うすた京介氏の『ピューと吹く!ジャガー』、知らないうちに終わってたんだね。私は『すごいよ!!マサルさん セクシーコマンドー外伝』の切れ味より、この作品の煮詰まったどす黒さの方が好きである。もはや、これはギャグマンガではない。痛い人物の代表格のハマーを主人公にして、小栗風葉の『青春』とか田山花袋の『妻』みたいなものを書けば面白いのではなかろうか。ギャグはテロと同じで瞬間であり、長く続ければギャグではなく自意識の暴露劇じみてくるのは、ギャグ作家の疲労というより、ギャグそのものが持っている構造に因るのだと思われる。笑いはそもそも自らの性格が極めて醜悪であることに自覚的である人間が得意とする行為であって、私小説的なのである。