メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

「ボブとジェームズ、東京へ行く」@ビッグイシュー

2018-01-08 13:54:31 | 
【THE BIG ISSUE VOL.324】


【内容抜粋メモ】

映画『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ(A Street Cat Named Bob)』(2016 ネタバレ注意)

映画のプロモーションのために初来日した、イギリスの元販売者、ジェームズ・ボーエンと愛猫ボブ




日本の多様な「猫文化」
映画の封切りに合わせて、私たちは日本に招待された
著書は翻訳出版され、SNSのフォロワーにも日本人はたくさんいるが
正直、何が起きるかほとんど分からなかった
空港の到着ロビーで大勢が出迎えてくれたのには驚いた

イギリス人は、動物、とくに猫好きの国民と自負しているが
日本人の猫好きは別格だ

たくさんの猫キャラクターが街のあちこちにいるし
アニメ、マンガ、テレビにも猫ものがたくさんある

エンタメにかぎらず精神世界にも及ぶ
「招き猫」はあちこちで手招きしていた

それでもまだなぜ私たちのストーリーにそこまで共感してくれるのかは、まだ説明できないでいた
日本の繁栄を極めた、規律正しい文化とは合わないように思えたからだ


希望がひどく必要とされる街
プレミア上映会では笑ったり、鼻をすすったり、歓声が上がったり
一見しただけでは社会問題を抱えているようには見えないが、
実際は、とくに社会の最底辺の人々にとってひどく希望が必要とされていることに気づいた

活動最終日に昭三さん、光さん、Kさんの3名の販売者らと話すことができた

イギリス以外ではどういう境遇から路上生活者になるのか疑問に思っていた
薬物、アルコール依存症、精神疾患、家庭の崩壊など、事情は変わらないのではと思っていたが
そこには大きな違いがあった


助けを求めることが良しとされない日本文化
2003年 深刻な経済不況の中、創刊された『ビッグイシュー日本版』
建設、食品サービス業の中高年男性たちがその影響をもろに受けた
失業後、友人、家族を失い、新しい仕事も見つからず、
ビッグイシューは生活再建の数少ないチャンスの1つを提供した


3人の日本人販売者との驚くほどの共通点



販売者の数は、東京で40人、全国では130人と、イギリスと比べるとかなり少ないが
自分が販売していた頃の生活とよく似ていると分かった

昭三さんも「ミー」と名づけた野良猫を飼っている
以前は、炊き出しを回り、野宿して生き延びている状態だった


「ミーを介して人と話ができるようになった」

販売をするのはミーにゴハンを食べさせたいから
ペットがいると公的な支援住宅は一切利用できない

光さんも捨て猫を、飼い主が見つかるまでの2週間面倒をみたことが心の支えになったと話す
ボブが表紙のビッグイシューは大人気で、まとめ買いする人も多いそう

Kさんは映画を観て、薬物依存治療プログラムをNHS(国民保険サービス)で無料で受けられることに驚いていた


『ボブという名のストリート・キャット』



私たちの著書は、日本の人々の心にも響いていたことが
アマゾンのブックレビューでも確認できた

「ホームレスの人たちがこんなに困難な生活をしていたとは知らなかった」

「本を読んで初めてビッグイシュー販売者、他のホームレスの人たちに思いを馳せるようになった」

というコメントもあった


1週間の滞在は飛ぶように過ぎ、機内から大都会を見下ろした時
最も心に残ったのは、3人の販売者との会話だった

私が本を出した2012年当時望んでいたのは、知られていない世界に光を当てること
本人に落ち度はないのに、社会から見放され、ホームレス状態になっている人々の窮状に気づいてもらうことだった





完売した316号はPDF版で特別再販で読める





***


「ビッグイシュー日本版 BIGISSUE JAPAN」

“1冊350円で販売。180円が販売者の収入になります。”

[ホームレスの仕事をつくり自立を応援する]
「ビッグイシュー」は、ホームレスの人々に収入を得る機会を提供する事業として
1991年、ロンドンで始まった 創設者はジョン・バード氏
住まいを得ることは、単にホームレス状態から抜け出す第一歩に過ぎない


[仕組み]
1.販売者は、この雑誌10冊を無料で受け取る
2.売り上げ3500円を元手に、以後は170円で仕入れ、350円で販売 180円を収入にする


[条件]
顔写真つきの販売者番号の入った身分証明書を身につけて売る
このほか「8つの行動規範」に基づいて販売している


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「わが家電力」、自立電源生活レシピ@ビッグイシュー



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『鑑定士と顔のない依頼人』(2013)

2018-01-08 12:27:17 | 映画
『鑑定士と顔のない依頼人』(2013)
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ

出演:
ジェフリー・ラッシュ ヴァージル・オールドマン
シルヴィア・フークス クレア
ジム・スタージェス ロバート
ドナルド・サザーランド ビリー
フィリップ・ジャクソン
ダーモット・クロウリー ほか


予告を観て気になっていた作品が「GYAO!」で1月7日まで無料配信していたので観てみた


あらすじ(ネタバレ注意
廃屋になった屋敷の高価な調度品などを鑑定していたヴァージル・オールドマン
ボロボロの絵?をくれと言う 「この板の下には絵があったはず」

自宅のワードローブの徹底ぶりも異常なほど/驚
レストランには専用の皿とグラスが用意されている

クレアという女性から鑑定依頼の電話が来る

クレア:
両親が残したヴィラに価値のある家具や絵がある 査定を頼みたい
父が亡くなる前に「査定はすべてO氏に託せ 最高の競売人だから」と言っていた




オークションでガリレイ作の望遠鏡など次々流暢な冗談も混ぜて売っていくO
客の中にビリーがいる 100万ユーロから始まり、
電話、ネットでも値が上がり、あっという間にビリーが2000万ユーロで落とす




その後、クレアの言う屋敷に行くO
扉は閉まったまま誰も出て来ない




ビリーはOに自分が落とした絵の説明をさせる
O:若い画家で人生で3枚しか描いていないんだ



2人は影で組んでいて、Oは落札価格の倍額でビリーから買い取る 実際の価値は桁違いだという
ビリーも画家だが、彼の才能は認めない




ワードローブの奥に巨大金庫!があり
これまでのコレクションがずらりと並び、
それを眺めるのが至福の時 どれも女性の人物画
(オークションは、金持ちが集まる所だけど、査定士も儲かるのね






クレアからの電話に激怒するO:
36年仕事をしていて、雨の中、40分も待たせるなんて許しがたい!
私は携帯電話は持たないんだ!

泣いて来て欲しいと頼むC


クレアの屋敷に行くと管理人のフレッドが案内する
あちこちに彫刻が転がっている
地下もホコリだらけの家具だらけ

F:無数の部屋があり数えたこともない

Cの両親が亡くなったのは1年前
クレアは一人娘 未婚 天涯孤独の身と知る


なにかの歯車を見つけて拾い、ロバートに鑑定させるが見たことないという
O:どんな鉄材も何かだったはずだ 矛盾に惹かれたんだ



その後、オークションに出す絵の査定にあの歯車を見つけるO
目録を作る前に契約書に署名が必要だとCに伝える


前回来た時と違っていることに気づく
Cは電話で「契約書を置いていって」

また歯車を見つける 18Cのモノと分かる

F:
10年働いているが、私もよく知らない
Cは約27歳 一度も会ったことがない 奇妙な病気だからです


贋作もオークションで売るんだ/驚
実は本物と知っているOは、ビリーに落札させると、常連の夫人も「同時だった 訴える」と言われる

Bに激怒するO:800万ポンドの価値はある
B:でもゴッホで失敗した時はそれほど怒らなかった どうしたんだ?


屋敷前の飲み屋で数字を喋り続ける女性(統合失調症か?



R:
あの歯車はヴォーカンソンというオートマタのものだった
お辞儀をして、中に小人がいた
部品が全部あれば、完全に復元できるのに 同じ場所にあるはずだ




屋敷の中でCの声がする

C:
姿を見せない理由を説明しても信じないでしょ
15歳から人に会っていないの
家に誰かいる時は隠れる 親にも会わなかった
外へ出るのは考えただけで恐ろしい

Oは他人に触れるのが怖いから手袋をしているんでしょ? 私たちは似た者同士よ
契約書は置いて、手数料は自由に決めて もう帰って とても疲れたわ


O:この状況でどんな生活を?
C:私は完全に自立しています

契約書を壁の下から渡す パスポートを見ると可愛い少女の頃





鳥の絵から見ていることに気づく




Oが髪を染めていることに気づき、そんな人間はインチキだと怒りだすC
FはCから屋敷のカギを渡され「扉の開け閉めは静かに パニック発作が起きるので」
Oは「広場恐怖症」の本を読む


R:歯車は人間みたいなもので、長年組み合わさっていると相手の形状に似てくる

広場恐怖症の女性のことを友人の話としてRに話すようになるO


Oは髪を白髪に戻すと
C:あなたをテレビで見たわ 今のほうが女性にモテるわよ


連絡が取れなくなり、Fに電話すると肺炎で自分も会ってないという
食料を買って屋敷に行くと、台所に血の後があり、鳥の穴から覗くと帰って!と拒まれる
C:転んで頭を打ったの




Rに相談に行く 携帯電話も直してもらうとCから電話が来る

C:
傷は小さかったわ 実は、家具などを売るべきか迷ってるの
家も売ろうとしたけど、よそへ行くなんて怖い
ペンネームで小説を書いてるの

Rから「勇気を出せるかどうかだな」と励まされるO


OとCは協力してカタログ作りを始め、
ドアを閉じたフリをして彫像の後ろに隠れるとCが出て来て家を中をうろつき回る




Rは、Oの友人の話がO自身のことと最初から分かっていたと笑い、恋の相談に乗る


屋敷に行くとカギが合わない

C:半年ごとにカギをかえるの 新しいカギを持っていって
O:クレア、君は人生を台無しにしている

C:
母も最初信じなかった エッフェル塔が怖くて地面に倒れて、その後何度も発作が起きた
プラハでもそうだった ナイト&デイというお店は楽しかった

O:私が連れていってあげよう




オートマタは完成間近
O:私はこの奇妙な機械人形みたいだ




Rと酒を飲み交わす
O:私にとって女性への敬意は恐怖に等しい 彼女は特別な例外なんだ 2日後は誕生日だから何か贈りたい


Rにすすめられた通りピンクのバラの花束を持っていく



C:査定が安すぎるわ よく騙したわね!
O:もっと高く落札される 安かった場合は、高値の品でバランスをとるんだ

C:ギャンブルね! 私を騙して、自分は儲ける あなたはドロボウだわ!
O:手を引かせてもらう とバラを投げる

(まるでもう恋人同士みたい 仲良さげなRカップルを見て羨ましそうだし



Cから電話がきてまた謝罪 花を贈られたのは初めてと泣く

C:
いつも誕生日は最悪だった でもあなたが私の日々を変えた
庭を見たけど外には出られなかった 扉まで行けたのは初めて
精神化医よりあなたのほうがいいわ

O:これから行こうか?


夜中に行って、壁越しに話し、また彫像に隠れると
Cに電話がきて、誰かと親しげに話す

C:恋?違うわよw
裸のまま脚を上げたから股まで丸見えで、Oは思わず携帯を落とす

パニックを起こして「出て行って!」と泣き叫ぶC
Oに電話がかかり「お願い助けて」


時間を置いてからまた屋敷へ行くO
汗を手袋で拭いて、素手なのにも気づかない

O:さっきのは私なんだ あなたを見たい




R:
女性を手に入れたら、常に相手を驚かし、予想を裏切ることだ
彼女の要求に応え続けるかぎり、彼女は“患者”から抜け出せない “女性”として扱わないと

女性のモデルを見て服を買い、Cに着させる
O:とても似合うよ





ドレスの後ろのチャックをあげてもらう時はお尻が丸見え
少女の頃から外に出てないせいなのか、それともすべてウソなのか?




いろんなスケジュールをキャンセルするO
助手のランバートに「結婚してるかね?」

ラ:はい 30年近くになります
O:女性との暮らしはどんなだ?
ラ:競売と似ています 妻は最上の出品物なのかどうか・・・


今度は化粧品を買う こんな端末で選ぶのか





C:
化粧は久しぶりでやり方を忘れたわ モンスターみたいよ!
大勢の人がいるオークションに連れていく気ね

また部屋に閉じこもる


Rは修理を頼まれてもお金を取らない代わりに、たくさんの美人と付き合ってる様子
「叔母がまたいなくなった」と女性が来て、新しいGPSを渡す

R:ディナーに招待しなよ 母親より美人だって言うんだ
O:君が来て見てくれれば、よく分かるはずだ
(RとCは組んでいるのでは?

ディナーに招待するO
それを彫像の影から覗くR すっかり魅了された様子






Oの過去を聞きたいと言われ

O:
親を亡くし、孤児院で育った
悪さをすると罰として絵画修復師の手伝いをさせられた
わざと悪さをしていろいろ学んだんだ

C:“いかなる贋作の中にも必ず本物が潜む”とネットのインタビューで言っていたのを読んだわ

O:贋作者は自分の“印”を残したがる 無意識のうちに独自の筆の勢いだったり


R:美人で気に入った しっかり捕まえておけよ

Rの彼女サラが来て、上手くいってないとOに話す
S:彼の周りには常に他の女性がいるし、最近、クレアって女の話ばかりするの

怒ったOは「オートマタを助手に渡してくれ 君は信頼できない」と手を切る


カタログが出来上がり、Cは部屋に招き入れる



O:自分自身の意志でここから出なければ
C:蜘蛛の巣から出られないの

父のコレクションを見せる(オートマタの一部?

C:やっぱり私より家具や絵に興味があるのね


またRのもとに相談に行く
O:サラが心配していたよ

R:
仕事を再開するのに2つの条件がある
私生活に巻き込まないこと
小切手を返す 金が目的じゃないんだ
クレアとオートマタ 選ぶならどっちなんだ?


今度は指輪を買い、屋敷の部屋に入るといない 庭の扉が開いている
向かいの店に聞くが誰も知らない
R、Fと一緒に探す

助手からオークションのことを忘れていると電話があり
すぐに向かうが様子が明らかにおかしく
絵をタンスと紹介して会場から笑いが起きる
途中で何度もRらから電話が入る

出版社もあたるが分からないと言われる

Bにも相談する
O:Rが疑わしい

B:
彼女は感情を取り戻した
偽造はまるで本物に見える 何事も偽造できるんだ 病気 回復 愛さえも

R:ヴィラに隠し部屋があるのでは?
F:屋根裏部屋がある



隠し部屋に入ると、Cがいる





C:
プラハの時みたいに見捨てられたのかと思って
プラハと年上のBFと行ったの
繁華街を歩いてたら、クルマが飛び込んできて、気づいたら彼はいなかった
家に戻って、それきり二度と外に出なくなった

2人はひと晩を過ごす


またRに話す
O:いい先生のおかだ 彼女を連れ出したいんだ

屋敷に向かう雨の夜に3人の男に殴り倒されるO
数を話す女性は通報する

Cに電話すると、窓からOが倒れているのを見て、外に出て助けを求めるC
病院に血だらけでかつぎこまれ、そばに付き添う




その後、Cを自宅を案内し、ついにコレクションを見せる
O:生涯かけて集めたんだ ここを家にしてほしい



R、サラと4人で食事する
C:あなたと暮らし始めて、ヴィラを売るのはやめようと思ったの

カタログを破って祝うO
ロンドンのオークションを有終の美とすると言う
(なんかまだオチがありそうだな


最後の仕事を終えて、スタンディングオベーションが起きる
B:君に僕の絵を贈ったよ


家に戻るとCはいない
執事:昨日もRとランチに出かけました

Cの母の絵をコレクションに加えようと持っていくと絵が1枚もない(ヤラれた・・・




オートマタ:“いかなる贋作の中にも必ず本物が潜む 会えなくて寂しいよ”




すっかり正気をなくしたO
病院に助手オールドマンが来ても無反応

また屋敷に行くと鎖がかかっている 屋敷前の店で見張る

店主:屋敷のことなら彼女に聞けばいい クレアなんでも覚えてるんだ

クレア(空き家の持ち主は彼女):
彼女は合計237回外に出た 興味があるなら貸してあげるわ


Bが送った絵はCの母を描いたもの(自分の才能を認めないことを恨んでいたんだな



カタログが出来上がり、GPS?が出てくる
警察に行こうとして、Cへの愛のために思いとどまる




プラハに部屋を買い、Cの母の絵を飾る(Cがモデルか
Cが話していた「ナイト&デイ」に入ると歯車だらけ(これは本当なんだ



ウェイター:お一人ですか?
O:・・・いや、連れを待ってる


***

凝り固まった人生から、波乱万丈で、愛を知ったのだから
モノに固執して終わる人生よりはるかに豊かなことを知ってよかったよ
人に対する情も学んだし

どんなに美しい絵や美術品も、あの世までは持っていけない
これはハッピーエンディングだ

にしても、あれだけの絵をどうするのか?
あの若いR、C、サラまでがグルだとしたら、絵よりも、すぐに金にかえたいだろう
でも、絵ならすぐに足がつきそうだから、捕まるのも時間の問題では?

本物のクレアは“統合失調症”かもしれないが、“記憶力の天才”と呼ぶべき



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