三日目 ホテルから15分歩いて「九さい溝」観光の乗り合いバスの発着場に行く。
日曜日なので中国人が大勢来ていたが、欧米人は少ししか居なかった。日本人は私達を含め今日一日で300人だそうである。私達は一台の専用バスになった。
「九さい溝」は、民山山脈からの湧き水が、カルシウム、マグネシウム、銅を多く含む独特の土質によって濾過されて澄んだ緑色の水になり、100以上もの透明で美しい湖や池、川、大小の滝が720k㎡もの広い地域に散らばっていて、世界遺産に登録されている。
入り口は標高1990mだが、最も高い場所にある「長海」は標高3150mの地点にあるのだ。万歩計を持っていた人によると、私達は一日で2万歩の距離をハイキングした事になったそうである。
私は持参した登山用の杖を使い、弱い方の膝にはサポーターを巻いて上り下りしたので、何とかみんなについて行けた。かなり足腰が疲れたが、二つの大きな滝を含む景観は、どこも息を飲むほど素晴らしかった。(写真は底の石が透けて見える湖)
四日目 7時半に弁当持参でバスに乗り、午前中、棚田の様に湖沼が連なる世界遺産「黄龍」のハイキングの予定だった。
しかし、行く途中で交通事故が原因の交通閉鎖となり、3時間半、バスは立ち往生させられたままだった。
何十台ものバスや車が渋滞する前方1km程の所で事故は起きたようだ。
あるバスの前を歩いて渡ろうとしたチベット族の20歳の男性が轢かれて死亡し、老人が大けがをしたらしい。事故の解決のため、チベット族の集落の人達大勢と家族が集まり、話し合いをしたがもめ、ついには武装警察と軍隊まで出動したが事故処理に時間がかかったらしいのだ。私達は中国の少数民族の立場を思いやった。(下は、バスが動いた時にバスから撮影した事故現場の軍隊の写真。バスの反対側には武装警察がいた。)
ガイドから、交通事故死の場合の国の保障は、人民元20万元(日本円で330万円)だと説明された。バスから見ていても、自転車、バイク、歩行者は、車を余り気にしている様には見えない。バイクの運転手にはヘルメットの義務は無い。ガイドは「中国は勇気優先」だと言った。しかし、滞在中、私達は何度も交通事故の現場に出逢った。
私達がバスを降りて立ち話をしていた時、どこからともなくチベット族の男性が数人、石の置物やヤクの切り取ったばかりに見える角、薄汚れた巻物などを手にして売りに来た。石の置物は偽物のガラス細工らしかった。
また、前に止まっていたボンゴ車の若いチベット族らしい運転手が、段ボールのゴミを車外に捨てた。それを見た私は、他の人を誘ってドアを開き、「ゴミを拾うように」とその運転手に抗議した。なかなか拾おうとしなかったが、大きな声で何度も言っていたら、私達のガイドがバスから降りて来て、「世界遺産を汚すな」と中国語で言ったら、彼はやっと拾った。私はホットした。私は、中国人が当たり前のマナーを身につけるのには、まだまだ時間がかかりそうだと思った。
3時間近く止まっていたら、私達の後ろのバスの乗客達が、飛行機に間に合わないので1時間半歩き、町から別の車に乗ると言って、ぞろぞろトランクを引っ張って前方へ歩き出したので驚いた。(写真)
この3時間半の渋滞のため、私達は仕方なく「黄龍」行きを諦めて、レストランで昼食後、「黄龍」の手前の4007mの峠までバスで行き、そこから5588mの雪宝頂を臨んだ。
峠の一部はチベット族の聖地となっていて、旗や紙銭で飾られていた。峠にはチベット族の女性と男性が小さな馬を引いて、写真撮影する人を募っていた。ブルーのポピーと黄色い花が咲いていた。
私は15分程上の方を散策したら息苦しくなり、バスに戻って携帯用酸素ボンベを借りて吸った。ガイドが用意してあった11本の酸素ボンベは、みんなで回しながら使ったら直ぐに空になった。頭痛を訴える人も居たが、私はそれ程でなかった。
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