結局村上春樹は初心に戻ったらしい。1985年に「世界の終りと、」を発表したが、その一年前に舞台を戻して、リセットして新しいバージョンを書き上げたわけだ。
「構造的」にはウロボロスの尾のように二つの作品は円環をなしているわけだ。
世界の終りの、の「僕」のいる「壁のなか」は、さきがけの「塀のなか」になる。
「心」と「記憶」を捨てれば壁の中で平和に暮らせる > 世界の終りと、
「個人の意思」を捨てれば、さきがけの塀の中で幸せに暮らせる > 1Q84
二作品のもうひとつに共通点、村上氏の強迫観念の一つに「世界の終末」という観念がある。1Q84でも両パートで「世界の終末の予感」が繰り返し語られている。
村上春樹はハルマゲドン信者なのかね。