穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

カフカ「城」とキャラ建て

2024-02-06 13:59:42 | カフカ

カフカの城を300ぺージ読んだところで今回もスタック。放り出しておいたが、ふと、キャラ建てに気が付いたことがあって、別の角度から分析してみた。

言うまでもなく、皆さまご案内のように主人公のKは測量士である。百年ほど前のオーストリア・ハンガリー帝国の辺境の地??プラハの役人だったカフカは労働者の保険担当だったらしいから、仕事上で「測量士」をよく知っていたとは思えない。しかし、測量士を描く力量というか、キャラ建ての観点からみるとよくわかっていると思う。つまりリアリズムだね。

またそう思って読むと納得する。私も仕事で「現代日本の測量士」と間接的に折衝したことがある。ウェストウェスト伯爵ほどじゃないが。オーストリア・ハンガリー帝国の辺境の地ブタペストの百年前の測量士と現代日本のいわゆる「測量士」とは同じかと思うほど似ている。

城を読んでみると非常に似ている。社会的地位は土方とほんのちょっぴり知的な職業のミックスである。(三角関数やら少しの数学的な観測データの処理)。

一方で助手は先生先生と言って測量士を非常に尊敬した。この図式を「城」の描写に当てはめるとぴったりである。そして測量士がほんのちょっぴり知的な一面と根は土方的な部分もよく描写している。Kの荒っぽいしゃべりぶりも。そう気が付いて読むとなかなか読みやすい。手当たり次第に女とくっ付くあたりも。

この小説は「測量士のキャラ建て」を評価、玩味しないと分からないのではないか。