メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

スーパースター

2005-09-01 23:55:55 | lyrics
あんたのいう上等な経験とやらを見せてよ
彼らはまるで腐ったカーコロンのにおいがする


やあ!
汗をかくことを嫌うロックンローラー方々

僕らはいつだって君たちを支持するよ
ドラムの刻むビートには逆らえないからね

ほら
もう腰を気持ちよく振っている


しかしもろこしをつくる堆肥よりひどいにおいだ
これが今のゆるぎない地位を確立したのかい?


その白い手と
金色の髪と
青い眼は
何度鏡に映してもいいんだよ

君は今、世界中をにらむことだってできる


そのかわり、突如襲う美の報復に
君は絶望の崖から
もんどりうって墜ちるんだ

絶体絶命の脅威だけど
今、君はそいつを鼻で笑い飛ばすことだってできるのさ


(もう止めないと
 すっかりNYの通り魔か
 精神異常者になったつもりで
 いい気になってる君だけど)


オレンジに光る唇をちょっとゆがめるだけで
今、君は世界中の指導者を狂わすことだってできるのさ


ごらんよ
クリームでベタベタする手で
子どもたちが笑いかけている

あの啓示を見なかったって?
僕に聞かないでくれ
知らぬが仏ってもんさ


あと何億年かあとに
人口が今の千分の一になってるっていう統計が
当たっていればいいね

その時代にもう一度産まれかわれるなら


弾圧は静かに続いて
彼らは理解できない新しいものを
追い払おうと必死だけど

新しいものを生み出す欲求は抑えがたいよ
それを金に替えないのが僕らの特権だ


社会不安を書くのは容易いし
音楽で感動させるのもいいだろう

でもいま一番気にかかるのは
今日、いやこれからやってくる1分間を
一体どう過ごせばいいかってことだけ


突然の夕立も
飛行機の墜落事故も
所詮は他人事で
君にはサッパリ解らない


スポットライトの中に立ちつづけた
あのスーパースターが
なぜ自分じゃなかったのか

名作フィルムの名優は
なぜ別のだれかなのか

駅前通りに吊り下げられていても
肌の色さえ 誰も覚えていられない


そこでふと思うんだ

「もっとブランド品を身に着けるべきだったよ」ってね


彼はなりたいと思うように変化した
行きたい所はどこへでも旅をした

何百万人もの男女に出会い
顔を白く塗って 握手さえ求めた


ただひとつ訊ねるならば
君はそれから何を得たかい?

彼らは懲りずに
あらゆる制限を与えたけれども

いい加減ガタガタの鏡をのぞけば

ほら
まつげの下で老いが挨拶を交わしはじめているよ




1989.5.14作

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