メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『百億の昼と千億の夜』 萩尾望都 著

2009-06-28 19:05:46 | マンガ&アニメ
MKさんから借りた萩尾望都作品。

『百億の昼と千億の夜』
光瀬龍のSF小説。SFマガジンに1965年12月号から1966年8月号まで連載された(ウィキ
「昭和42年に早川書房より出版され、三十年余を経た現在でも増刷を重ね、脈々と読み継がれている」
▼原作は早川書房から出版されてる。時間があればぜひ読みたい→こちら
評論・百億の昼と千億の夜
原作を元にしながらも、マンガのほうは設定を少しアレンジしてあるらしい。

主な人物は以下のとおり。
プラトン=一夜で滅びた高度文明都市アトランティスの最後の生き残り・オリオナエとして戦士を探す長い長い旅をする。
悉達多=出家した後、4人の僧に連れられて人間界のみならず、天上界も滅びつつあることを知る。帝釈天は阿修羅のせいにするが、阿修羅は崇められている弥勒が造り物で本物は宇宙の外から来たものだという。世界が滅びた後に生まれ変わり、阿修羅、オリオナエとともに破滅の理由を探す。
阿修羅=人々が生老病死あらゆる苦しみから逃れるように抱く気の遠くなるようなユートピアへの希望、すなわち「56億7千万年後の未来に姿をあらわし末世にある多くの人々を救済するとされる弥勒」とは?阿修羅は「本当に56億年後に現れるのか?神ならばなぜ末世になる前に救わない?今こそ末世なのだ!」と疑問を抱きすでに何億年もの間闘い続けている。


あまりにも壮大すぎて、この小さな脳をめいっぱい宇宙規模まで広げてみてもさらに果てしなく上層まで拡がってる。
本も、映画も、音楽も、絵などもすべてが、「いつ」「どんな状況で」出会うかってタイミングが重要なポイントだと思う。
今、今作の存在を知り得た興奮、感謝、またそのもっと先に進みたいというどうしようもない渇望、焦り。。

ブッダやらの宗教をSFと組み合わせてること自体、新鮮すぎる
イエスがまるで宇宙そのものを破壊しようとしてるように描かれているのも信仰ある者にしてみたら仰天以上だ
ゼン・ゼン・シティでは、カプセルの中で幻影のユートピアに住む住人が悉達多と面会する時に「眠りから覚まして形象化する」。
「こんなのは虚像の世界だっ!」と怒る悉達多に、支配者は「お前の世界が幻想の所産でないとなぜ言い切れるのか?すべてが集団幻想による仮構の世界にあるとしたらそれを確認する手段はなかろう」という。まさにSFだが思わずむぅーとうなってしまう。


転輪王=阿修羅がたどり着いた最終地点。この世の創造主だというが、宇宙の外にはさらにはるかにその先があるという。
     その存在”シ”に知られたら自分も無に帰され、この世は終わってしまう。
     苦しんだ末にすべてが破滅への道ならわたしたちの「存在意味」とは?、阿修羅はさらに闘いつづけることを決心する。


子どもの頃から「世界の七不思議」や超自然現象などの話が大好きだったが、今作にもアトランティスの超金属「オリハルコン」ほか、
「シュメール」「モヘンジョダロ」などなど気になるキーワードが無数に出てくる。まだまだ深いなあ!



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『スター・レッド』萩尾望都

2009-06-28 18:43:42 | マンガ&アニメ
金曜はガン見ちゃんが担当してる鉄道月刊誌の校正のダブルチェックを、これからはわたしとMKさんの3人体制でやって欲しいと上司から頼まれて夕方からスタートした。
ガン見ちゃんのミス(見逃しやら、間違い)が多すぎて、お客さんから度重なる苦情があって、
とうとう営業をひどく怒ったらしくてすでにヤバイらしい(会社としてもけっこー大口の仕事
周りをガン見するのに忙しくて、原稿に集中できてないんじゃないのか???
K氏といい、彼女といい、まったく何してんだか・・・


その後もどんどんMKさんが貸してくれた萩尾望都作品は以下のとおり。
『A-A'』
感情の起伏がない一角獣種との物語。短編集ながらどこかつながっている構成も面白い。
『アデラド・リー』:事故死率の高い宇宙プロジェクトでは、あらかじめクローンを準備しておくのが通例で、一角獣種のアデラドは死後、複製が帰ってくるも、恋人だったレグは受け入れられずに戸惑う。
「ポニー(黒馬)の話をしたい、この人に。長い長いあいだ、わたしが待っていたあなただけに 語りたい物語がある」
再会してもまるで初対面のような恋人たちに胸が締め付けられる。
『4/4カトルカース』:珍しい種として研究材料にされているトリルに恋するモリ。2人が感応し合うことで大きな力が生まれるが・・・
『X+Y』:母親の死の記憶を封印されている一角獣種のタクトとモリが出会い、トリルの面影を重ねる。


『スター・レッド』
壮大な未来の物語だなあ・・・『地球へ…』もそうだけど、『スターウォーズ』なんて目じゃないくらい、これはヒトが考え得る想像力をさらにはるかに超えてる。互いにストーリーが共鳴し合ってるのは縁があったから?
迫害されつづけた超能力を持つ火星人の第5世代目の星(せい)は、謎の青年エルグと出会い、火星に飛んで仲間と合流。未来を予言する「夢見」らに危険視され、火星人を憎み研究材料とするペーブマンの手からエスパー研究所の公認ESPアンの元に移り、第1世代がふたたび産まれている事実を知る。
エルグのパワーを封じ込めた異星人集団の一人ミュージュらは、火星のような星を悪の元凶とみなして破壊しつづけていた。
もっとも古い星に降り立ったせいとエルグ。せいはその星の負の力に絡めとられ時空をさまよう・・・

見えるモノを視覚ではなく細胞や構造までも見透かす眼を持つせいは、ついに宇宙と融合するまでに至るってゆうんだから凄すぎる
周囲のキャラクターもみな魅力的だ。


ナチュラルウォーターコーナー。こんどはこちら↓↓↓
いろはす
ん?いろんな産地の天然水を混ぜ合わせてあるのかな?
阿部寛のCMと同じように飲み終わったボトルを絞ってみたらカンタンにキュッとコンパクトに。ちょっと感動。


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『ハラスのいた日々』(1989)

2009-06-28 13:04:39 | 映画
『ハラスのいた日々』(1989)
監督:栗山富夫 原作:中野孝次 脚本:山田洋次、朝間義隆
出演:加藤剛、十朱幸代、益岡徹、日下由美、有森也実、相楽晴子、杉本哲太、東野英治郎 ほか

前回観た『ハチ公物語』の特典に入ってた予告編のひとつで、どこを探してもなかなか見つからなかったけど渋谷TSUTAYAで発見v
原作は、新田次郎文学賞を受賞した同名のノンフィクションとのこと。
夫婦と犬のなんてことのない日常を描いてるんだけど、さすが「男はつらいよ」でお馴染みの山田洋次と朝間義隆が共同脚本とあって、平凡な暮らしから滲み出るしあわせな日々がしみじみと伝わってくる。
当然ながら号泣です。。

story
大学教授の夫婦の家に1匹の柴犬がやってきた。時は学生運動が激しい'70年代のこと。
来たばかりは夜の吠え声がうるさいと近所から苦情がきて困惑(直接叩かないにせよ、床を叩いてしつけるシーンですら今ならアウトかもな
子犬は「ハラス」と名づけられる。ドイツにおける「ポチ」や「タロウ」みたいな名前らしい。
「スキー場とかに連れて行って迷子になった時にポチーって呼ぶより響きがいいだろう?」
すくすくと育ったハラス。夫婦は3ヶ月の予定でドイツに渡り、その間の世話を頼んだ女のコは、
空き巣に入られるは、不審火を出すは、夜はバーベキューパーティ、挙句に同棲を始めていた
すっかり時は経ち、教え子のひとりが始めた蔵王スキー場のロッジに誘われ、ハラスも連れていったが、
部屋から飛び出したきり戻ってこない。。


近所の少女の結婚・出産、教え子の独立などで時の移り変わりを表現。
2人のベテラン俳優の老け演技も見事。
教授のお宅ってことで経済的にも余裕があるから、2人の愛情を惜しみなく受けてるんだよね。
雪山で迷子になって4日間、諦めずに有線放送を流したり、印刷所でチラシを刷って新聞広告に混ぜたり、
蔵王スキー場の人たちがとっても親切!!!夫婦の人徳も多分にあるけど。
ご近所のわんこ友な東野英治郎の演技も素晴らしかった!飼い犬はマックスだっけ?
ハラスを一生懸命追っかけてきたロッジの看板わんこ・ゴンも可愛かったなあ~

子犬の頃も、成犬から老犬にかけてもハラス役のわんこはみーちゃんによく似てた。
みーちゃんがいなくなっちゃったのもちょうど13歳頃だし。
今のペットブームと違って、この頃の動物映画ってゆうのは特別な1ジャンルって雰囲気があった。


追。
ウチのデッキのせいか、ディスクのせいか、途中何箇所か映像の不備があった
映像が止まって、セリフが一部聞けなかったのは残念。
新作コーナーにあったんだけどな???


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