穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

尾行

2023-10-30 06:29:34 | 書評

梅雨の後先にはほかの作品にみられない試みがいくつか見られる。

大衆小説界のボス清岡がなじみの女給を密かに尾行する描写がある。ほかの荷風作品に尾行場面はなかったと記憶する。別にブラックマスクの影響ではなくても、当時は「探偵小説」が流行りだしたころで、江戸川乱歩も活躍していた。どうも荷風はこの作品でHBや探偵小説の技法を導入し試したらしい。

その後はこの異分野の技法は見られないが、いずれにしても異色の作品と言える。



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