穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

abさんご、遅ればせながら

2013-02-16 13:21:30 | 書評
単行本も結構売れているらしいが、文芸春秋で最初のほうを読んでみた。

このブログは世間で取り上げられている本を取り上げるというのが一つの方針で好き嫌いなしだ。

で読んでみた。

この小説を書くのに10ヶ月だかかかったという記事が出ていたが、中編というか短編というか、長く時間をかけたものだから読む方にも理解するのに相応の時間を要求するのか、あるいはじっくりと書き込まれたから逆に一読猛烈な迫力で文句なしに迫ってくるというのか。

どうも私のように感受性の鈍いものには相当の時間をかけないといけないようだ。

それで各種書評で勉強させてもらおうと文春の選者評やらインターネットですこし当たってみた。褒めているのが多いが、瑞々しいとか、感性が新鮮だとかいう評が多い。だが、それだけなので、つまり素っ気ない結論だけの評なので、どうして、どこが、そうなのかというのが鈍感な私にはわからない。

こんなことでは世の中に遅れるわい、と一生懸命に読みたいと思っている。

&: さてと、風呂に入ってからまた雑誌を取り上げる。この小説はランダム・アクセスのほうがいいかもしれない。『前衛』作品なのに章ごとに見出しがついている。窓の木から読み始めると分かりやすい。それから最初の晩餐と続く。

もっとも、窓の木というのは父の書斎とか書庫の思い出なんだが、こうして書かれてみるとオイラの親父の部屋に似ているところがあって、すらすら入って行けただけかもしれない。一つの趣向だとは思うが、卓越した筆致とも思えないが、まあ、話の筋が見えてくれば読むのに抵抗がなくなるのも事実である。