時々易をもてあそぶんだが、山口雅也氏の奇偶評でどこまで本音で批評していいか、思いついて占ってみた。そしたら補助卦で「訟」と出た。補助卦という言葉はないんだが。本卦が出ても色いろと補完する卦も見るのが普通で、補助卦はいくつもあるのだがこの場合は之卦が訟と出た。ちなみにこの小説に出てくる教祖は本卦一本やりの単純なものらしい。
この卦の解説はキグウ下巻にもある。どの入門書にもあるレベルで問題ない。要するにとことん批判するなと言う解釈になる。じゃによってやんわりと批評するつもり。
下巻で密室殺人というので読んでみるとたしかに出てくるが相変わらず易の初級入門書的なページが多い。それでも下巻の最初を読んでいて、これはこれだけで小説にしたほうがいいだろうな、と思った。上巻はいらない。多少登場人物の紹介に3,40ページ付け加えればいいかな。それと易の講釈は短くする工夫が必要だ。そうすると下巻300ページは相殺されて200ページくらいになりそうだ。そんな小説かなとおもって読み進めたが、くだらない講釈が多くて150ページあたりで前進不能となる。
それにしても、これがこの十年間のベストスリーとはどういうことか、と「ミステリーが読みたい2011」の評論家のコメントを見て二度びっくり。痴人のたわごとの連続だ。
たとえば、杉江『ミステリという小説ジャンルを冷徹に解体した結果に行き着いた極北の境地。ここで行われた実験にはすべて価値がある』。唖然、茫然、言う言葉を知らず。