ジンバブエ国ビクトリアフォールズは小さな町だが、世界的に有名なビクトリアの滝のジンバブエ側からの観光拠点である。空港からホテルまで20分位小型バスで走ったが、むき出しの赤土の道路が続き、下草が枯れた茶色の大地に潅木が点在している広大な風景が広がっていた。そういえば昼の気温が20度を超えているとは言え、今は初冬なのだ。
ホテルに着くと広い中庭に通された。早速、現地の男性ダンスチームが打楽器と民族ダンスで歓迎してくれた。
鍵を渡されて部屋に入った。まず目を引かれたのはベット上に設置してある蚊帳だった。マラリヤを媒介する蚊を排除することが一番大事なホテルのサービスなのだろう。
蚊帳を見た途端、WHO、ODA、UNICEFなどを通して、日本がアフリカへ蚊帳を配布したという数年前のニュースを思い出した。このナイロン製らしい独特な天吊り蚊帳がそれかどうかは判らなかったが、私はその晩、50年ぶりで懐かしい蚊帳の中で寝た。
① ②
夕食まで2時間もあったので、単身参加のOさんと誘い合って近くの店にミネラルウオーターを買いに行く事にした。ホテルの門にいた警備員に店の場所を教えてもらって歩き出したが、冬とは言え午後の日差しは強く、往復20分歩いただけで汗が出た。
行く途中、帰宅途中の小学生に会った。話しかけてブーゲンビリヤの大木をバックに写真を撮らせて貰った。7歳だという子の屈託のない笑顔が素晴らしかった。
辿りついた数件の店の周りには、昼間なのに若い男性達がたむろしていた。中には私達に「コンニチハ」と声を掛ける人も多かったが、彼らは多分失業しているのだろう。木陰では子供を連れた女性達が涼んでいた。
少し大きなスーパーを見つけて入ってみた。入り口に警備員がいて、子供達が入るのを監視していた。
いつの間にか10歳位の男子二人が傍について来た。ニコニコしながら「コンニチハ」という。やがてその内「アイアム、ハングリー」と言い出した。帰りもまだしつこくついて来る。一人に施しをすれば大勢がやって来るに違いない。仕方がないので「帰りなさい」と何度かきつく言うと、諦めて離れていった。
すると今度は木彫りの動物を一個だけ持った男性が、「チープ」といいながら交互に付きまとって来た。「ノーサンキュー」と言いながら歩いている内にやっとホテルについた。熟年と老年の女の二人歩きは、甘く見られたのかも知れないと思った。
スーパーでOさんが買った2L入りミネラルウオーターは1本3ドルだったが、ホテルの売店では500cc入り1本が2ドルで売られていた。Oさんは持って上げた私に、空のボトル1本分の貴重な水を分けてくれた。
夕方5;30、ホテルから10分程バスに乗り、ザンベジ川で40人位は乗られる様な大型ボートに乗った。今回はもうひとつの団体と合わせても25~26人に過ぎなかったが、これからサンセットクルーズをするのだ。ボートはカバがいればその傍へ、鰐が見つかればそちら側へと行く。客は動物が見える度に歓声を上げて見つめ、シャッターを切る。自然の中で生息しているアフリカの動物達との出会いはやはり素敵だった。カバ6頭、小型鰐2匹、鹿1頭、鷺2羽を見た。
やがて日没になった。茜色に染まる空と水を見ていたら、何かセンチメンタルな気持ちにさせられた。
③ ④
真っ暗い中をバスに乗って帰る途中、道路脇で大きい猪2頭と数十頭の水牛の群れに出会った。闇の中、目の前で動く大型水牛の群れには感動した。夜は動物も安心して餌を食べるのかも知れない。
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