この前のシリーズで村上春樹さんを象に例えたわけだが、べつに村上氏が偉大だとか巨大だとかいうつもりではない。一つの作品に蟻のように無数の書評家が群がり、瑣末なことをあげつらっているだけで、結局1Q84という小説の全体的つかみを読者に与えていない有様を評したまでのことである。1260円をかえせ。
さて、この「1Q84をどう読むか」の中に千野帽子さんの文章がある。二つのプロットが相互に提示されて交わることなく進行するというのは、村上氏の作品でも他にあるそうで、それが「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」だそうだ。
ほかにも「1973年のピンボール」や「海辺のカフカ」も同じスタイルらしい。
偶然だがこの間何となく本屋の書棚の前でカンが働いてこの「世界の終わりと、」を買ったわけ。いま最初のところをちょこっと読んだところだが、まったく退屈な文章。それに交互に関係のない話が延々と入れ替わるが、どこで二つの話が交わるのかまったく分からないと言うのもばかばかしくなる話だ。
それでも、ちりばめられたエピソードとか章のそれぞれが面白ければいいのだが、全然面白くない。
ところが書評家以外の人達の声をブログで拾うと、1Q84は断然面白いという意見がおおい。あっというまで、気がついたら読み終わっていたなんてのがある。それじゃ「世界の終わり」から[1Q84」の間に文章がうまくなったんだ。あるいはストーリー・テリングが。
それとも、純文学からエンターテインメントになったのかな。