荷風に「来訪者」という中編がある。昭和19年2月起筆、昭和19年4月脱稿。戦時下で発表されるせいひつ(こんな簡単な文字が変換できない!!)ではなく、内容ではなく、と言い換えると変換できた。発表年月日は不明であるが戦後のことであろう。
荷風が自作の未発表小説をかって自宅を訪れた人物に勝手に闇市場で売られた。また未発表の私信を闇市場で売られたことに気づいて「私立探偵」に調査を依頼したという骨子である。さきに占い師に相談したというのがあったが、今度は私立探偵に調査を依頼した。
このいきさつは日記の断腸亭日乗に記載がある。荷風は自分が被害を受けると必ず反撃したから、木場とか白井とかいう人物も本名であろう。