穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

村上春樹「カンガルー日和」

2013-10-20 10:27:31 | 書評

最後まで読みました。最後の二編はちょっと毛色が変わっている。

「サウスベイ・ストラット」はハードボイルドの最終章だけ書いたようなもので、どうしてこんなものを書いたんだろうというもの。「ためしに」書いてみたという感じだ。アメリカのハードボイルドもチャンドラーを訳しているから、手すさびに書いたのかな。もっとも、調子はチャンドラー調というよりミッキー・スピレーン風のノリである。

最後の「図書館奇談」、これはちょっと「世界の終り」につながりそうな調子で、文章も「世界の終わり」なみにごつごつしている。試作品かな。