穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

宇宙の拾い物(2)ビーグル号からの報告

2021-12-11 08:42:47 | 小説みたいなもの

  調査が終わった。宇宙艇の艇長はレプレゼンタフォンに向かうと本国に報告を打電した。
*生存者はなし。機体内に四遺体あり。機体外でさらに三遺体を発見、機体から数百メートル離れたオーバーハングにたどり着き避難を試みたのち絶命した模様。この星の大気は窒素、メタン、一酸化炭素からなっている。遭難者はボンベを背負っており、その中の気体を呼吸していたものと思われる。三体のタンクはすべてからであり、使い切っていた。おそらくその結果絶命したものと思われる。ボンベの内容は不明であるが、おそらく我々と同じように酸素を呼吸していた可能性が高い。
* 墜落原因は隕石の衝突と思われる。推進装置と思われる機体部分に大きな穴があり、一瞬にして推進力と操縦性を喪失したのが墜落原因と考えられる。
*比較的損傷の少ない遺体の形状は添付の画像の通りである。身長は我々の三分の一ほど、足が四本あり、さらにその先端部が五本に分かれている。我々の頭部と推定される(詳細な確認が必要だが)部分はかなり小さい球状の部分と思われる。四本の足が付いている部分から離れて細い管のようなものの先についている。
*今後の処置についての指示をこう。
遺体、運搬可能な物品、機体内部には「文書」と思われる多量の資料あり。これらを直ちに本国に持ち帰るべきか。

本国からの返電(指示)
* 遺体については損傷状況、腐敗状況が進行しないように慎重に梱包すること。本国においての詳細調査に支障をきたさないように保存梱包すること。なお、不明な点等は国立博物館ミイラ係に問い合わせること。保存処理に必要な薬品を持たせて専門家を送るのでそれまで現地で待機すること。
*ドキュメント類については、可能な限り網羅的に収集整理して持ち帰ること。