼女の足下につぶやくと、「いつもささやいています。もう夫を思い出すのはやめたのです」と言う。私は、「ユダの裏切りに酔うことにも限界が来たのだ」というある哲学者の言葉を想い出していた。「ただ酔うべきなのである」と、その哲学者は文章を結んでいた。私は、彼女を校門で見送った。私はいままで来た道が確実に間違っていると感じ、もう歩くことができなかった。
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昨年の夏書いた「楕円幻想」論が、勉誠出版から最近出た『文科の継承と展開』という本に入っているおるから、物好きは読んでもよいよ。買ってもいいよ。12000円だけど……。今読むと私自身この論文には殺気を覚える。夏の暑さのせいということにしておこう。このような論文は二度と書くまい。あと、年末に出た『×川大学国文研究』には、芥川龍之介の「三つのなぜ」論が載っているが、これは読んだ後全て忘れて下さい。お願いします。
そんな意味で、昨年度はひどい年であったので、今年はなんとか面白いものを書きたいものである。今日は風邪でぼーっとしていたのであるが、ギデンズらの『再帰的近代化』を読みながら、熱のせいか、「あれ?こいつらあんまり大したことなくないか?」と思ってしまったよ。いつものことである。こういう勘違いがどこに飛んでいくのか分からないのが、研究の面白いところでもあり怖ろしいところでもある。
つい蒲団に入ってしまい夢を見た。
……大学の駐車場に自転車を止めていると、和服姿の顔色の悪い50歳ぐらいのご婦人が「訪ねてきました」と自転車の横に立っていた。彼女は、私の幼稚園時代の担任の先生であり、世界で最後のマルクス主義者なのだった。学食で、ふたりで紅茶を飲みながら、昔の木々について話す。もういかなくてはならない、と彼女が言うので、私は体が重くなるのを感じながら「最近の地下は……」と彼女の足下につぶやくと、「いつもささやいています。もう夫を思い出すのはやめたのです」と言う。私は、「ユダの裏切りに酔うことにも限界が来たのだ」というある哲学者の言葉を想い出していた。「ただ酔うべきなのである」と、その哲学者は文章を結んでいた。私は、彼女を校門で見送った。私はいままで来た道が確実に間違っていると感じ、もう歩くことができなかった。