メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『金環食』

2008-11-09 12:43:10 | 映画
『金環食』(1975)
原作:石川達三  監督:山本薩夫
出演:仲代達矢、三國連太郎、宇野重吉、京マチ子、西村晃、大滝秀治、峰岸徹、中村玉緒、山本學 ほか

『白い巨塔(1966)で医学界、『戦争と人間』(1970)で軍閥、『華麗なる一族』(1974)で経済界を斬った監督が今作でついに政界の汚職事件に挑んだ155分の本格的社会派作品。

story(例によって政治絡みは自信がないけど・・・
昭和39年、票集めの裏金をバラまいて寺田内閣発足。
まもなく金貸しの石原参吉の元に官房長官・星野から2億用意してほしいと遣いがくる。
石原は星野の身辺を探り始め、寺田総理の郷里・九州の福流川ダム建設を巡って竹田建設と発注元の電力開発株式会社の一派の談合と汚職の件を突き止める。
青山組と争う竹田建設は双方とも政治家への献金で落札を操る。
通産省の大川大臣の元には寺田総理の妻の指示が書かれた名刺が渡され、
次期留任を条件に圧力がかかるが断ったため、早期辞任に追い込まれる。
ダム建設が竹田建設に落札後、神谷代議士は、石原と日本政治新聞社社長・古垣の集めた証拠資料をもとに決算会議にかけるが。。

あらゆる場面であらゆる裏金が動いて、それを当然のように「金は政治の潤滑油だ」というセリフがリアル。
と同時に、いろんな権力の下に芸者さんや、愛人などなど、いろんな立場の女性が絡んでる。
国民に真実を伝えるべく新聞記者ですら、高見の見物ではせっかく裏を暴いてももみ消されるだけということか。

政界を揺るがす証拠とされる名刺を写したフィルムのやりとりに50万円とか、
「動く金が欲しい。15万円ほどくれ」て、今の金の価値ならあれっ?て額だけど、
当時ならもっと高い値段だったんだろうなw
それなら、ダム建設費用に45億円て額は相当なものだったろう。

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『夫婦善哉』

2008-11-09 02:51:53 | 映画
『夫婦善哉』(1955)
原作:織田作之助 監督:豊田四郎
出演:森繁久彌、淡島千景、司葉子、浪花千栄子、小堀誠、田村楽太、三好栄子 ほか

大阪に遊びに行った時、たしかこのぜんざいのお店のことをガイドブックで読んだ気がする。
バリバリの関西弁は耳をすまして聞いてても何をゆってるのか外国語みたいに聞こえるけどw
なんともあったかくて、ホロっとくる人情噺。

story
代々続く問屋の長男・柳吉は生来のぼんぼんで、芸者・蝶子との仲を父に猛反対され熱海に駆け落ちするが、
なんとか財産の一部でももらえないかと毎日考えている。
安い宿で2人で暮らし始め、蝶子はまた芸者をはじめコツコツと貯めたお金も、くさくさした柳吉の遊ぶお金に使われてしまった。
妹が婿養子を迎え、自分は勘当されると知って実家に慌てて戻った柳吉は、「表向きの計画だ」といって
蝶子に別れたフリをさせようとするが、本当の別れになってしまうのを恐れて手切れ金を断ってしまい失敗。
妹から無心した300円を元手に煮物が売りの飲み屋をはじめるが、柳吉は腎臓結石で大手術することに。
柳吉の病気で長いこと臥せっていた正妻が亡くなり、蝶子の母は子宮ガンで亡くなり、
「悪いことは重なるものやなあ」と困り果てる蝶子のもとに、柳吉の妹と娘のみつ子が訪ねてきて、
「父は本当は息子の面倒をみてくれる蝶子さんに感謝してる」と告げる。
以前の芸者仲間で出世した友人がお金を貸してくれてオシャレなカフェを始めるが、柳吉の父が亡くなり、
とうとう2人の仲は認められないことを知って蝶子はガス自殺を図る。。

DVD特典としてなぜか林家正蔵(こぶ平)が解説してるが、思いっきり手前のカンペを読んでる感じ/苦笑
森繁久彌、淡島千景の名コンビがとにかく素晴らしい。
熱海で柳吉が東京人のことを「なんとも色気がない、水臭いやつばっかやで」ってゆってるのが可笑しい。
2人で食べにいく「ライスカレー」はカレーとご飯が混ぜてあって、卵がかかってる?ものらしく
まさに昭和の洋食風な感じなのかな。ぜんざいと共に食べてみたい。
テーブルの下で足袋を履いた足でつっつき合う仲の良いシーンや、なんだかんだで蝶子の元に戻ってきて
「腎臓がひとつしかないんやから大事にしてくれよ。頼りにしてまっせ」(関西弁がおかしいなw
なんてセリフにじぃーんと感動。

森繁久彌って若い頃けっこー男前だったんだ/驚 羽織姿が色気がある
コメディで大ヒットした『社員・重役シリーズ』も気になる。
これで大成功した今作に続いてこのコンビでいろいろ撮られた作品もぜひ観てみたい。
続編『新・夫婦善哉』もあるみたいだし。


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