メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『ぼくの羊をさがして』 ヴァレリー・ハブズ/著 あすなろ書房

2023-03-19 18:06:56 | 
2008年 初版 2009年 第2刷 片岡しのぶ/訳 大高郁子/装画

ヴァレリー・ハブズ
1941年 アメリカ、ニュージャージー州生まれ


これは、今の私にくれた天からのプレゼントだな

私の好みにピッタリ
ハードカバー、ちょうどいいサイズ
可愛いイラストの表紙、
読みやすい文字数とページ数

そして犬の冒険を描いたストーリー
一生に1冊出逢えるかどうか

単純に犬が友だちのヒツジを探す話と思いきや、かなり深かった!!
牧羊犬のボーダー・コリーて賢いんだなあ

いろんな場所でいろんな暮らし方、タイプのニンゲンと出会い
自分の持つ力を活かして役に立つことの喜びを探すって
ヒトの一生にも通じる


【内容抜粋メモ】
牧羊犬のボーダーコリー 名前はジャック

放浪の旅の間にいろんな名前で呼ばれた
ジャックとつけてくれたのは、大の仲良しのルーク

ルークに出会うまで、苦しいことがいっぱいあった



子犬の頃はやんちゃ坊主だったけど
どこかに、ぼくのするべき大事な仕事がある
それさえ分かればいいって知ってた

主人のボブさんが大好きだった
カリフォルニアで羊牧場をしてたが
経営がとても大変だった
奥さんはエレンさん

牧羊犬のリーダーはオールド・デックス

毎日退屈だったけど、大人の犬といっしょに
トラックの荷台に乗せてもらった時は嬉しかった

オールド・デックスから羊の群れを誘導させる技を学んだ

自分の持って生まれた得意技を生かして
大事な仕事をして役に立っている時は最高だ

これがぼくの生きる目的だとはっきり知った



ある日、嵐で雷が落ちて、火事が起きた
農場はひどい痛手を受けて、羊をたくさん売った

子犬は金網張りの荷台に入れられ、トラックに乗せられた

父さんは「くじけるなよ!」と合図した

きょうだいや友だちが1匹ずついなくなり
とうとうぼくだけになって
ペットショップのガラス箱に入れられた

初めてのお風呂に入れられ、赤ん坊みたいにわめいた

食事もひどい カチンカチンの粒で
紙袋に入っているから紙の味がする

隣りのビーグルたちは寝てばかり
うつ病にかかっていたのかもしれない

犬を魚やヘビみたいにガラスの箱に入れるなんて
やっちゃいけないことだよ



ある日、お父さんに連れられて女の子のペネロピーが
「これにする!」と金切り声で叫んだ

お父さん「お前の誕生日だから、好きなのを選んでいいよ」

ぼくはドレスを着せられ、ベビーカーに乗せられた

ペネロピー:
あんたは赤ちゃんよ、ブラッキー
あたしがあんたのママ
きれいなパンツにオシッコなんかしたら、ママがお仕置きしますよ!


これまでは母さんやきょうだいとくっついて寝ていたのに
外の庭のすみの白い小屋に鎖でつながれて寝るのは惨めだった

この家にはいられないとはっきりさとった

ぼくとあの一家は相性が悪かった
かわいい室内犬が似合っていたんだ

鎖をはずした時、柵を飛びこえて走った
一生かかっても、生きる目的をもう一度見つけようとだけ考えていた



ぼくは、あちこちの雑種犬と友だちになった

荷車をひいたおじいさんがヤギを連れていた

「おいで」

その声で、すっかり安心した
ぼくには家族が必要だった

おじいさん:
わしらはメキシコから来た カナダへ行こうと思ってね
それでいいかい、シェップ?

おじいさんは人のお金をあてにしたことは一度もない
必要なものはみんな天からもらっている

この世に場所を借りて生きている者は
そのお返しをせにゃならん
たとえば通りすがりの草を短くすること

知恵の言葉のカードを作って、たまに売る

おじいさんとの旅はちょっと退屈だった
ぼくにはもっと大事な天職がある
でも、ぼくはおじいさんが大好きだった

途中会う人はみんな親切だった
おじいさんが、みんなが憧れる風の吹くままという暮らしをしていたからだろう



オレゴン州で寒い冬が終わる頃、おじいさんは病気になり
廃屋の裏の小屋で眠っていた

若い頃、恋人のトルーディの父に反対されて駆け落ちした話をした
隣りの郡で結婚し、新しい家族が出来た時は天に昇るほど喜んだ

だが、難産のため、トルーディも子どもも死んでしまった
若者はヤギだけ連れて家を出た

おじいさんは眠るように亡くなり、ヤギを農家に連れて行った
きっとこの家の人たちの役に立つ
お百姓さんがおじいさんの小屋に入るのを見届けた



ぼくは生ゴミをあさる野良犬じゃない
だけど、腹ペコだと、食べ物を探すだけで1日が暮れてしまう

食べ物を持っているのは人間だけ
獲物を殺して食べるのはごめんだった

どうやって殺す?
想像しただけで、菜食主義者になりかけた



破れ靴を履いた小柄なスナッチ
大柄で犬好きなホラリン(大声)に気に入られてスポットと名付けられた

2人は食糧を盗んだり、財布を盗んだりして暮らしている
草ぼうぼうの空き地で野宿して、雪が降ってきた

赤い貨車に乗る時、首にロープをつながれて残された

犬は食費がかかるから連れていくわけにはいかないと説明してくれたら
ぼくは納得したのに

でも、ホラリンは納得しないだろう
するとスナッチは根負けしてしまうから騙すしかなかった

だから、悪い人じゃない
そう考えて、自分をなだめた



急に網がかぶさり、金属の箱に入れられ、野良犬収容所(パウンド)に来た

先輩犬:
ここには毎日大勢の人が来る
他の犬は吠えるが、行儀よく賢いフリをするんだ

ボーダーコリーはじっとしてるのが大嫌いだが
檻の中ではすることがない

金属製の皿が出てきて、紙袋味のドッグフードが出る
腹ペコの時は食べ物の味がする



ある日、いやな笑い方をする男に出されて
首輪に鎖をつけた

首輪をするのは生まれて初めて 口輪までつけられた

「ヒール!」(人の脇について歩けというコマンド)と命令した
なんのことか分からずにいると、鎖で叩いた
背中に火がついたみたいだ



「ビリーのビッグ&ハッピー・サーカス」は陽気に見えた
テントは1つきりでビッグもハッピーも大ウソだ

恐怖の悪臭が充満していて、檻はニワトリ小屋なみに狭い

生まれてからずっとサーカスで暮らす
テリアのユー(お前)とユートゥー(お前も)

ティファニーを見た時、初めて恋を知る
以前はお屋敷に住み、ダイヤモンドをたくさん縫いつけた
クッションを持っていたと話す

ティファニー:
ここにいられるだけマシと思わなくちゃ
路上生活は厳しいから

象が踊りをちょっとでも間違うと調教師に怒鳴られて、棒でつつかれる
見物席の子どもたちは、動物の芸を見て大喜び

ティファニーはピンクのチュチュを着せられて
ユーとユートゥーの乗る車を引いて出てきた

ビリー:スパーキー、出ろ! フリップだ!(とんぼ返り

ぼくのこと? 言われた通りにしたくても意味が分からない
太っちょのビリーはムチで打つ

ロール(転がる)、ストーク(忍び寄る)

ユートゥー:
フリップはスパーキーの持ち芸だった
でもある日、ビリーの手に噛みついて、殴られて死んじゃった



ショー中に出口から走って逃げることはできる
でも、ぼくは自由を愛と引き換えにした

2人の仲を見たビリーは、ぼくにも踊れと命令した

踊るなんて、犬の天性に反することだ
自分でありつづけるには、越えてはならない一線がある

死ぬほどムチで叩かれて意識を失った
いつもティファニーがそばで傷口をなめてくれた
彼女は檻の開け方を知っているのに、なぜ逃げないのか分からなかった



傷が治り、ある朝、寒いのが苦手な象は機嫌が悪かった

火の輪くぐりをしていた時
ユーの帽子に火がついて、あっという間にテントに燃えうつった

逃げるなら今しかない

ティファニー:
ムリよ、私はここに残ります
私のぶんまで生きて
あなたの羊を見つけて




ぼくは夢中で走った

線路を歩く男の子が汽笛に気づかないので
列車に轢かれそうになるのを助けた
並んで歩くと仲間が欲しいんだなと分かった

男の子はぼくにジャックと名付けた

人間が犬に名前をつけるのは
自分が迷子になった時に犬を呼びたいからなんだ
犬は名前はなくてもいいんだよ

おじいさん:
誰でも、まずは自分の身を守らなくちゃならない
それでこそ、友だちにも手を貸せる


おじいさんはいなくなった
だから、たくさんのことを自分で学ぶしかない

それも悪くない
何も学ばないより、苦労して学ぶほうがいいにきまってる


「よき羊飼いの少年ホーム」
ルークのいる場所は、どうやら孤児院

厳しい規律により、犬は禁止されていて
ベッドに隠していたら、監視の女性に怒られる

あの人は自分の仕事を一生懸命にやってただけ
でも、仕事にかまけているうちに大事なことを忘れてしまった

食べ物も、ベッドも大事だけど
なにより大事なのは愛情

犬も子どもと同じ ダメ犬扱いされればダメになる
ルークはあの家から出たほうがいいと確信した



そもそも、僕がこうして生きてることに、どんな意味があるんだろう?
ぼくは今、ただのらくらしてるだけじゃないか?

この家の子たちは、親が迎えに来るのを待っている


「里親週間」
トラックから降りた夫婦を見て、ルークにぴったりと直観した

長いスピーチの後、子どもたちは、親になりたい人たちの前を歩く

ルーク:
里親面接でおいらは26回も落第した
おいらみたいな大きいのは誰も欲しがらないんだ!
けど、25セントもらえるからアイスクリームを買いに行こう

ルークは話したいことがいっぱいいっぱいたまっていた
ぼくという聞き手ができたから全部話す気になったんだ

この子にはどうしても家族が必要だ


「ボロおばさんのアニー」
おばさんはあちこちのゴミ捨て場から古着を集めている
トラックに運ばれた古着は、新しい服を買えない人たちに配られる

アニー:新品まで捨ててしまうなんて、もったいない話だよ!
(ずっと断捨離してた私には耳が痛いな/汗

アニーは賢いルークに本を読ませるが
うまく読めないルークは嫌がる

なんでもあっさり諦めてしまうのが良くない
勇敢な犬が北極で冒険する話をジャックはとても楽しむ/驚


「最後のチャンス」
里親週間の最後の日にもあの夫婦が来た

ルークは自分をどう変えればいいか知らないんだ
だからあることを思いついた

ルークがご夫婦の前に来た時、思いきり吠えてとんぼ返りを何度もした
ルークは奥さんの手をつかんだまま嬉しそうに笑った

ルーク:おいらの犬だよ! ジャックていうんだ!


「生きていくのに大事なものは・・・」
ぼくらは夫婦のトラックに乗った
家に着くと羊が6匹いた!

ルークは夫婦を喜ばせるために、新しい学校で一生懸命勉強している
そして、絵を描くのが素晴らしく上手い


この間、おじいさんの夢を見た

おじいさん:
生きていく上で大事なものは、それほどたくさんはない
悲しいかな、たいていの人はそれを知らない


大金持ちになりたい、豪勢なクルマを買いたい
立派な家が欲しいと欲張ってへとへとになってしまう

寝る場所、あたたかい食事
正直な仕事、苦労を分かち合う友
これだけあれば幸せになれる

もう1つ大事なものがある
それは、自分の一生は役に立った、と最後に思えることだ

自分なりに考え、努力し
世の中を少しは住みよい場所にした、と思えることだよ


***


こんな小さな本の中に、たいせつな言葉がたくさんつまってるなんてフシギだ

でも、最近見るエイブラハムの動画では

「努力、苦労しなくても、幸せはつねに無限に降り注いでいて
 私たちは抵抗するのをやめて、受け取るだけでいい」て学んだ

もうこんな涙ながらの“苦労”を積み重ねなくてもいいんだ

みんな十分すぎるほど“頑張った”から
“もう頑張らなくていいんだよ”って
教えてくれる本があってもいいと思うんだ


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