伯父の死後、老人ホームに入った88歳の伯母から、先日、「庭の管理ができなくなったから、欲しい物は何でも持って行って。」と言われていたので、今日は先ず車で1時間の伯母のホームに行き、それから一緒に家迄行って、庭や畑から色々と掘り上げて来て家に運んだ。
まず、畑に行ってアスパラガスの根を掘る事にした。
伯母の話では、今年は全く収穫せず放置したのだと言う。根は地中で入り組んで伸びていたし、土もひどく硬く、なかなか掘ることが難しかった。でも、数年経った太くて大きな根なので、来春の芽吹きと収穫を想像し、欲張って段ボール一つ分も掘り上げた。
次は庭に行った。色の良いミニダリア2株と真っ赤な大輪ダリア1株の球根を掘った。これは来春まで床下で保存する。
それから薔薇。今年も立派な花を咲かしていた薔薇だが、掘って見たらどの根も太く木質化していた。私の庭に上手く根付くかどうか分からない様な状態だが、取り敢えず移植してみようと、3株掘り上げた。もし、来春、発芽してくれれば儲け物なのだ。
また、50年以上経った庭木はどれも大きくなり過ぎていて、移植は無理だが、比較的小さいはい松があったのでスコップを入れてみた。何とか掘り出せたので車に積んだ。
以前は毎年立派な花を付けていたという数十本のレンゲツツジが、数年前から畑の一角で枯れたような状態になっている。今年の春、一本貰ってきて私の庭に移植したら、半年で元気を回復して、今、来年の大きな花芽を沢山つけているのだ。
それで今日は、別のツツジの端っこの小枝を何とか3本掘った。力一杯スコップを射して作業したら汗だくになったが、半年前に亡くなった伯父の形見だと思って頑張った。どんな花が咲くのか分からないが、何とか育てて咲かせてみたい。
最後に大きなモルタル作りの納屋を眺めた。農作業に使ってきた道具類や除雪の機械がぎっしりと詰まっていた。私はその中からプラスチック製収穫箱2つと剣先スコップ1本、ネット状の収穫袋数枚を頂いて来た。これらは、この先の私の作業に十分役立ってくれる事だろう。
伯母をホームに送り届けてから帰宅したら、薄暗くなっていた。慌てて庭の隙間にはい松やレンゲツツジを植えた。いよいよ暗くなって来てアスパラガスの植え付けは無理と判断し、取り敢えず穴を掘って根をまとめて埋めて置いた。
さっき、伯母から「疲れたでしょう。」という電話があった。私は帰ってからの作業を報告した。
庭の植物を、この先少しでも活かしたいと私に託してくれた伯母の心境を想像した。私にも、いつかそんな時が来るのだと思ったら、何となく寂しくなった。