■少年少女 世界の名作 世界怪奇名作『幽霊屋敷』 偕成社 西野辰吉
装幀:岡本かんじ 表紙・挿絵:白井哲
※「ジュヴェナイル」カテゴリー参照
・『幽霊屋敷』
実家から送ってくれた学生時代に買った本シリーズ
調べたらこれも絶版で高値がついていた
一番高値は4000円!
このシリーズ全部読んでみたい
ヒエログリフみたいな装幀もステキ
これも読んでみたい↓↓↓
昭和の装幀がいいんだよね
・西条八十「幽霊の塔」偕成社 - ジグソーハウス通信
・偕成社/西条八十「幽霊の塔/ジュニア探偵小説15」
関連して見かけたお名前
女性かと思ったら男性なのか
・黒岩涙香(ウィキ参照
・黒岩涙香 - Wikiwand
限りなくウィキペディアに似たウィキワンド?
これまた初めて知った/驚
・Wikipediaリーダー『Wikiwand』断然見やすい…Firefox・Chrome拡張機能! | Report Hot Cafe
“Wikiwand(ウィキワンド、旧称:WikiWand)とは、
ウィキペディアの閲覧のために開発されたソフトウェアインタフェースである。”
【内容抜粋メモ】(ネタバレ注意!
本書は主にヨーロッパとアメリカの作家が書いた
怪談の中から代表的な10篇の名作を集めた
作者はそれぞれ文学史上で有名な作家ばかり
■「幽霊屋敷」
イギリスのリットン卿 原題は「貸家」
友人が3日泊まって恐怖に耐えられず出た
ロンドンの幽霊屋敷の話を聞いて来た男
3週間前、家番の婆さんが幽霊に絞め殺されたと聞く
家主を訪ねてわけを聞くと婆さんは30年ほど前
家を借りていたことがある
豪傑な下男のフランク、ブルテリアを連れて泊まることにする
早速、足音が聞こえて、犬はすっかり怖がる
イスが勝手に動いたり、怪しい小部屋に閉じ込められた2人
人形の光が階段を上るのも見る
35年前の手紙を見つけ、婆さんは船乗りの妻だと分かる
その後、懐中時計が消える事件も起きる
勇敢なフランクですら
なにか得体の知れないものを見て家から飛び出してしまう
とうとう悲し気な女性の霊を見る
犬は恐怖のあまり死んでしまう
男は家主に小部屋を壊してはどうかと提案
婆さんは財産家の娘で、海賊あがりの男と結婚
2人は家の財産を狙って相続者を殺したが
その後、運の悪いことが続いてとうとう家番になった
小部屋から気味の悪い男の肖像画が出てくる
地震のように部屋が揺れ、呪いの書かれた皮が見つかる
これが魔力の正体だと焼き捨てて、秘密の部屋を壊すと
怪異はそれきり起きなくなる
■「謎の日記帳」
アメリカのビヤース 「妖物」
彼はメキシコで行方不明になり消息がわからなくなった不思議な作家
モルガンとハーカーは山村で化け物を見る
ハーカーはその獣に跳ね飛ばされ
モルガンは惨い有様で死んでいる
検視官が真夜中に着く
モルガンの日記を見つける
姿の見えない通り魔に悩んでいたことが分かる
見たことのない足跡も見つかる
モルガンを埋葬して、ハーカーは山村を出る
■「運命の3・7・1」
ロシアの大文豪プーシキンの有名な代表作の一つ
ヘルマンという若い士官はカルタの賭けを見ているばかり
近衛士官が祖母のフシギな話をするのを聞く
50年ほど前、祖母がまだ若い頃、カルタに負けて莫大な借金を作る
もう二度と賭けをしない約束で奇怪な老人から必ず勝つ秘策を聞き
祖母は負けた金額をすべて取り戻した
祖母はある男に3枚の勝ち札の秘密を教えたことがある
彼も負けた額より多大に儲けたという
ヘルマンは秘密が知りたくてしかたない
「節約、中庸、勤勉がオレの人生の勝ち札だ」と思っても頭から離れない
夫人の屋敷にいる美しい娘にとりいって秘密を探ろうと思いつく
孤児で身寄りがなかったリザベータはヘルマンに好意を抱く
屋敷に忍び込み、婦人に秘密を聞くが答えないため
ピストルで脅すと恐怖のあまり死んでしまう
87歳の高齢のため自然死と思われ、ヘルマンはホッとする
葬儀に行くと、棺の中の夫人が片目をあけて驚く
正気を失うほど酒を飲んで帰ると、夫人の霊が現れ
「3、7、1と賭けると勝てる」と教えてくれる
モスクワの賭博王相手に勝負をすると
あっという間にひと財産儲けるヘルマン
次はその大金をそっくり賭けてまた勝つ
次の晩、同じくまた勝ったと思いきや
スペードの女王が夫人ソックリに見え
片目でにらみ全財産を失う
それ以降、ヘルマンは発狂し、病院に入れられ
ずっと「3、7、1」と早口でつぶやくようになる
■「幽霊船カムチャッカ号」
アメリカのクロフォード「上床」
逞しい体のブリスバーンはカムチャッカ号で幽霊に会った話をする
105号室の下の寝台に寝ていると
相客がひどく青い顔をして入って来る
突然、夜中に廊下に駆けだす
舷側の窓が開いて寒い思いをする
翌日、船医に話すと
「私は医者なので迷信は信じたくないが
最近、航海の間にあの船室の客がみな海に落ちて死んだ」と言う
船長
「あなたと同室の客が行方不明になった
海に落ちたとしか考えようがない」
夜にまた舷側の窓がひとりでに開き、給仕のせいではないと分かる
寝台から怪物が猛烈な勢いでとびかかってきて廊下に飛び出す
船長も確かめるためにひと晩泊ることにする
船長
「5月にこの寝台に寝ていた客は気が変だった
海に落ちて探しても見つからなかった
2度目に事件が起きたのは、その航海の帰り
この舷側の窓から飛び降りた
それから自然と窓が開くようになった」
寝台に得体の知れない怪物がいて捕まえると
人を引き伸ばしたようにぐにゃぐにゃで悪臭が漂う
船長はこの時の恐怖で性格が変わってしまう
105号室は釘づけになり、いつでも約束済みとなった
■「魔のトンネル」
イギリスのディケンズ 「信号手」
男は下にいる信号手に「おーい、下にいる人」と手を振ると妙な顔をされる
信号手
「明日の晩は“おーい、下にいる人”と呼ばないでください
あそこに幽霊が出るんです
初めて出たのは1年前 影がトンネルのほうに消えて
その6時間後、汽車が転覆してたくさんの死傷者が出た
半年後、また姿を現して
汽車の中で若い女が1人死んでいた
1週間前もまた出て、まだ事故は起きていないが、何か起きる気がする」
男は信号手の話したように手を振るなにかを見る
「今朝、信号手が機関車に轢かれた
汽車が来るのに背を向けて動かないため止まれなかった
“おーい、下にいる人”と怒鳴って手を振ったんだが」
■「毒薬博士の娘」
アメリカのホーソン「ラッパッチーニの娘」
ジョバンニは父の親友のバクリオーニ博士に
ラッパッチーニ博士の隣りに下宿したと話すと驚く
ラッパッチーニとバクリオーニは医学上のことで長い間論争している
バクリオーニ
「彼は偉い学者だが、科学のためには人の命を犠牲にしても構わぬという男だ
植物にあらゆる病気を治す効力があると言い
自分で育てて毒薬を作り、治療に用いているらしい」
家主の婆さんがラッパッチーニの見事な庭に入る秘密の入口を教えてくれる
ラッパッチーニ博士は木や草に体が触らないよう注意しているのに
娘ベアトリーチェは平気で噴水の紫の花に触り
「私の妹!」と呼んでいるのを聞く
花の液がトカゲにかかるとたちまち死んでしまう
彼女の周りを飛ぶ虫もぽとりと落ちて死ぬのを見る
バクリオーニ「彼はもう君を実験材料にしているかもしれない」
ベアトリーチェは小さい頃から庭の植物とともに育てられ
友だちがいないと言うので
可哀想になるジョバンニ
ベアトリーチェが触れた手が火傷のように痛むが
恐ろしさを知りながら庭を何度も訪ねるジョバンニを心配した
バクリオーニは解毒剤を渡す
「正道と邪道の闘いだ」
ジョバンニは蜘蛛に息を吹きかけると死んでしまい
自分も毒人間になりかけていると知る
ベアトリーチェを責めるとむせび泣いて
「こんなことになろうとは夢にも思わなかった
呪われた私を殺してください!」と頼み可哀想に思う
ラッパッチーニ
「わしは学問の力で超人を作った
お前はどんなものでも1呼吸で打ち破ることが出来る」
ベアトリーチェは解毒剤を飲み、死を選ぶ
■「死人の目」
ロシアのアンドレーエフ「ラザルス」
4日前に死んで埋葬したはずの兄ラザルスが家に戻ってきて
姉妹は幽霊が出たとビックリする
ラザルスが墓の中で生き返ったという噂はたちまち広まり
みんなは奇跡を見に集まり大宴会となる
生前は快活な青年だったラザルスは
体中に紫色の斑点の醜態となり
性格もすっかり変わってしまう
死を見た目を見ると皆恐怖に落とされる
姉妹も家から出てしまう
その後、ラザルスは近所の子どもらから
食べ物を恵んでもらいながら生き長らえる
毎日、町はずれの荒野に出かけて日光浴すると
いくらか優しい顔になるが、夜はまた死人の顔に戻る
ローマ帝国のアウガスタス陛下が会いたいと言い
騎馬の一団が迎えに来る
どんなに豪胆な貴族も哲学者も
彼の目を見ると本当の恐怖を知り気が違ってしまう
重臣らは皇帝の謁見のため
腕のいい画家や理髪師にラザルスを化粧させるが
目だけは取り替えられない
勇敢な皇帝は
「生気を失う前にお前と話したい お前はどういう人間だ?」
「私は死んだ人間です」
「わしの領土では人民は生き、働き、人生を楽しむ
お前は死と戦っている彼らの叫び声が聞こえないのか?
あるいは、お前を怖れるのは臆病者だけなのか?」
ラザルスの目を見た皇帝は恐怖で意識を失いかけるが
「わしには生者の世界を守る大任がある」ともちこたえる
翌日、刑場で殺されるかと思いきや
首切り役人はラザルスの両目を焼く
しかし、一度死んだラザルスは楽しみばかりでなく苦痛も感じない
ある日、夕陽を追うように荒野に消え
死の世界に帰ったのか姿を見せなくなった
■「鏡中の美女」
イギリスのマクドナルド
これとよく似たストーリーの映画があって
主演のマーク・シンガーが大好きで何度も観たっけ
→過去へ旅した女 The Two Worlds of Jenny Logan (1979)
大学生コスモは古道具屋で見た鏡が気になる
主人:
この鏡は1/4の値段にオマケします
ただし手放したくなった時は元値をくださる条件で
この鏡を売るのは6度目だ
今度あたりでおしまいにしてもらいたいものだ・・・
部屋に鏡を置くと、鏡の中に美女が悲しそうに映っている
それから毎晩6時になると出てくるため
古い鏡に女の霊がついていると思うコスモ
新しい婦人用の寝台を買うと
女はこれまでの寝室服から夜会服で現れる
彼女の悲しみを和らげることができたらと願うと
間もなく女は現れなくなる
コスモは魔術の知識もあったため
部屋に丸い赤線を引き、呪文を唱えると
女は実際の扉から入ってくる
女:
あの鏡がある間は私は奴隷なのです
私を愛してくださるなら私を自由にしてください
鏡に一撃与えようとした瞬間、雷鳴がおきてコスモは倒れて気を失う
ホーヘンワイス家の姫がふしぎな病だと耳にする
1年半ほど前、使用人の老女を叱ったところ
姫を脅かして姿を消し、鏡もなくなり、それから病になったという
コスモは鏡の女が姫だと知り
主人に鏡を盗まれたと話すと驚いた様子だが
主人が取り返したに違いないと思う
スタインワルドという貴族が鏡を買ったという話を聞く
ホーヘンワイス家では姫が意識を取り戻す
姫:私はもう自由です
橋の上でコスモと会うが
コスモ:私はもう死にます
横腹からドクドクと血を流している
鏡を壊したため、スタインワルドに刺され
姫を見て安心して崩れ落ちる
■「北海の百魔」
イギリスのアーサー・コナン・ドイル「北極星号の船長」
捕鯨船・北極星号で
北海のどこかから女のすすり泣きが聞こえるという噂が広まる
氷原をなにかが横切るのを見るムレアドとメースン
氷丘に登ると白いものが見えて消えてしまう
翌朝、南のほうから氷りはじめて
帰り道がふさがれるという不安が広まる
クレーグ船長:
北氷洋の鯨捕りはこれからが面白いのだ
一か八かの勝負だ
スコットランドの捕鯨船でいつも一番鯨を積んで帰るのがわが北極星号なのだ
船長にすすり泣きの話をすると
船長:君は人の霊魂を信じるかね?
船医マリスター:私は医者なので信じません
クレーグは有能な船長だが、友もなく、生い立ちなどを知る者もいない
いつも航海が終わると姿を消し
鯨の季節になるとふらりと事務所にやって来る
2日後、船長は食糧の残りを調べさせると
50人の乗組員が10日ほど食べる食糧しかない
船長:
最悪を考えても貯蔵したアザラシの中に寝ていれば
春まで十分生きることができる
とにかく解氷を待ち、即座に脱出できる準備をしておいてもらいたい
船長はブリッジに立ち、氷原を見て何か思いにふける
船長:
ほら、あすこに人が! 君は見たかね?
悪夢を見るのは発狂の兆候かね?
マリスター:
頭痛、耳鳴り、幻想などがありますね
実際にないものを見るのが幻想ですよ
船長の言う通り、風は北向きに変わり、水夫たちは喜ぶ
メースン:
あなたは船乗りは迷信深いと言いますが
海にはさまざまな神秘があるのですよ
この辺は未知の海で神秘なことがあってもフシギではありません
今朝、1匹の北極狐が現れてなにかに驚いて逃げてしまった
水夫たちはこの船に魔物がついていると信じています
明日の朝に脱出と決まった夜
船長は「白魔だ!」と叫び白いものを追って駆けだし
それに抱きかかえられるように恐ろしい速さでかなたへ走り去った
船長の死体は翌朝に発見された
船はスコットランドに帰り、船長と婚約中の婦人が
航海中に病死したことを知る
■「外套の恐怖」
ロシアの文豪ゴーゴリの代表作
書類を写す仕事を30年もしているアカーキィ・アカーキブィッチは
風采の上がらない男で役所の仲間からバカにされている
つぎはぎのたびに切り取るために短くなった
ボロボロの外套は「半纏」と呼ばれている
酷い寒さの中出勤すると、肩と背中に鋭い痛みを感じる
いつも修理を頼むペトローブィッチのもとに行く
彼は大酒飲みで、酔っぱらっている時は仕立て代をまけてくれるが
ペトローブィッチ:
これはもう全然繕いがききません
ひとつ新調なさるんですな
テンの毛皮でもつければ200ルーブリはかかります
気の弱いアカーキィは頭がボーっとしてしまう
彼の給料は1年に400ルーブリで食べるのにやっと
再びペトローブィッチを訪ねると80ルーブリで作ると言う
貯金箱を見ると全部で40ルーブリ
賞与が40ルーブリもらえるはず
アカーキィはものすごく生活をきりつめる決心をする
夜はロウソクなしで過ごし、靴底が減らないように歩き
1枚きりの部屋着にくるまり過ごしたが
新しい外套のことばかり考えて慣れてきた
年末の賞与は80ルーブリもらい
喜んでペトローブィッチの所に行き
一緒にラシャを買い
2週間後、ついに新しい外套が出来た
それを着ると役所では大騒ぎとなる
「早速、今晩、祝杯をあげるだろう?」と言って困らせ
副課長がアカーキィに代わり夜会を催すこととなる
その夜はみんなが祝いの言葉を述べた
帰り道、街燈もない空き地で2人の追いはぎに遭い
外套を盗まれて殴られ、気を失うアカーキィ
交番の巡査も役に立たず
下宿の婆さんから「真っ直ぐ署長にお願いしたほうがいい」と言われる
翌日、またボロの半纏を着たアカーキィを見て驚く仲間
みんなからかってはいても、けして憎んでいるわけではなかったため
いくらかずつ金を出し合って渡すと
涙を流して義援金を受け取るアカーキィ
仲間:
警察に頼んで外套が見つかったとしても
法律的な証拠だので本人の手に渡らないんだ
僕は有力者を知っているから紹介するよ
最近、役所の勅任官になった男を訪ねると長いこと待たされる
田舎の友人が来ていて、自分の出世を見せびらかすため
ようやく部屋に通されて理由を話すと
勅任官:
ものの順序を知らんのか
まず事務課に願書を出し、主事にいき、課長、秘書官に周り
本官に提出されるのだ
アカーキィは脅されて震えながら部屋から引っ張り出される
ひどい吹雪の中、下宿に戻り、医者から手遅れだと言われる
医者:松の木の棺をあつらえるといい 槲じゃ高すぎるだろう
翌日、アカーキィは死ぬ
それから橋で夜な夜な官吏の幽霊が出て、外套をはぎとる事件が起きる
仲間:
猫の毛皮でも、ラッコ皮でも、テン、キツネ、クマ
毛皮、なめし皮の外套は片っ端からはぎとるそうだ
あんなに彼をバカにしなければよかったな
(こんなに動物の皮を剥いでいるのか・・・涙
ある晩、長官は夜会に行き、愉快な気分で馬車に乗っていると
アカーキィに外套をつかまれる
アカーキィ:
いよいよ貴様の外套をおさえたぞ
今度こそ、自分のをこっちへよこせ
この事件後、アカーキィの幽霊は出なくなった
おそらく長官の外套がぴったり合ったのでしょう
*
怪談というより、人情話っぽい
アカーキィをからかった仕事仲間は
本当は彼をリスペクトして愛していたとか
勅任官も田舎の友だちが訪ねてきていなければ
こんなムダな見栄を張ることなく、根は悪くないと説明されている
ロシアの厳しい寒さと貧しさを思うと、とても切なくなる話だった
装幀:岡本かんじ 表紙・挿絵:白井哲
※「ジュヴェナイル」カテゴリー参照
・『幽霊屋敷』
実家から送ってくれた学生時代に買った本シリーズ
調べたらこれも絶版で高値がついていた
一番高値は4000円!
このシリーズ全部読んでみたい
ヒエログリフみたいな装幀もステキ
これも読んでみたい↓↓↓
昭和の装幀がいいんだよね
・西条八十「幽霊の塔」偕成社 - ジグソーハウス通信
・偕成社/西条八十「幽霊の塔/ジュニア探偵小説15」
関連して見かけたお名前
女性かと思ったら男性なのか
・黒岩涙香(ウィキ参照
・黒岩涙香 - Wikiwand
限りなくウィキペディアに似たウィキワンド?
これまた初めて知った/驚
・Wikipediaリーダー『Wikiwand』断然見やすい…Firefox・Chrome拡張機能! | Report Hot Cafe
“Wikiwand(ウィキワンド、旧称:WikiWand)とは、
ウィキペディアの閲覧のために開発されたソフトウェアインタフェースである。”
【内容抜粋メモ】(ネタバレ注意!
本書は主にヨーロッパとアメリカの作家が書いた
怪談の中から代表的な10篇の名作を集めた
作者はそれぞれ文学史上で有名な作家ばかり
■「幽霊屋敷」
イギリスのリットン卿 原題は「貸家」
友人が3日泊まって恐怖に耐えられず出た
ロンドンの幽霊屋敷の話を聞いて来た男
3週間前、家番の婆さんが幽霊に絞め殺されたと聞く
家主を訪ねてわけを聞くと婆さんは30年ほど前
家を借りていたことがある
豪傑な下男のフランク、ブルテリアを連れて泊まることにする
早速、足音が聞こえて、犬はすっかり怖がる
イスが勝手に動いたり、怪しい小部屋に閉じ込められた2人
人形の光が階段を上るのも見る
35年前の手紙を見つけ、婆さんは船乗りの妻だと分かる
その後、懐中時計が消える事件も起きる
勇敢なフランクですら
なにか得体の知れないものを見て家から飛び出してしまう
とうとう悲し気な女性の霊を見る
犬は恐怖のあまり死んでしまう
男は家主に小部屋を壊してはどうかと提案
婆さんは財産家の娘で、海賊あがりの男と結婚
2人は家の財産を狙って相続者を殺したが
その後、運の悪いことが続いてとうとう家番になった
小部屋から気味の悪い男の肖像画が出てくる
地震のように部屋が揺れ、呪いの書かれた皮が見つかる
これが魔力の正体だと焼き捨てて、秘密の部屋を壊すと
怪異はそれきり起きなくなる
■「謎の日記帳」
アメリカのビヤース 「妖物」
彼はメキシコで行方不明になり消息がわからなくなった不思議な作家
モルガンとハーカーは山村で化け物を見る
ハーカーはその獣に跳ね飛ばされ
モルガンは惨い有様で死んでいる
検視官が真夜中に着く
モルガンの日記を見つける
姿の見えない通り魔に悩んでいたことが分かる
見たことのない足跡も見つかる
モルガンを埋葬して、ハーカーは山村を出る
■「運命の3・7・1」
ロシアの大文豪プーシキンの有名な代表作の一つ
ヘルマンという若い士官はカルタの賭けを見ているばかり
近衛士官が祖母のフシギな話をするのを聞く
50年ほど前、祖母がまだ若い頃、カルタに負けて莫大な借金を作る
もう二度と賭けをしない約束で奇怪な老人から必ず勝つ秘策を聞き
祖母は負けた金額をすべて取り戻した
祖母はある男に3枚の勝ち札の秘密を教えたことがある
彼も負けた額より多大に儲けたという
ヘルマンは秘密が知りたくてしかたない
「節約、中庸、勤勉がオレの人生の勝ち札だ」と思っても頭から離れない
夫人の屋敷にいる美しい娘にとりいって秘密を探ろうと思いつく
孤児で身寄りがなかったリザベータはヘルマンに好意を抱く
屋敷に忍び込み、婦人に秘密を聞くが答えないため
ピストルで脅すと恐怖のあまり死んでしまう
87歳の高齢のため自然死と思われ、ヘルマンはホッとする
葬儀に行くと、棺の中の夫人が片目をあけて驚く
正気を失うほど酒を飲んで帰ると、夫人の霊が現れ
「3、7、1と賭けると勝てる」と教えてくれる
モスクワの賭博王相手に勝負をすると
あっという間にひと財産儲けるヘルマン
次はその大金をそっくり賭けてまた勝つ
次の晩、同じくまた勝ったと思いきや
スペードの女王が夫人ソックリに見え
片目でにらみ全財産を失う
それ以降、ヘルマンは発狂し、病院に入れられ
ずっと「3、7、1」と早口でつぶやくようになる
■「幽霊船カムチャッカ号」
アメリカのクロフォード「上床」
逞しい体のブリスバーンはカムチャッカ号で幽霊に会った話をする
105号室の下の寝台に寝ていると
相客がひどく青い顔をして入って来る
突然、夜中に廊下に駆けだす
舷側の窓が開いて寒い思いをする
翌日、船医に話すと
「私は医者なので迷信は信じたくないが
最近、航海の間にあの船室の客がみな海に落ちて死んだ」と言う
船長
「あなたと同室の客が行方不明になった
海に落ちたとしか考えようがない」
夜にまた舷側の窓がひとりでに開き、給仕のせいではないと分かる
寝台から怪物が猛烈な勢いでとびかかってきて廊下に飛び出す
船長も確かめるためにひと晩泊ることにする
船長
「5月にこの寝台に寝ていた客は気が変だった
海に落ちて探しても見つからなかった
2度目に事件が起きたのは、その航海の帰り
この舷側の窓から飛び降りた
それから自然と窓が開くようになった」
寝台に得体の知れない怪物がいて捕まえると
人を引き伸ばしたようにぐにゃぐにゃで悪臭が漂う
船長はこの時の恐怖で性格が変わってしまう
105号室は釘づけになり、いつでも約束済みとなった
■「魔のトンネル」
イギリスのディケンズ 「信号手」
男は下にいる信号手に「おーい、下にいる人」と手を振ると妙な顔をされる
信号手
「明日の晩は“おーい、下にいる人”と呼ばないでください
あそこに幽霊が出るんです
初めて出たのは1年前 影がトンネルのほうに消えて
その6時間後、汽車が転覆してたくさんの死傷者が出た
半年後、また姿を現して
汽車の中で若い女が1人死んでいた
1週間前もまた出て、まだ事故は起きていないが、何か起きる気がする」
男は信号手の話したように手を振るなにかを見る
「今朝、信号手が機関車に轢かれた
汽車が来るのに背を向けて動かないため止まれなかった
“おーい、下にいる人”と怒鳴って手を振ったんだが」
■「毒薬博士の娘」
アメリカのホーソン「ラッパッチーニの娘」
ジョバンニは父の親友のバクリオーニ博士に
ラッパッチーニ博士の隣りに下宿したと話すと驚く
ラッパッチーニとバクリオーニは医学上のことで長い間論争している
バクリオーニ
「彼は偉い学者だが、科学のためには人の命を犠牲にしても構わぬという男だ
植物にあらゆる病気を治す効力があると言い
自分で育てて毒薬を作り、治療に用いているらしい」
家主の婆さんがラッパッチーニの見事な庭に入る秘密の入口を教えてくれる
ラッパッチーニ博士は木や草に体が触らないよう注意しているのに
娘ベアトリーチェは平気で噴水の紫の花に触り
「私の妹!」と呼んでいるのを聞く
花の液がトカゲにかかるとたちまち死んでしまう
彼女の周りを飛ぶ虫もぽとりと落ちて死ぬのを見る
バクリオーニ「彼はもう君を実験材料にしているかもしれない」
ベアトリーチェは小さい頃から庭の植物とともに育てられ
友だちがいないと言うので
可哀想になるジョバンニ
ベアトリーチェが触れた手が火傷のように痛むが
恐ろしさを知りながら庭を何度も訪ねるジョバンニを心配した
バクリオーニは解毒剤を渡す
「正道と邪道の闘いだ」
ジョバンニは蜘蛛に息を吹きかけると死んでしまい
自分も毒人間になりかけていると知る
ベアトリーチェを責めるとむせび泣いて
「こんなことになろうとは夢にも思わなかった
呪われた私を殺してください!」と頼み可哀想に思う
ラッパッチーニ
「わしは学問の力で超人を作った
お前はどんなものでも1呼吸で打ち破ることが出来る」
ベアトリーチェは解毒剤を飲み、死を選ぶ
■「死人の目」
ロシアのアンドレーエフ「ラザルス」
4日前に死んで埋葬したはずの兄ラザルスが家に戻ってきて
姉妹は幽霊が出たとビックリする
ラザルスが墓の中で生き返ったという噂はたちまち広まり
みんなは奇跡を見に集まり大宴会となる
生前は快活な青年だったラザルスは
体中に紫色の斑点の醜態となり
性格もすっかり変わってしまう
死を見た目を見ると皆恐怖に落とされる
姉妹も家から出てしまう
その後、ラザルスは近所の子どもらから
食べ物を恵んでもらいながら生き長らえる
毎日、町はずれの荒野に出かけて日光浴すると
いくらか優しい顔になるが、夜はまた死人の顔に戻る
ローマ帝国のアウガスタス陛下が会いたいと言い
騎馬の一団が迎えに来る
どんなに豪胆な貴族も哲学者も
彼の目を見ると本当の恐怖を知り気が違ってしまう
重臣らは皇帝の謁見のため
腕のいい画家や理髪師にラザルスを化粧させるが
目だけは取り替えられない
勇敢な皇帝は
「生気を失う前にお前と話したい お前はどういう人間だ?」
「私は死んだ人間です」
「わしの領土では人民は生き、働き、人生を楽しむ
お前は死と戦っている彼らの叫び声が聞こえないのか?
あるいは、お前を怖れるのは臆病者だけなのか?」
ラザルスの目を見た皇帝は恐怖で意識を失いかけるが
「わしには生者の世界を守る大任がある」ともちこたえる
翌日、刑場で殺されるかと思いきや
首切り役人はラザルスの両目を焼く
しかし、一度死んだラザルスは楽しみばかりでなく苦痛も感じない
ある日、夕陽を追うように荒野に消え
死の世界に帰ったのか姿を見せなくなった
■「鏡中の美女」
イギリスのマクドナルド
これとよく似たストーリーの映画があって
主演のマーク・シンガーが大好きで何度も観たっけ
→過去へ旅した女 The Two Worlds of Jenny Logan (1979)
大学生コスモは古道具屋で見た鏡が気になる
主人:
この鏡は1/4の値段にオマケします
ただし手放したくなった時は元値をくださる条件で
この鏡を売るのは6度目だ
今度あたりでおしまいにしてもらいたいものだ・・・
部屋に鏡を置くと、鏡の中に美女が悲しそうに映っている
それから毎晩6時になると出てくるため
古い鏡に女の霊がついていると思うコスモ
新しい婦人用の寝台を買うと
女はこれまでの寝室服から夜会服で現れる
彼女の悲しみを和らげることができたらと願うと
間もなく女は現れなくなる
コスモは魔術の知識もあったため
部屋に丸い赤線を引き、呪文を唱えると
女は実際の扉から入ってくる
女:
あの鏡がある間は私は奴隷なのです
私を愛してくださるなら私を自由にしてください
鏡に一撃与えようとした瞬間、雷鳴がおきてコスモは倒れて気を失う
ホーヘンワイス家の姫がふしぎな病だと耳にする
1年半ほど前、使用人の老女を叱ったところ
姫を脅かして姿を消し、鏡もなくなり、それから病になったという
コスモは鏡の女が姫だと知り
主人に鏡を盗まれたと話すと驚いた様子だが
主人が取り返したに違いないと思う
スタインワルドという貴族が鏡を買ったという話を聞く
ホーヘンワイス家では姫が意識を取り戻す
姫:私はもう自由です
橋の上でコスモと会うが
コスモ:私はもう死にます
横腹からドクドクと血を流している
鏡を壊したため、スタインワルドに刺され
姫を見て安心して崩れ落ちる
■「北海の百魔」
イギリスのアーサー・コナン・ドイル「北極星号の船長」
捕鯨船・北極星号で
北海のどこかから女のすすり泣きが聞こえるという噂が広まる
氷原をなにかが横切るのを見るムレアドとメースン
氷丘に登ると白いものが見えて消えてしまう
翌朝、南のほうから氷りはじめて
帰り道がふさがれるという不安が広まる
クレーグ船長:
北氷洋の鯨捕りはこれからが面白いのだ
一か八かの勝負だ
スコットランドの捕鯨船でいつも一番鯨を積んで帰るのがわが北極星号なのだ
船長にすすり泣きの話をすると
船長:君は人の霊魂を信じるかね?
船医マリスター:私は医者なので信じません
クレーグは有能な船長だが、友もなく、生い立ちなどを知る者もいない
いつも航海が終わると姿を消し
鯨の季節になるとふらりと事務所にやって来る
2日後、船長は食糧の残りを調べさせると
50人の乗組員が10日ほど食べる食糧しかない
船長:
最悪を考えても貯蔵したアザラシの中に寝ていれば
春まで十分生きることができる
とにかく解氷を待ち、即座に脱出できる準備をしておいてもらいたい
船長はブリッジに立ち、氷原を見て何か思いにふける
船長:
ほら、あすこに人が! 君は見たかね?
悪夢を見るのは発狂の兆候かね?
マリスター:
頭痛、耳鳴り、幻想などがありますね
実際にないものを見るのが幻想ですよ
船長の言う通り、風は北向きに変わり、水夫たちは喜ぶ
メースン:
あなたは船乗りは迷信深いと言いますが
海にはさまざまな神秘があるのですよ
この辺は未知の海で神秘なことがあってもフシギではありません
今朝、1匹の北極狐が現れてなにかに驚いて逃げてしまった
水夫たちはこの船に魔物がついていると信じています
明日の朝に脱出と決まった夜
船長は「白魔だ!」と叫び白いものを追って駆けだし
それに抱きかかえられるように恐ろしい速さでかなたへ走り去った
船長の死体は翌朝に発見された
船はスコットランドに帰り、船長と婚約中の婦人が
航海中に病死したことを知る
■「外套の恐怖」
ロシアの文豪ゴーゴリの代表作
書類を写す仕事を30年もしているアカーキィ・アカーキブィッチは
風采の上がらない男で役所の仲間からバカにされている
つぎはぎのたびに切り取るために短くなった
ボロボロの外套は「半纏」と呼ばれている
酷い寒さの中出勤すると、肩と背中に鋭い痛みを感じる
いつも修理を頼むペトローブィッチのもとに行く
彼は大酒飲みで、酔っぱらっている時は仕立て代をまけてくれるが
ペトローブィッチ:
これはもう全然繕いがききません
ひとつ新調なさるんですな
テンの毛皮でもつければ200ルーブリはかかります
気の弱いアカーキィは頭がボーっとしてしまう
彼の給料は1年に400ルーブリで食べるのにやっと
再びペトローブィッチを訪ねると80ルーブリで作ると言う
貯金箱を見ると全部で40ルーブリ
賞与が40ルーブリもらえるはず
アカーキィはものすごく生活をきりつめる決心をする
夜はロウソクなしで過ごし、靴底が減らないように歩き
1枚きりの部屋着にくるまり過ごしたが
新しい外套のことばかり考えて慣れてきた
年末の賞与は80ルーブリもらい
喜んでペトローブィッチの所に行き
一緒にラシャを買い
2週間後、ついに新しい外套が出来た
それを着ると役所では大騒ぎとなる
「早速、今晩、祝杯をあげるだろう?」と言って困らせ
副課長がアカーキィに代わり夜会を催すこととなる
その夜はみんなが祝いの言葉を述べた
帰り道、街燈もない空き地で2人の追いはぎに遭い
外套を盗まれて殴られ、気を失うアカーキィ
交番の巡査も役に立たず
下宿の婆さんから「真っ直ぐ署長にお願いしたほうがいい」と言われる
翌日、またボロの半纏を着たアカーキィを見て驚く仲間
みんなからかってはいても、けして憎んでいるわけではなかったため
いくらかずつ金を出し合って渡すと
涙を流して義援金を受け取るアカーキィ
仲間:
警察に頼んで外套が見つかったとしても
法律的な証拠だので本人の手に渡らないんだ
僕は有力者を知っているから紹介するよ
最近、役所の勅任官になった男を訪ねると長いこと待たされる
田舎の友人が来ていて、自分の出世を見せびらかすため
ようやく部屋に通されて理由を話すと
勅任官:
ものの順序を知らんのか
まず事務課に願書を出し、主事にいき、課長、秘書官に周り
本官に提出されるのだ
アカーキィは脅されて震えながら部屋から引っ張り出される
ひどい吹雪の中、下宿に戻り、医者から手遅れだと言われる
医者:松の木の棺をあつらえるといい 槲じゃ高すぎるだろう
翌日、アカーキィは死ぬ
それから橋で夜な夜な官吏の幽霊が出て、外套をはぎとる事件が起きる
仲間:
猫の毛皮でも、ラッコ皮でも、テン、キツネ、クマ
毛皮、なめし皮の外套は片っ端からはぎとるそうだ
あんなに彼をバカにしなければよかったな
(こんなに動物の皮を剥いでいるのか・・・涙
ある晩、長官は夜会に行き、愉快な気分で馬車に乗っていると
アカーキィに外套をつかまれる
アカーキィ:
いよいよ貴様の外套をおさえたぞ
今度こそ、自分のをこっちへよこせ
この事件後、アカーキィの幽霊は出なくなった
おそらく長官の外套がぴったり合ったのでしょう
*
怪談というより、人情話っぽい
アカーキィをからかった仕事仲間は
本当は彼をリスペクトして愛していたとか
勅任官も田舎の友だちが訪ねてきていなければ
こんなムダな見栄を張ることなく、根は悪くないと説明されている
ロシアの厳しい寒さと貧しさを思うと、とても切なくなる話だった