穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

「多崎つくる君」が憑依魔だという仮説

2016-02-11 22:47:37 | 村上春樹

 大型書店に「たざきつくる君」の文庫版が組体操のピラミッドみたいにてんこ盛りでした。「村上春樹はなぜ売れるか」を探求しているアタシとしては購入しない訳にはいきません。 

これは単行本の時に読んだんですがすんなり読めなかった。このブログを書くために大分彼の作品を読み込んできたためか、彼の作品にもなじんで来たようで、あっというまに半分ほど読みました。

 単行本の時の評価は訂正する必要を認めます。なかなかのお作とみました。

 インターネットの書評で誰がシロをレイプしたかなんてのがありましたが、驚きましたな。つくる君じゃなきゃ誰なんだと数人の名前があがっております。

 例によってサイコ女が出て来ます。それがシロです。もっとも憑依されやすい媒体でありますな。途中まで読んだところでワタシの仮説はたざきつくる君がサイコのシロに憑依したと見ると辻褄が合うようです。

 この線で村上氏は随所に伏線をバラまいているようにみえますが。

 もっとも、作者の意図がそういうことかどうかは保証の限りではありません。また村上氏の意図がそうであっても、当然明言しないでしょうがね。