この度、タイトルにある文庫本(森 亮太著、幻冬舎出版)を図書館から借りて読んだ。
今までも似たような内容の本を数冊は読んだが、今回の本は、日本の高齢者を取り巻く様々な状況が、時には国際比較のグラフを伴って実情が分かりやすく書かれていて、実に理解しやすく編集されているお勧めの本だった。
著者は、超長寿国である日本の高齢者が経済的に追い詰められる第一の原因は、高額な医療費の負担によるものだと説く。
癌で死亡する人が2人に1人と言われるが、著者は、癌などの治療に求められる高度な治療費負担、「胃瘻」施術による長期間の経費、1日5千円にもなる多額の個室利用料、過剰な投薬料の他、介護保険でまかなえない出費の個人負担分などが年金と少しの預貯金で暮らす高齢者の大きな経済的負担になり、「相対的貧困」線以下の「下流老人」に陥ってしまっていると説明する。
*「相対的貧困」とは、日本人全体の年収平均値の半分の年収に満たない世帯の事で、2012年の日本は年収122万円が貧困線とされていた。
「首都大学東京」の阿部彩による2012年「世帯別貧困率」では、高い方から「単独世帯」男性29.3%女性44.5%、「一人親と未婚子のみ」男性23.1%女性30.2%、「夫婦のみ世帯」男性14.2%女性14.8%の順で、「三世代世帯」は男性8.4%女性12.5%と低いが、「三世代世帯」の割合は少なく4%に満たないという。
また2010年の「相対的貧困率」を国際比較した場合、日本はイスラエル、メキシコ、トルコ、チリ、アメリカに次ぐ6番目の高さだった。
本の最後に著者が薦める生き方がまとめてあり、
⑴過剰な検診を避け、必要な検査だけを2~3年置きに受ける。
⑵自分の身体は自分でチェックし、病院依存症を脱する。
⑶信頼できる医師を見つけ、最小限の薬を処方して貰う。
⑷最後は自宅で迎えるよう、医師、家族などの協力を得ておく。
⑸身体と頭が健康な内に自分の希望をまとめ、書き残して置く。
だった。
この5項目の生き方を皆さんはどう思うだろうか。機会があれば、この本を是非手に取って見て欲しいと思う。