これまでの若干の例示によっても明らかであるが、翻訳された哲学用語の原語と日本語の対照表が必須である。できれば現在「業界」で通用している日本語が何時ごろから誰によってどういう翻訳の中に現れ定着していった過程も分かるようなものがいい。一部は岩波の哲学思想辞典で分かるものがあるが、専門の辞典が必要である。
日本の哲学翻訳書には索引がないものがほとんどである。索引は必須である。これが有るかないかで翻訳書の質が判断できる。事項索引、人名索引とともに用語の対照表が索引に入れられるのがいいだろう。欧米の哲学書には索引が必ずある。日本の場合はどういうわけか、たまたま索引があるとほとんどが人名索引だけである。この辺も理解できない。おそらく人名索引なら作成が簡単であるという理由なのだろうが情けない。
欧米言語同士の翻訳書でも用語の言語別対照表は大抵ある。似ている同種の言語同士でも用語の対照表はあるのに、日本語のように全く西欧語と違う言語なのに対照表もつけずに済ましている(澄ましている)のはどういうつもりなのか。