七日目 ホテルから真っ直ぐ「四川パンダ繁育研究センター」に行く。
ここは1983年に6頭のパンダの保護のために設立され、昨年8月、世界遺産に登録された所だ。
そこでは36万k㎡の広大な竹林の中で、現在は43頭のパンダが飼育されていた。入り口から特別バスに乗って行くと、大人のパンダ数頭が竹を食べている場所に着いた。
そこで写真を撮って更に行くと、パンダの成育写真や赤ちゃんパンダの保育器が置かれている展示館があった。
その傍の施設で生後8ヶ月位の子どものパンダ数頭が飼育されていて、丁度、竹を食べたり木登りをしたり、遊具に登ったりして遊んでいた。食べているパンダは2頭いたが、仰向けのスタイルで食べていた。こんなに生き生きと自由に行動しているパンダを見たのは初めてだった。
ガイドの説明では、パンダは2000m以上の高地に生息していて、四川省には全体の80%が生息しているとの事。平均寿命は25年、一日の内、65%の時間は食べ、30%は寝ているそうだ。
繁殖力が弱く、毛皮目的で密漁されて来たパンダは、すっかり数が減ってしまった。だから研究センターの究極の課題は、人口繁殖させたここのパンダを自然に帰すことだそうだが、かなり難しいらしい。
2万円を寄付すると、パンダを抱いて自分のカメラで写真を撮る事ができる。私達のツアーでは、二人が応じた。私は入場料30元(510円)もパンダの繁殖と保護に役立つ筈だと思った。
研究センターの特別バスに乗り合わせた高齢の元気な女性と話しをしたら、彼女は台湾から観光に来た人だった。日本語が凄く上手いので、どうしてか聞くと、小学校5年生の時、1年間だけ台湾で国民学校に入って、日本語教育を受けた事があると答えた。日本へはテニス協会の旅行で数回行った事があるらしい。思いがけない場所で思いがけない歴史の生き証人に会った気がした。
次いで「三星堆博物館」を訪ねた。
1986年、二つの祭祀跡が見つかり、研究の結果、新石器時代末期から殷にかけて存在した3000年程前の古蜀国の都だとわかり、独特の目玉が飛び出し、耳が大きな仮面を持つ高度な文明の存在が世界に知らされた。
博物館は10年前に作られたのだが、行ってみると広大な場所の中に二つの展示館が作られていて、数多くの出土品やコピーが展示されていた。(写真上の右)
太くて長い象牙も沢山出土したが、ガイドは、当時の気候が今よりもとても熱くて、この辺りにも象が居たのかもしれないし、あるいはインドなどの南方から来たのかも知れないと言っていた。
私自身、札幌の展示で仮面の幾つかは見ていたが、高さ2.6mの青銅の立人像には圧倒された。
ところで、その文明は突如として消えてしまったというが、理由は何なのだろうか。日本語の専門ガイドは、ある日、近くの川で大洪水が起こり、死んだり、別の場所に移って行ったのではないだろうかと話した。私は伝染病に感染した事なども考えられるなと興味をそそられた。
世界遺産「都江堰(とこうえん)」見学
道教発祥地の「青城山」に行き、山の中腹にある寺の山門から中に入った。
入るとすぐに展望台があり、そこから下を見ると、中州のある幅の広い川が流れていた。みん江だった。急な石の階段を下りて山肌に建てられている幾つもの寺の建物を抜けながら下に行くと、みん江の巨大な川の傍に出た。
みん江は、その昔、何度も氾濫を繰り返したらしいが、紀元前256年に洪水を防止するために李氷親子が指揮ををとって作ったのが古代水利施設「都江堰」なのだ。
大きな川の中州で分かれた水流が、作った堰で調節されて計画的に流れていく仕掛けになっていて、現在も使われているのだという。日本では弥生時代に入り、縦穴式住居に住み、稲作が開始したころといわれる紀元前の古代に、現代まで利用される大規模な水利施設を作ったこの国の当時の人々の知恵と指導力に思いを馳せ、感嘆させられた。
川には長さ200m以上の吊り橋が吊ってあった。1列になって中州まで渡っていったが、結構揺れたので落ちないように真剣に渡った。
成都へ戻り、唐の大詩人杜甫が4年間住んでいたという「杜甫草堂」を見学した。
記念館の入り口を入ると、やせ細った晩年の杜甫の青銅像が迎えてくれた。彼はここで240編のリアリズムに溢れた詩を作ったのだそうだ。彼が住んだことがあるという草堂を見学した。(何度か建て替えられているそうだ。)
竹林の中の赤い塀に囲まれた杜甫の散歩道だったという所を通って外へ出たが、杜甫の様には、詩は思い浮かばなかった。
三国志で有名な諸葛孔明(181~234)を祀った「武侯祠(ぶこうし)博物館」に行く。4世紀初めに建てられたという釘を全く使わない大きな建物の中に、三国志の代表的な人物を形取った大きな人形が祀られていた。私は三国志に余り興味が無いため、ガイドの説明も受け流した。
夜6時の飛行機で、成都空港から上海に向かい、着いたら8時40分だった。気温は27℃で酷く蒸し暑く、一気に汗が流れた。バスで町の中心に行き、上海のネオンで飾られた夜景を見た後、船上のレストランで遅い食事を取った。
夜景を見る場所に偽ブランド品を持った女性が数人いて、かなりしつこくつきまとって来た。
八日目 個人の所有物である「豫園庭園」(写真下)を見学した。狭い場所に観光客が一杯だった。
ガイド嬢は、この庭園が造られたのは男尊女卑時代だったので、廊下や部屋を男女別にしてあるなど、建物に色濃くその影響が現れていることを力説していた。また、初代の庭園造成主の息子が遊興三昧の末、広かった庭園の一部を売り、相続した孫もまた売却して、現在は当初の1/3になってしまったと説明していた。
その後、傍の豫園市場を30分、自由に散策した。最後に参加者が要望した食品店に案内して貰い、30分間、自由に買い物をした。私は慌ただしく菓子と干し果物を買ってバスに戻った。
バスで上海空港に向かい、14時20分の千歳空港行きに搭乗した。
機内で出た軽食は、日本で積んだ懐かしい味の冷やしうどんだった。
3時間弱で千歳に着いた。時計を1時間進めて日本時間に戻し、荷物を受け取ってからJRで我が家に帰った。
中国は一番近い隣国だが、今回は西域の四川省まで行ったので、流石に疲れていた。これからは8日間を超える海外旅行は、体力的に無理かも知れないと思ったりした。
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