穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

肝心の作品の品質は

2023-10-30 18:56:55 | 書評

これまでに「つゆのあとさき」について、ずいぶん述べてきたが、これはハードボイルドとか推理小説の手法の影響が物珍しかったからである。肝心の作品の品質ということだが、あまり感心しない。

全体に分かりにくい、荷風の小説にしては。構成がごつごつしてい、記憶に残らない。ということで荷風の作品としては高い評価はできない。この作品のすぐ後に例の評価の高い「墨東奇談」が出てくるのだが、時期が隣接している割には高い評価はできない。岩波がこの小説を単体で文庫に入れたほどの価値はない。

 


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。