穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

69:生物兵器を研究している国は多い

2020-02-26 12:30:16 | 破片

 ところで、と第九が中途半端になった議論を再開した。「彼がいっていた完成度云々とはどういうことですかね。彼の議論は新コロナは生物兵器だという前提らしいけど」
「それはどうかな、生物兵器とすれば完成度が低いという意味ではないのかな」とJSが云った。
「なるほど、だとすれば、という前提があるわけだ。だから可能性としては生物兵器とそうでない場合と二つあるわけだね。夏目さんは生物兵器だという意見ですか」
「いや、そんなにはっきりした意見ではないけど、あの暴れ方をみているとどうしても天然じゃないと思うんですよね」
「変異ではないというわけ。従来のウイールスの?」
「そんな感じがするんですね。あまりに激しすぎるし早すぎる、変異の起こるのが」
「そういう感じはたしかにするね」
「流出経緯というか、散布経緯というか、それにも色々考えられるな。たとえば、意図的にばらまいたか、事故で漏出したのかでだいぶ様相が違ってくるでしょう」
「流出はもともいろいろ考えられるね。ある説に曰く、カナダの研究所から中国が盗んできたものが誤って漏れ出したという説もあるようだぜ。アメリカ由来という説もあるらしい。勿論中国が独自に開発していたものだという説も有力だがね」

「事故が意図的流出(攻撃的意図をもって)とする考えもあるしね」
「そうだとすると、これは大変なことですよ。まあ、事故説が一番ありそうだ」
JSが締めくくるように言った。流出元は中国というのが一般的だが、生物細菌兵器(ウイールスを含めて)の開発をしている国は十指に余るんじゃないかな。ほとんどは攻撃的な意図はないだろう。どんな兵器を相手国が開発しそうだとか、それを使われた場合はどう対処するかを準備するために研究する必要はあるだろうからね」

「例えばどんな国ですか」
JSは指を一つ一つ折っていった。「中国は勿論のこと、アメリカ、ソ連、イスラエル、イラン、北朝鮮、欧州でもいくつかあるに違いない。」
「日本はどうです」
「まずないだろうね。今回の対応の生ぬるさからみて」
「そうですよね、初動の生ぬるさから見て日本政府の危機感は感じられなかったものな、それに比べるとアメリカなんかは直ちに中国全土からの入国を躊躇なく禁止したでしょう。あれは知識を持っているからですよ」

話は戻るけどさ、とEHが気が付いたように言った。「逆に完成度が高いと言えるんじゃないかな」
皆は彼を驚いたように見た。
「たとえばさ、要人暗殺だよ。007みたいなエイジェントに感染させる。症状はしばらくでないが、感染力は強い。彼が相手国に要人に直接でも、あるいは側近にでも会って感染させるわけだ。そして自国にもどり治療薬を飲むわけだ」
「そうするともう治療薬は出来ているわけだ」
「もしかしたらね」
「それが効かなかったら」
「その場合は自爆テロになるね。よく使われている手だ」
「そううまくいくもんですかね」
「科学の進歩は恐ろしいからな」

ママが気が付いたように発言した。「60代以上は重症化しやすいというのも有力なスペックね。大体各国の有力者というのは60代以上でしょう」
一座は感心したようにママを見た。

「安部さんもやたらと握手しないことだ」